今日の北本自然観察公園〜公園日記〜
【2025年8月20日(水)】
- 連日、こうも猛暑が続くと外出を控えてしまいがち。でも、公園内の雑木林を結ぶようにして歩けば涼しい木陰の散策が楽しめます。薄暗がりをひらひらと飛ぶのはハグロトンボやカノコガ。緑陰がとりわけ濃い標柱9〜10番間では、シラカシやエノキ、ケヤキなどで、複数の樹木の幹や枝がくっついた合体木とよばれる迫力ある樹形も観察できます(写真)。歩きながら、こうした木々の生育の過程に思いを馳せてみるのも面白いです。
- 高尾の池で久々にバンが見られました。重なったヨシの上に乗り、羽づくろいをしてリラックスモード…。たたずんでいたのは池の一番奥、距離にして園路から30mはあろうかという場所でしたが、トレードマークの赤いくちばしが目立っていました。
【2025年8月19日(火)】
- 標柱5〜6番間の林沿いで、ツリガネニンジン(写真)が咲き始めました。ここはナラ枯れの影響で木を伐採した場所。丈の高い草との競争が激しいながらも、てっぺんを突き出して花を咲かせていました。まだまだ暑さは厳しいですが、この花を見ると秋が近づいたなあ、と感じます。
- 昨日の夕方に激しい雷雨があったため、巡視では園路や水路の安全確認を入念に行いました。折れた小枝が道の上に散らばる中、標柱15番の近くではコナラやクヌギの若いどんぐりがまざって足元に転がっていました。雨風によって落ちたものの中に、枝葉ごと切り落とされたハイイロチョッキリの揺籃(ようらん)も発見。拾い上げて観察すると、帽子の部分に小さな産卵痕がありました。
【2025年8月17日(日)】
- 「野外の危険学習講座〜ハチへの対処法」を実施しました(写真)。まずは室内で、ハチはなぜ刺すのか? 攻撃性のあるハチは? もし刺されたときはどうする? などをレクチャー。その後は野外実習でスズメバチやアシナガバチのほか、攻撃性のないスズバチ、ハチ宿のコクロアナバチなどの巣を観察しました。習性を知り、人間の側から適切な距離を保つこともうまく共存するための方法。野外活動をされる方のほか、幼稚園、保育園の先生からの実践的な質問が飛び交い、スタッフの体験をもとにした回答に一同頷いたり、驚いたりしながら学びを深めました。
- 標柱18番を巡視中、木の上から「キョッ、キョッ」と声がして見上げると、久々の登場となるアオゲラでした。スダジイの幹をすいすい上って行くところを観察できました。
【2025年8月16日(土)】
- かわせみ池近くのクヌギにミノムシがぶら下がっていました(写真)。枝を見渡すとここにも、あそこにも! 4〜5cmほどの大きなミノがあわせて11個見つかりました。似た種類がいるので1つ手に取って確認。ミノの開口部に頭部の脱皮殻がついていないことや、幼虫の頭に模様がなく褐色であることからオオミノガだとわかりました。図鑑では羽化は夏に年1回、または秋に2回目があるとされており、この幼虫たちがこれから越冬するのか、年内に成虫になるのか気になるところです。
- ときおり吹く風が心地よい一日。標柱5番の林を見上げると、アオハダの実が赤く熟し始めていました。ヤマガラやメジロなどの野鳥たちが集まる観察ポイントにもなります。
【2025年8月15日(金)】
- 標柱20番近くのクサギの木陰は、絶好の休憩スポットです(写真)。ツクツクボウシやヒメギスの鳴き声を聞きながら、青空を見上げれば飛び交うツバメ。木々を渡って行くメジロやコゲラなどの小鳥たち。ふんわりと漂ってくる花の香りに、しばし暑さを忘れて癒されました。
- 桜土手のソメイヨシノの葉裏に、ハラビロカマキリを見つけました。しかも、成虫は今シーズン初確認です。公園のカマキリの中では羽化が遅めの部類。オオカマキリやコカマキリと並び、役者がそろってきました。
- ★第11回ホタル調査★ 公園全体で57匹。終盤です。
【2025年8月14日(木)】
- お昼前、南西の空に虹色にかがやく雲、彩雲(さいうん)が現われました(写真)。この不思議な現象は、高いところに広がる雲の中の小さな水滴や氷粒に太陽の光が当たることで起こります。しばらくうっとり見とれてしまいました。
- ここ数日の雨のおかげで変形菌がいっぱい! 標柱21番近くの朽木の表面には、エダナシツノホコリ、ナミウチツノホコリ、シロウツボホコリ、マメホコリが生えていました。
- 巡視の最終盤、スタッフがある目的を胸に向かったのはめだかのT字路です。雨のあとの晴れ。気温も上がって上昇気流が発生しているであろう今ならコンディションもばっちりのはず…。上空が開けたところで頭上をくまなく探すと…いました! サシバです! 肉眼では黒い点にしか見えないくらいの高空を、トビ1羽、サシバ2羽で舞っていました。秋の渡りの始まりです。
【2025年8月13日(水)】
- 雲が空を覆い、ジリジリと照り付ける日差しから解放された一日。ツクツクボウシの声もだんだんと増えてきて、夏も終盤へ。標柱2番の近くでは、オオカマキリやコバネイナゴの成虫が見られました。
- めだかのT字路のハッカが見ごろです。ツバメシジミが3匹集まってきており、小さな花から蜜を吸う様子が観察できました。また、標柱10〜11番のヤブミョウガの花にはダイミョウセセリが1匹(写真)。こちらもシャッターチャンス! と思いましたが、触角や脚がだらりとして様子がおかしい…。翅の裏をのぞくとやはり、アズチグモに捕まっていました(写真をクリック)。
【2025年8月11日(月)】
- 雨の具合はどうかな? と外に出たとき、事務室横の緑のカーテンの近くで体長3ミリほどのテントウムシを見つけました。正体はモンクチビルテントウ(写真)。1998年に沖縄で記録されて以降、各地で分布を広げている外来種です。最初はおなじみのナナホシテントウと比較したときの小ささにびっくりしましたが、さらに驚いたのは足の速さです! アリにちょんとつつかれるたびに、そこだけ早送りをしているかのようなスピードで逃げ回るため、カメラで捉えるのも一苦労でした。
- 標柱5〜6番間で今年もオオヒナノウスツボが咲きました。他ではなかなか見られない薄茶色の花びらが特徴。その近くの薄暗がりには、花と似た色合いのクロコノマチョウがじっと止まっていました。
【2025年8月10日(日)】
- そぼ降る雨。水分をたっぷりと含んだ空気が体にまとわりつくように感じられるなか、各所でツユクサ、コバギボウシ、キツネノマゴなどの爽やかな寒色の花が咲いていました。
- そろそろ秋の渡りが始まるので、鳥好きのスタッフは少しそわそわ…。ヒタキやムシクイの仲間はカラ類の混群にまじっていることも多いので要チェックです! 巡視中、めだかのT字路で出会った混群に渡り途中の小鳥はいませんでしたが、10羽ほどと小規模ながらも、シジュウカラとコゲラ(写真)、エナガ、メジロの4種類が見られ、バラエティに富んでいました。
- 高学年向けの「夏休み昆虫教室」を開催。雨のため、昆虫の生態や体のつくり、環境の変化によって増えている昆虫、減っている昆虫などについて、室内でより詳しく解説しました。その後、前日に仕掛けておいたベイトトラップの回収へ。「アオオサムシがとれていたらいいね〜」と話していたら、その言葉通り、高尾の森のトラップに3匹も入っていました!
【2025年8月9日(土)】
- 「セミのぬけがら調査」の2回目を開催。ルート上で見つけた全てのぬけがらを回収して、種類を調べました。触角の毛の数や節の太さ、長さに注目し、時には「これってミンミン? いや、アブラか…?」と悩みながらも、家族で協力して調査! 結果は、ニイニイゼミ28匹、アブラゼミ418匹、ミンミンゼミ21匹、ツクツクボウシ6匹、ヒグラシ2匹の合計475匹でした。
- 巡視中、林沿いを歩いていると“松葉が浮いているように見えるもの”が目にとまりました。指先でつつくとあわてて脚を出して逃げだす、その正体はオナガグモ。ナナフシモドキの幼虫と間違われることもありますが、クモを食べるクモです。
- 自然に親しむイベントデー「夜森ミュージアム」の初日はとっても盛況でした! 夜の自然をテーマに様々な標本やはく製を並べています(写真)。室内イベントの「館内クイズラリー」は雨模様でも楽しめます。11日までです♪
【2025年8月8日(金)】
- 標柱20番付近を巡視中、クサギの枝の先端にオナガサナエが止まっているのを発見しました(写真)。荒川の中〜上流に多い種類で、公園ではめったに出会えません。また、標柱4〜5番の林縁には同じく数の少ないコヤマトンボもいました。どちらも緑色の複眼、そして黄色と黒の縞模様。姿は似ていますが、止まる時にサナエトンボ科は水平、ヤマトンボ科はぶら下がる種類が多いといった特徴があります。
- 晴れたり曇ったり、少し雨がぱらついたりと変化の多い天気でした。日が陰り、遠くの空で雷が鳴り、雑木林をざわめかせるひんやりとした風が吹くと、夕暮れ時ではないのに辺りから一斉にヒグラシたちの大合唱が聞こえてきました。
- ★第10回ホタル調査★ 公園全体で108匹。まだ見られます。
【2025年8月7日(木)】
- 午前中いっぱい、久々にしっかりと雨が降りました(写真)。このところ殻にこもりっぱなしだったミスジマイマイが木の幹を活発に動きまわり、ニホンアカガエルに加えて移入種のヌマガエルの姿も見られました。一方、キタキチョウやウスバキトンボ、ハグロトンボは葉陰で雨宿り。暑さも落ち着いてほっと一息、過ごしやすい一日でした。
- 二十四節季の「立秋」です。ふれあい橋のミズキの実はいつの間にか深い紫色に変わり、めだかのT字路のノブドウもほのかに色付き始めました。雨上がりの茂みからは「リーリー♪」「シリシリ…」と、モリオカメコオロギやササキリの鳴き声が聞こえてきました。
- ★野鳥情報★ 標柱4番付近でヤマガラがエゴノキの実をつついていました。
【2025年8月6日(水)】
- 少し前に見つかった標柱5〜6番間のオトギリソウ。直径1.5pほどと小さいながらも、まばゆい黄色の花が咲いていました(写真)。本種の記録があるのは1991年以前、公園ができる前のことです。周りのコナラを伐採して明るい環境が形成されたために、およそ30年の眠りからさめて出現したものと思われます。
- 花の話題をもうひとつ♪ めだかのT字路のハッカが開花しました。公園内で毎年見られるのはここだけ。草刈りを頑張ったかいがありました!
- 標柱1番のクサギの葉に、体長7〜8cmはあろうかというシモフリスズメの幼虫がいました。もうすぐ蛹になるのね…と言いたいところですが、体に小さな黒い点をいくつも発見。これはおそらく、ヤドリバエ類の幼虫が体内に入った跡。点には薄黄色の卵の殻が付いていました。こうして食べられたり、寄生されたりして、成虫になれるのはほんの一握りです。
【2025年8月5日(火)】
- ニュースは酷暑を告げ、最高気温はなんと40℃超え。関東地方では、日本の歴代最高気温を更新しました。連日の暑さと雨の少なさに公園内の水辺は水位が低下。井戸水をホースで導水しました(写真)。センター前のメハジキは葉をだらりと垂らし、園路沿いのカラムシは葉の一部が焼けるなど、生きものたちにとっても厳しい毎日になっています。
- 園内のあちらこちらでムラサキシジミをよく見かけました。巡視中だけでも20匹ほど。その中に時々紛れていたのがムラサキツバメで、今日は標柱2番や17番で合計4匹も観察できました。ちなみに、ムラサキシジミの食樹は園内に多いシラカシなどであるのに対し、ムラサキツバメはマテバシイで、園内にはほとんどありません。
【2025年8月3日(日)】
- 「夜の自然観察会」を開催しました(写真)。室内で懐中電灯の使い方や観察のコツをレクチャーしたら出発! 見つかったのは、お休み中のジャコウアゲハや、花蜜を求めて活発に動き回るスズメガの仲間、網を張るオオトリノフンダマシ。みなさんお目当てのセミの羽化は、数か所で観察できました。木の幹をよじ登る羽化直前の幼虫も発見し、普段見慣れた“ぬけがら”との違いに、大人も子どもも思わず見入ってしまいました。
- 標柱5番のアキノタムラソウへ吸蜜に来ていたのは、腹部のオレンジ色が鮮やかなハラアカヤドリハキリバチ。ハキリバチの仲間の多くは、葉を切り取り巣材として利用するという習性があります。ところがこのハチは、自分では巣は造らず、オオハキリバチの巣に寄生するという変わったハチです。
【2025年8月2日(土)】
- 台風による雨を期待していましたが、残念ながらお湿り程度で、湿地を潤すほどにはなりませんでした。それでも、強い風が上空のちりやほこりを払ってくれたのか、今日は澄み渡った青空に。草はらでは「キチキチ…!」と足元から飛び立つショウリョウバッタの成虫が増えてきましたが、ツチイナゴはまだ幼虫です(写真)。
- 午後から巡視に出かけました。一番暑い時間帯、へとへとになりながらも木道の先の木陰にたどり着いたその時、水辺から一羽の鳥が飛び立ち、林へと消えていきました。ミ、ミ、ミゾゴイだー! すぐさま飛び去った林の奥をのぞいてみましたが、もう影も形もありませんでした。山での繁殖を終え、渡りの途中のほんのひと時立ち寄ったのでしょう。環境省のレッドリストで絶滅危惧U類の希少な種類。越冬地である東南アジアへの旅路の無事を祈ります。
【2025年8月1日(金)】
- めだかのT字路の近くで、アカメヤナギの木の周りを数十羽というハシブトガラスが飛んでいました(写真)。「カァ、カァ」「ガァ、ガァ」とにぎやか。繁殖期が終わり、幼鳥が混ざった群れが作られる季節ですが、園内でこれだけの数が見られるのは珍しいです。しばし見入ってしまいました。
- クサギの花が見ごろになりました。花の可憐さ、甘い香りもさることながら、ナガサキアゲハやクロアゲハなど、黒いアゲハたちがやって来るのも魅力の一つ。標柱20番のクサギでは、カラスアゲハが羽ばたきながら吸蜜していました。夏型と呼ばれるこの時期の成虫は、初夏に羽化する成虫と比べて翅が一回り大きく、迫力がありました。
- ★第9回ホタル調査★ 公園全体で247匹。少なくなってきましたがまだ見ごろです。
過去の観察記録
2025年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2024年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2023年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2022年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2021年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2020年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2019年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2018年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2017年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2016年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2015年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2014年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2013年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2012年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2011年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2010年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2009年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2008年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2007年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2006年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2005年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2004年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2003年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2002年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2001年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
2000年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月
1999年 12月|11月|10月|9月|8月|7月|6月|5月|4月|3月|2月|1月