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北本自然観察公園 自然観察記録 2004年4月 |
2004年6月9日更新
埼玉県自然学習センター
【2004年4月29日(木)】
○今日は祝日の「みどりの日」です。「みどりの日」は、「自然に親しみ、豊かな自然をはぐくむ」目的で定められました。そして、23日からの「みどりの週間」も今日で終わりです。八ッ橋のヨシの茎に、アジアイトトンボが羽を休めていました。春一番に現れるイトトンボで、池の周りの湿地や田んぼでよく見かける小形のイトトンボです。
【2004年4月28日(水)】
○センターの入口前のクスノキを囲むようにドウダンツツジがありますが、なぜか1株だけに花が咲いています。一般的なツツジの花とは違い、小さな壺を逆さにした、スズランの様な可憐な花です。辞書によると「満点星」と書くそうです。藤川忠治は、「満点星(ドウダン)の 上枝(ほつえ)こまかき 花むらに さしとほす日の あやにしづけし」と詠っています。春には花と新緑、秋には紅葉が楽しめます。
【2004年4月27日(火)】
○公園内には、白色や黄色のタンポポが咲いています。今日の強い風で、綿毛をつけた種も勢いよく飛んでいました。ところで、25日に、私たちにはお馴染みのシオカラトンボの抜け殻がトンボ池付近で確認されたとの情報が届けられました。あそらく当公園で今年初めて、羽化したものと思われます。このトンボは、山地から住宅地に至るまでの池、湿地、水溜まりなど、あらゆる環境に対応ができ、各地で見ることができます。成熟したオスの腹の部分が塩を吹いたように白くなることから、シオカラトンボといわれるそうです。
【2004年4月25日(日)】
○今日も昨日に引き続き、少し寒い一日です。あずまやの近くにイヌザクラが咲いています。
白い5弁の花を沢山付けています。ウワミズザクラに似ていますが、違いは花の個数が少なく、基部に葉がないことです。命名の由来は、サクラに類するが、花が見劣りするところからだそうです。
【2004年4月24日(土)】
○今日も天気は良かったですが、朝夕は少し肌寒いくらいでした。高尾の森の近くでモンキチョウとベニシジミが重なるように飛んでいました。どちらも、ポピュラーな蝶ですが、市街地ではあまり見かけなくなりました。ベニシジミは蜆のように小さいというところから名付けられたということです。
【2004年4月23日(金)】
○数日来の夏を思わせる暑さから一転し、今日はおだやかな春の気候に戻りました。今日から29日までの1週間は「みどりの週間」です。ところで、北里の森にヤマツツジが咲いていますが、これは初夏の山を彩る代表的なツツジで、新緑の中、唯一の紅い彩りは華やかです。しかし、近づいて見ると、少し貧弱で弱々しい花びらは、園芸種にはない野生の趣を感じます。
【2004年4月21日(水)】
○昨日4月20日は二十四節季のひとつである、穀雨でした。意味は「すべての穀物の芽を出させる雨が降ること」ですが、この日は雨が降るどころか、真夏の様な暑さでした。さて、公園内では、数カ所にミズキの花が咲いています。高木で、群生する白い一つ一つの花は小さいのですが、数十個集合したものが棚状に咲くので新緑の中では目立ちます。和名のミズキは樹液が多く、春先に枝を折ると水のようにしたたることによります。庭木、街路樹のほか、こけしやコマの材料としても使われます。
【2004年4月18日(日)】
○公園内で2種類の外国産のスミレが見つかりました。濃い紫色の花が特徴のニオイスミレでヨーロッパ西部から西アジア原産のものです。それと、白い大きな花が特徴のウィオラ・ソロリアで北アメリカ原産です。どのような経路で公園内に入り込んだか不明です。当公園の在来のスミレと競合したり、交雑する危険もあるので採取しました。植木鉢に移植して、センター内に展示しています。
【2004年4月17日(土)】
○センター西側の雑木林でウグイスの声が聞こえました。残念ながら、姿は確認できませんでしたが、「ホーホケキョ」と非常に美しく鳴いていました。図鑑で確認したところ、大きさはスズメ位の大きさで、色は予想に反して鶯色でなく、全体に茶褐色で淡灰色の眉班と黒っぽい不明瞭な過眼線がありました。
【2004年4月16日(金)】
○今日の読売新聞にニホンミツバチのことが載っていました。東京でニホンミツバチを使って蜂蜜を採っている人の紹介でした。蜂の世界もセイヨウミツバチが多数派であるためか、蜂蜜を採るためにニホンミツバチを使う人は珍しいとのことです。ところで、当公園の桜堤に行く道脇のエノキの中に、ニホンミツバチの巣があります。セイヨウミツバチより小型で攻撃性は少ないですが、やはり興奮させると危険です。近くを通る際は注意をしてください。
【2004年4月15日(木)】
○公園のあずまや付近の水辺で、メダカが泳いでいるのを見ると、自然の豊かさを感じました。メダカはフナやコイと並び日本を代表する淡水魚で、体長は3〜4pで、日本では最小の魚です。近年、農薬の使用や生活環境の変化により、その数が激減し、環境庁により2003年に絶滅危惧U類に指定されています。
【2004年4月14日(水)】
○公園内の葦原のセリが大きくなってきました。そのためか、時たまセリを採る人を見かけます。今日も、一夜堤からあずまやへの中間付近の葦原に入ってセリ採りをしている二人連れを発見しました。保護区域になっていることを説明して、止めてもらいました。生態系保護の観点から、保護区域への立ち入りは絶対に止めましょう。
【2004年4月13日(火)】
○ふれあい橋の先で、キジの鳴き声が聞こえました。「ケーンケーン」という独特の感高い鳴き声で、まさに、「雉も鳴かずば撃たれまい」を思い起こすような声でした。この鳴き声に関しては、地震などの災害を予知し、鳴くことが知られています。それは、キジの足にヘルベスト体という震動を敏感に感じとる感覚細胞があり、人体には感じとれないような地震の震動を感じとり、人間よりも数秒早く地震を知ることができるからといわれています。
【2004年4月10日(土)】
○公園内数カ所に山吹の花が咲いています。名前のとおり、鮮やかな山吹色(少し濃いめの黄色)で良く目立っています。山吹に関しては、太田道灌の故事で「七重八重 花は咲けども 山吹の みのひとつだに なきぞ悲しき」の古歌が知られていますが、万葉集でも大伴家持が離れた妻を偲んで「山吹の 花取り持ちて つれなくも 離れにし妹を 偲びつるかも」と詠んでいます。
【2004年4月9日(金)】
○高尾の森の近くでツマキチョウが飛んでいました。モンシロチョウより一回り小さい可憐な蝶です。春先にだけ見ることができます。近くに菜の花の群落が今を盛りに咲いており、それを目的に飛んできた来たのかも知れません。菜の花と蝶から、金子薫園の短歌「蝶ひらひら ゆくえのどかに 風わたる 菜の花一里 春の日ゆるき」が頭に浮かびました。
【2004年4月8日(木)】
○公園の湿地では、タネツケバナが白い小さな花を付けています。水辺に多いはずなのに、乾燥した草原でも咲いているので「ちょっと変だな」と思ったら、こちらはヨーロッパ原産の外来種ミチタネツケバナのようです。ミチタネツケバナの方が小振りで、根生葉が実の時期まで枯れずに残るようです。花はそろそろ終わりです。
【2004年4月7日(水)】
○数日前までコブシの花が咲いていました。大柄の白い花なので遠くからも非常によく見えました。ところで、コブシの花からは、千昌夫の「北国の春」が連想されますが、今日の公園は初夏を思わせるような暖かさで、タンポポ、スミレ、オオイヌノフグリ、ホトケノザなど咲きほこり、春真っ盛りです。まさに、「北国の春」ならぬ「北本の春」を実感しました。
【2004年4月6日(火)】
○公園のエドヒガンザクラはすでに散ってしまいました。そして、桜堤のソメイヨシノもだいぶ散ってしまい、今年のサクラは終わりのようです。しかし、公園内のヤマザクラはまだ咲いています。エドヒガンザクラやソメイヨシノに比べると華やかさには欠けますが、古来から多くの日本人に、その素朴さゆえに愛されているようです。ヤマザクラといえば、本居宣長の「敷島の 大和心を 人とはば 朝日ににほふ 山ざくら花」の歌が有名ですが、太平洋戦争末期に最初の神風特別攻撃隊が編成された際、この歌から「敷島隊、大和隊、朝日隊、山桜隊」と名付けられたことは、あまり知られていないのではないでしょうか。
【2004年4月4日(日)】
○今朝、センターの2階からヤマガラ2羽が観察できました。数年前までは、冬季には比較的よく観察されていた鳥ですが、ここ何年かはあまり見ることができませんでした。平地から山地へ移動する途中に寄ったのかもしれません。シジュウカラより高い甘ったるい声で「ネー、ネー」と鳴いてるように聞こえませんか。
【2004年4月3日(土)】
○男性用のトイレの窓が、ちょうどいい探鳥場所になっています。用を足す十秒か二十秒の間に、いろいろな鳥が観察できます。ここ3週間ほどの間に、キジバト、コゲラ、ヒヨドリ、アカハラ、シロハラ、ツグミ、シジュウカラ、メジロ、カシラダカ、アオジ、カワラヒワ、スズメ、カケスが観察できています。
【2004年4月2日(金)】
○高尾の池に来るカモの数は、増減を繰り返しながらも、だんだん少なくなってきました。ここ何日かは、マガモはいないか多くて2,3羽です。コガモの場合は、冬の間高尾の池にいたカモが少しずつ北に帰っているというよりは、南の方で越冬したカモが北へ帰る途中で高尾の池に寄っているようで、日によって数が大きく変わります。
【2004年4月1日(木)】
○2階の窓から公園を見渡すと、城ヶ谷堤(桜堤)のソメイヨシノが満開になっているのがわかります。雑木林の中のヤマザクラも咲きはじめました。ヤマザクラは、葉が開き始めるのと花が咲くのが同時なので、ソメイヨシノやエドヒガンのような華やかさはありませんが、わずかに若葉が出始めた雑木林の中では目立ちます。雑木林にどの程度のヤマザクラが混じるかは、場所によって違いがあります。土壌や気候などの自然環境の違いだけでなく、その雑木林をどう使いどう管理してきたかの人間との関わり合いの違いによって決まるのだと思います。嵐山町から小川町、玉川村にかけての雑木林にヤマザクラの多い場所があって、とても素敵でした。
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