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北本自然観察公園 自然観察記録 2005年3月 |
2005年5月16日更新
埼玉県自然学習センター
【2005年3月31日(木)】
○公園の湿地で、芦の芽立ちが目に付くようになり、春の訪れが感じられます。ところで、芦の芽立ちは芦の角ともいいます。先日ある新聞が、芦の芽立ち(角)を詠んだ尾崎紅葉の「ちくちくと 潮満来るや 芦の角」を紹介していました。ちくちくとは水底から芽生えた芦の角が水面に刺さるところを表現したもので、春寒い水辺を感じる句だそうです。なお、芦は葭、葦と書くこともあります。さらに、アシは「悪し」に通じるということで、ヨシとよぶことがあり、今では、こちらが正式な植物名になっています。ます。芦に覆われた水辺は水質浄化が働き、魚や昆虫などの生き物が豊富になります。そのため、それを目的に野鳥も多くやって来ます。
【2005年3月30日(水)】
○あずまや付近で、ジョウビタキを見ました。スズメ目ツグミ科の鳥で、大きさ14cm位の冬鳥です。日本全土の林、農耕地、公園などで見ることができます。餌は昆虫やミミズやピラカンサの実などです。オスもメスもそれぞれ縄張りを持ち、単独で生活をしています。オスとメスで体の色は異なっていますが、どちらも大きな白斑があるので、紋付鳥と呼ばれます。「ヒッ、ヒッ」と鳴きます。頭を下げ、尾を細かく振る仕草が可愛らしいです。あまり人を恐れない鳥で、場合によると、一瞬ですが人の肩に止まることもあるそうです。
【2005年3月29日(火)】
○エドヒガン付近で、ナズナが白色の小さな花を咲かせています。春の七草としてお馴染みですが、我が国には、古く農耕作物とともに歴史以前に帰化したとされ、史前帰化植物といわれています。アブラナ科の多年草で、日本全土の田畑や道端などに生育し、普通に見ることができます。茎全体にまばらな毛があり、直立し、枝を分けます。茎の頂上にアブラナ科特有の柄のある十字状の花を多数付けます。花は白色で、5mm位です。ナズナの命名の由来については諸説ありますが、撫でたいほど可愛い菜という意味の「撫菜」からとか、夏に枯れて無くなるという意味の「夏無」からというものがあります。また、別名は風にゆれるときの音から「ペンペン草」とか、実が三味線のバチに似ているところから「三味線草」といいます。
【2005年3月27日(日)】
○エドヒガンの開花情報です。例年より遅れていましたが、今日やっと咲き始めました。
当公園のエドヒガンは、「エドヒガンザクラ」として北本市の天然記念物に指定されています。樹齢推定200年以上といわれていますが、いまでも元気に花を付けます。エドヒガンは、名前のとおり春の彼岸頃に花を付け、ソメイヨシノなどよりも早く咲くのが特徴ですが、今年はなぜか遅れていました。公園内では、エドヒガンにつづいて、シダレザクラやヤマザクラが咲き出します。5月にはウワミズザクラやイヌザクラも咲きます。また、当公園の近くには、城ヶ谷堤のソメイヨシノの桜並木や東光寺の石戸蒲桜など、桜の名所があります。ぜひ、サクラ鑑賞にお出かけください。
【2005年3月25日(金)】
○センター西側の園路際に、タネツケバナが白い小さな花を咲かせています。日本全土の水田や湿地に生えるアブラナ科の越年草で、花の大きさは3〜4mm、花弁が4枚の十字花です。雄しべも4本、葉は羽状の複葉で、頂小葉が最も大きいのが特徴です。そして、果実が上を向いていて、途中で切れたような不思議な形をしています。この花が咲く頃、種もみを水に漬け、田植えの準備を始めたことが命名の由来だそうです。別名はタガラシといいます。生で食べるとピリッと辛く、クレッソンのような酸味があるそうです。天ぷらの材料としても使われます。
【2005年3月23日(水)】
○今日高尾の森でカシラダカを見ました。15cm位の大きさでスズメやホオジロに似た鳥です。名前の由来でもある頭の冠羽は目立ちますが、腹部が白色で全体的には茶系の地味な色の鳥です。地味な色で、しかも動きが激しいため、なかなか見つけにくい鳥です。冬鳥としてユーラシア大陸から渡って来て、農耕地や川原などに棲息します。また、林縁などの開けた場所を好み、種子などを採食します。群で行動することが多いようです。「チッチッ」という地鳴きで、警戒した時には特徴である冠羽を逆立てます。渡り鳥として大量に渡って来るので、昔はツグミやアトリなどとともに、焼鳥として食用にされたそうです。
【2005年3月21日(月)】
○昨日、NHKの朝の番組「おはよう日本」で公園のエドヒガンの開花状況が生放送されました。エドヒガンはソメイヨシノ比べて開花が早いのが特徴ですが、あいにく今年はまだ蕾の状態です。ちなみに最近の満開日をみると、昨年は25日、1昨年は29日、3年前は16日でした。放送以来開花状況の問い合わせがありますが、未だに開花していません。おそらく週末には開花するものと思われますので、ぜひ公園にお出かけください。ところで、センターの回りを歩いて気づきましたが、シイタケが大きく育っています。2、3年前の里山ボランティアで植え付けたホダ木です。時の流れと季節の移ろいを感じました。
【2005年3月19日(土)】
○エドヒガン先の園路際に、春の七草の一つであるハコベが非常に小さな白色の花を咲かせています。本当は5弁の花びらですが、それが2裂しているので10弁に見えます。全国の道端でよく見かけることができる、ナデシコ科の1〜2年草です。タンパク質、それにビタミンB、Cが多く含まれているので、昔は食用にされました。現在でも、1月7日に七草粥として食べる習慣があります。また、昔は炒った粉に塩を混ぜて歯磨き粉として使用されたそうです。名前の由来は種々ありますが、茎がよくはびこり、種が落ちるとその年のうちに芽を出し、繁茂することからという説もあります。別名はヒヨコグサといいます。なお、春の七草では、ハコベラといわれています。藤村の千曲川旅情の歌では、ハコベで登場しています。
【2005年3月17日(木)】
○公園内を散策すると、各所でドングリが芽生えているのを目にします。八ッ橋を渡った北里の森の斜面で、多く目にすることができます。ドングリというと漢字では「団栗」と書きます。栗のように丸っぽい形をしたクヌギやカシワなどの実のことを表したようです。北里の森の実は、ちょっと細長い形をしているのでコナラのようです。たくさん芽生えていますが、無事に大人の木まで生長するのはごく僅かだそうです。冬の寒さに負けてしまったり、動物に食べられたり、日光が当たらず枯れてしまうものが多いためです。ところで、童謡で「どんぐりころころどんぐりこ」と歌っている人も多いようですが、池に落ちた音の「どんぶりこ」が正解です。
【2005年3月15日(火)】
○公園内はウメの花が満開状態です。ところで、今日ヒヨドリがウメの花の蜜を吸っているのを見ました。ヒヨドリは雑食性で、ナンテンやアオキの実を食べることで知られていますが、花の蜜も好物のようです。また、繁殖期には昆虫も食べます。そして、時として畑の野菜などに被害を与えることもあるそうです。ヒヨドリは日本全土に分布している留鳥で、28cm位の中型の鳥です。全体が灰褐色で胸にわずかに白い斑点があります。そして、いつも少し毛が立っているのが特徴です。「ビィービィー」と大きな声で鳴きながら波状に飛びます。また、「ヒーヨッ、ヒーヨッ」とかん高い声でも鳴きますが、この鳴き声からヒヨドリの名が付いたといわれています。
【2005年3月12日(土)】
○既に観察記録でも報告済ですが、今年は当公園でイカルが度々目撃されています。鳥類の写真撮影は非常に困難ですが、先日、センター2階の展望ロビー眼下からヌルデの実をパチパチ音をたてながら啄んでいるイカルを発見し、またとないシャッターチャンスに恵まれ撮影に成功しましたので紹介させていただきます。イカルは体長23cmでムクドリ位の大きさの鳥です。クチバシが黄色で全体が灰褐色、顔面上部と翼は青みを帯びた黒色です。九州より北の落葉広葉樹林で繁殖し、冬は暖地に移動します。また、冬期には群で行動する習性があるようです。黄色の大きなクチバシで、ヌルデの他、エノキ、ムクなどの固い実を器用に挟み、割って食べます。
【2005年3月10日(木)】
○本日、3月10日(木)から31日(木)まで、自然学習センター恒例の野生生物写真展を開催しております。今年は昨年の47点を超える、77点の力作が寄せられました。御応募いただいた方々には、この場をお借りして感謝申し上げます。さて、展示会開催の趣旨は野生生物の写真撮影を通して、自然とのふれあいを楽しんでいる方達へ発表の場を提供するとともに、これらの作品を鑑賞することで野生の生き物に対する関心を深めていただくことを目的としています。是非、この機会に鑑賞していただきますようご案内いたします。
【2005年3月8日(火)】
○八ッ橋に向かう園路際で、セイヨウタンポポが鮮やかな黄色の花を咲かせています。総包の外片が反り返り、内片が直立しているのでセイヨウタンポポに間違いなさそうです。ロゼットになって冷たい風から芽を守っているものが多い中、背面がコンクリート壁で風が少なく、日当たりも良い場所のため花が咲いたようです。ヨーロッパ原産のキク科の帰化植物で、在来のタンポポに替わり日本全国に勢力を広げていますが、皮肉なことに都市部では近年もう一つの帰化種アカミタンポポにその地位を奪われているようです。タンポポはコーヒーの代用、ワインの原料、新鮮な葉は生のままでサラダに使われます。中国では解熱や中毒に薬効があるとして重用されますが、アメリカでは庭の雑草として嫌われものになっています。
【2005年3月5日(土)】
○エドヒガン近くで、モズを見ました。20cmほどの大きさで、ムクドリ位の小型の鳥です。日本全土に分布していて、平地から山地の林などに棲息する漂鳥(季節によって生活の場を替える鳥)です。頭部と胸から脚にかけて赤褐色、目縁と羽の先がすじ状で黒っぽい色をしています。長い尾を円を描くように回すところが特徴です。小型ですが、ワシやタカのように狩りをします。昆虫はもちろん、カエル、トカゲ、モグラなど、時として自分と同じくらいの大きさの鳥さえ餌食にします。秋から初冬にかけて、「モズのはやにえ」という、捕らえた餌を木の枝などに突き刺しておく習性があります。理由はよく判りませんが、餌の不足する冬に備えるためではないかといわれています。モズは漢字で「百舌」と書きますが、他の鳥の鳴き真似をするところから付けられたようです。
【2005年3月3日(木)】
○今日は五節句のひとつである「上巳(じょうし)」です。一般には女の子の節句で桃の節句やひな祭りと言われているようです。ところで、ふれあい橋からセンターへ通じる通路際に、春の使者といわれるツクシが顔を出しています。童謡で「ツクシだれの子、スギナの子」と歌われますが、ツクシに続いて細い線状で緑の葉っぱのスギナが出てきます。ツクシとスギナは地下で繋がっていますが、厳密にいうと親子ではありません。ツクシが胞子を作る胞子茎で、スギナが光合成を担当する栄養茎です。ツクシの名のいわれに付いては諸説があります。スギナに付いているので「付子」であるとか、土を突いて出るので「突く子」であるとかです。また、スギナは「継ぎ子」で、ツクシは「継く子」という説もあります。漢字では「土筆」と書きますが、土に刺した筆のような姿からだそうです。
【2005年3月1日(火)】
○センター西側の藪でウグイスの「ホーホケキョ」の鳴き声を聞きました。姿を確認しようと探しましたが、残念ながらその姿を見つけることはできませんでした。ウグイスは14〜16cmで、スズメとほぼ同じ大きさ、茶褐色の体に淡い眉班がある地味な鳥です。ウグイスといってもウグイス色ではありません。ウグイス色の鳥で間違いやすいのはメジロです。よく「梅にウグイス」といって春の鳥と思われている方も多いようですが、実は留鳥で1年中見ることができる鳥です。先日、ある新聞でも春の象徴として、「切手と掛けて、谷間のウグイスと解く」そのこころは、「貼る(春)を待つ」と紹介されていました。なお、お馴染みの「ホーホケキョ」の鳴き声は、「谷渡り」といって、警戒の意味で繰り返すそうです。冬には「チャッチャッ」と鳴きますが、こちらは「笹鳴き」と呼ばれるそうです。
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