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北本自然観察公園 自然観察記録 2003年12月 |
2004年2月17日更新
埼玉県自然学習センター
【2003年12月28日(日)】
○この冬は上面全体がルリ色に輝くオスのルリビタキはまだ公園に来ていないようです。数は多くないのですが目撃されるのはメスかオスの若鳥と思われる個体だけです。ベニマシコやアリスイは来ていますが、ミヤマホオジロの目撃情報はありません。
○今年もセンターを御利用いただき有り難うございます。今年の開館は今日までで、新年は4日から開館します。来年も旧年同様センターの御利用を職員一同お待ち申し上げております。
【2003年12月27日(土)】
○夜半に雪が降り公園はうっすらとした雪景色になりましたが、午後には日陰を残して大半の雪は解けてしまいました。雪は文化の担い手の文化人が最も好む自然の景物であり、特に白楽天の「雪月花の時、最も君を思う」の漢詩は、日本の伝統美に強い影響を及ぼしました。そして、平安時代の王朝和歌で最も好まれた自然の景物は「花、ホトトギス、月、紅葉、雪」であり、平安時代の美意識を形づくるのがこの五つの景物であるだけでなく、千年を経た現在に至っても日本人の美意識は未だにこの五つの自然の景物に影響されているといわれています。
【2003年12月25日(木)】
○公園の冬の人気者のベニマシコが高尾の池付近のアシ原などに来ています。目撃されたのは淡いベニ色が美しいオス2羽と枯れ草に紛れてしまいそうなメス1羽です。クチバシは小さく長い尾をしているので遠くから見るとエナガのように見えます。この公園ではセイタカアワダチソウなどの枯れ草の実を啄みながら枯れ穂を渡り歩いていたり、また、湿地のヤナギの新芽を啄んでいるようなところを目撃されます。運が良ければ、センターの2階から観察することができます。この仲間の鳥を「猿子(ましこ)」と呼んでおり、紅色が濃いのでベニマシコと呼ばれています。
【2003年12月23日(火)】
○昨日は二十四節気の一つの冬至です。この日を境に日が長くなるので再び日がよみがえるということで「一陽来復(イチヨウライフク)」といいます。理由は判りませんが冬至には「ん」のつく植物を食べると幸せになれるとか縁起がよいとされており、なんきん(かぼちゃ)、にんじん、れんこん、ぎんなん、かんてんなどが冬至の日に食べられるのはそのためです。また、ゆずは実が成るのに長い年月がかかるので成功のシンボルとされ、冬至の日にゆず湯に入浴すると一年間無病息災に暮らせるといわれています。
○今日の高尾の池は一部が凍結しましたが、朝の観察でマガモが85羽、コガモが168羽確認できました。
【2003年12月20日(土)】
○今日は風花が舞い、公園の植物たちも寒さから身を守る装いをしています。葉が紅(黄)葉して落葉するのや、紅色や黒色や茶色の果実や莢だけを残したもの、枯れて葉や茎が堆積しているものなどがあるかと思えば、ますます緑の色を増す常緑樹など。概して冬の雑木林はさびしく殺風景に見えますが、植物は来るべき春に備えて冬支度をととのえています。コナラ、クヌギ、エゴノキ、ミズキ、ハンノキ、コブシ、タラノキ、ムラサキシキブ、ウグイスカグラ、エドヒガン、ウワミズザクラなどの木々の枝には似たような葉の痕跡や冬芽が見られます。しかし、よく見ると同じような形をしたものはなく、木々それぞれがまざまな工夫をこらして来るべく春に備えているのが感じられます。
【2003年12月18日(木)】
○エドヒガンの先の園路で胸のあたりが薄い黄色のキセキレイが、長い尾羽をせわしなく上下に動かしながら、すべるように走り回っていました。ジョウビタキなどもよく尾を振りますが、セキレイほど頻繁ではありません。「日本書紀」には、イザナギ、イザナミがお互いに一目惚れしたが、どうしてよいかわからないでいると、セキレイが飛んできて模範を示してくれたので、その道を会得したと伝えています。この冬の公園で既にハクセキレイ、セグロセキレイが観察されていますので、公園で見られる3種類のセキレイが揃ったことになります。
【2003年12月16日(火)】
○ものの見事に木の葉に化けたアケビコノハの成虫を近所の人が持ってきてくれました。持ってきた人も枯れ葉と思ったら動いたので名前を知りたくてセンターに持ってきたと言っていました。翅を閉じていると5pぐらいの枯れ葉にしか見えませんが、翅を開くと黄色と大きな蛇の目模様に驚かされます。また、アケビコノハの幼虫は75oぐらいの大きさの円筒形をしており、色は黒色や茶色、緑色などの個体があり、食草のアケビやヒイラギナンテンなどの葉や茎にシャチホコ立って見る人を驚かせます。
【2003年12月13日(土)】
○公園に霜が降りた日の昼下がりのセンター前の斜面の枯れ草の中に、一匹のタヌキが出現し周りをきょろきょろと伺っていました。このタヌキはホンドタヌキで、いきなり人前に出てしまったので、うろたえているのがわかるような気がします。センター前のタヌキの出現は今年の3月以来久しぶりなので、館内にいた十数人の来館者と共にゆっくり観察することが出来ました。タヌキは証誠寺のタヌキばやしの童謡や童話などで数多く登場するお馴染みの動物で、人里にすむ身近な野生動物であるといえます。
【2003年12月11日(木)】
○スズメバチが大きな巣を作ったのでセンターで展示するようであれば寄贈します、北本市石戸にお住まいの方から連絡があったので有り難く頂きました。巣は直径が50p、長さが60pのいびつな楕円形をしており、大きさからキイロスズメバチの巣ではないかと思われます。巣に防虫の処理をして次期のミニ展示「鳥の巣」にあわせて展示しようかと思います。スズメバチの巣は春に新たな巣が作られ、秋に新女王バチが飛び立つとその巣は放棄され二度と使われることはありません。飛び立った女王バチは春先まで1匹で温度変化の少ない、余り陽が当たらない北側などで寒さに戦いながら越冬しますが、温度変化が大きくなったりすると、環境に適応できず春を待たずに死んでしまう女王バチもかなりの数に上ると言われています。
【2003年12月9日(火)】
○偶数月の第1日曜日にバードウォッチングをする団体から、公園で見られた野鳥のチェックリストをもらいました。12月7日のバードウォッチングで見られた野鳥は、カワウ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ツミ、ノスリ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ルリビタキ、ジョウビタキ、ツグミ、ウグイス、エナガ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、カワラヒワ、シメ、スズメ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラスの以上30種です。
【2003年12月6日(土)】
○公園の八ッ橋の上で枯れてきた北里の森の樹木を眺めていたら、突然数十羽のシジュウガラが「ピィーツー、ピィーツー」や「ジェク、ジェク」などと、賑やかに鳴きながらやって来ました。池に張り出している樹木の中程から下の枝などに広範囲に止まったり、また、ガマの穂を突いたりしながらせわしなく動き回っていました。中に木の幹を駆け上がるのがいたのでよく見るとコゲラが混ざっていました。この群れはシジュウガラの群れにコゲラが加わった混群でした。混群は秋から冬に見られるカラ類の行動様式です。
【2003年12月4日(木)】
○公園で真夏の8月ごろは20pぐらいの深く羽状に分岐した葉を、地上スレスレに這わせていたタカアザミが、何を勘違いしたのか10月に入ってから4本の茎をぐんぐん伸ばし、今では2mぐらいの高さに緑色の葉を茂らしながら、沢山の紫色の花を下向きに垂れ下げて咲いています。秋が例年になく暖かだったので、二年草のタカアザミも一年で咲いてしまいました。日本はアザミの国といわれるほどアザミの種類が多く、世界のアザミの3分の1の100種類が日本に分布しています。しかもタカアザミなど5種のアザミは大陸と共通種ですが、ノハラアザミなど他のアザミはすべて日本の特産種です。
【2003年12月2日(火)】
○今日は高尾の池の生物調査とカムルチーなどの外来種を除去するため、八ッ橋が架かっている池の「かいぼり」を実施しました。池の中にはギンブナやメダカ、モツゴ、ウシガエルの幼生の大きなオタマジャクシが多数いました。体長が43pから56pまでの大きなカムルチーも10匹、甲羅の長さが25pのアカミミガメが1匹、それに大きいもので甲羅の長さが17pのクサガメが3匹いました。その他ヌマムツ、タモロコ、ドジョウ、トウヨシノボリなどもいました。心配されたブラックバス、ブルーギルは一匹も確認できませんでした。カムルチー、ウシガエルの幼生、アカミミガメは池から排除し、ギンブナなどその他の在来種は池に戻して「かいぼり」は終わりました。
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