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北本自然観察公園 自然観察記録 2005年8月

2005年10月6日更新
                                           埼玉県自然学習センター


【2005年8月31日(水)】
○ガガイモの小さい花が咲きはじめました。花の内側は赤いのですが、白い毛がたくさん生えているので、ピンク色に見えます。花の外側は白です。秋になるとニガウリを小さくしたような実が付き、熟すと割れて、中にはタンポポよりも大型の綿毛を付けた種がたくさん入っています。

【2005年8月30日(火)】
○木道脇の水路の上流部分でホトケドジョウが繁殖しているのが確認できました。小さなホトケドジョウとドジョウもいます。このホトケドジョウは、昔はこの公園にいたことが確認されていますが、10年以上観察されず公園からはいなくなっていました。そのため、元農林総合研究センター水産支所熊谷支場で繁殖させた桶川産のものを、2年半ほど前に導入しました。今後、定着するかどうかはまだわかりませんが、とりあえず第1段階の繁殖は成功しました。

【2005年8月28日(日)】
○高尾の池でゴイサギがよく観察されるようになりました。毎年、この時期になると、ゴイサギが集まってきて、多いと30羽くらいになることもあります。灰褐色に白い斑点模様の「ホシゴイ」といわれているゴイサギの幼鳥がほとんどで、成鳥は数羽しかいません。夜行性なので、昼間は池の縁にいてあまり目立ちませんが、雨が降っている日などは、30羽くらいが木にとまっていて、幻想的な雰囲気になることがあります。

【2005年8月27日(土)】
○先週くらいまではクヌギの枝先が落ちているのが目立ったのですが、ここにきてコナラの枝先も落とされるようになってきました。同じくハイイロチョッキリのお母さんの仕業だと思います。クヌギとコナラでなぜ時期が違うのか、よくわかりませんが、ドングリの生長具合の差によるのでしょうか。

【2005年8月26日(金)】
○台風11号が思ったよりも南を通過したため、一部歩道が水没したところもありましたが、倒木などはありませんでした。園内を見回っていると、一夜堤近くの歩道にヒキガエルが1匹いました。この時期、ヒキガエルは「夏休み」、活動せずに石の下などで夏の眠りについているはずなのですが、増水で寝てられなくなったのかもしれません。この公園、以前はヒキガエルはよく見られたそうですが、最近ではほとんど見かけません。卵塊の数が年々多くなってきているニホンアカガエルとは対照的です。

【2005年8月25日(木)】
○今年の夏、最後のイベント「セミのぬけがら調査」の日です。台風の雨が時折はげしく降る中、それでも20名の参加者がセミのぬけがらを一所懸命さがしました。外に出ている間は、雨も弱かったため、合計で166個のぬけがらが見つかりました。今回はアブラゼミとツクツクボウシが多く、7月27日の「セミのぬけがら調査」の時のニイニイゼミが圧倒的に多く、次がヒグラシという結果とはまったく異なりました。

【2005年8月24日(水)】
○直径5センチ、表面は緑色でつるつる、まん丸の実。いつ誰が置いたのか、受付の目の前に置かれていました。さて、何の木の実でしょう。ツバキにしてはちょっと大きいなあ、といいながらみんなで見ていたのですが、よくわからない。包丁で2つ割にして、やっとツバキの実だということがわかりました。これからは、ツバキの種の部分で「ふえ」をつくれるようになります。

【2005年8月23日(火)】
○センターを一歩出ると、セミ時雨です。公園の林沿いの道を歩くと、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシがそろって鳴いています。そして、朝夕やちょっとでも日が陰ると、ヒグラシの声が聞こえてきます。

【2005年8月21日(日)】
○センターそばのケヤキの大木の下で、長さ1cmくらいの豆の鞘のようなものを見つけました。ひょうたんのような形で、厚みは1oくらいしかありません。何だろうと思って見ていると、端から虫が小さな顔を出し、ずるずると引きずって動き始めました。マダラマルハヒロズコガ(またはその仲間)の幼虫で、ミノムシのようにこのような形のミノを持っているそうです。この仲間はツヅミミノムシとも呼ばれているそうです。

【2005年8月20日(土)】
○先週紹介したキボシアシナガバチの巣ですが、女王蜂も幼虫もいなくなってしまいました。そして、レモンイエローのまゆも破られて、中は空っぽです。多分、ヒメスズメバチに襲われて、幼虫やサナギは肉団子にされてしまったのだと思います。ヒメスズメバチは、アシナガバチの仲間の幼虫やサナギを自らの幼虫の餌として与えています。

【2005年8月19日(金)】
○今日のお昼ごろ、センターの公園内を歩いていたら、まだ緑色で熟していないカラスウリの実を見つけました。これは7月下旬の早い時期に花を咲かせたカラスウリの実です。この時期、まだ花も咲いています。綺麗な花を咲かせるこのカラスウリは、赤く色づくこれからの季節に備えてひっそりと準備しているようでした。

【2005年8月18日(木)】
○センターそば、落ち葉のある地面の上で、へたが大きくて茶色のカキの実のようなものを見つけました。先端には小さな穴があいていて、カキの実の部分を押すとへこんで、穴からは黒いホコリのようなものが出てきます。キノコらしくない形ですが、これでも立派なキノコで、ホコリのようなものは胞子です。カキではなくクリに見立ててツチグリというキノコの仲間で、エリマキツチグリです。そばに、タマネギのような形のものもありますが、これは、「ヘタ」の部分が開く前のものです。

【2005年8月17日(水)】
○朝方や夕方、開館時間の前後の人が少ない時間帯に、センターの屋根で大きな物音がすることがあります。屋根の上を歩き回ったり、つついたり、時にはすべったりするカラスの仕業です。ハシブトガラスもハシボソガラスも両方いることがあります。先日、屋根の上に上がる機会がありましたが、「たね」のたくさん入ったペリット(消化できないものを吐き出したかたまり)がいくつも落ちていました。
 
【2005年8月16日(火)】
○公園内のクヌギの木の下に、枝先が切り取られてたくさん落ちています。犯人は誰だ?切り口は鋭利な刃物でスパッと切った感じではなく、引きちぎったようでもなく、切れ味の悪いナイフで切ったみたいです。落ちた枝には若いドングリが付いています。おそらくハイイロチョッキリが犯人です。チョッキリのお母さんがドングリに卵を産み付けたあと、枝先を落とした物です。

【2005年8月14日(日)】
○今日は、いきもの講座と定例自然観察会が開かれました。夏休み中ということもあって親子連れなど50人ほどが参加しました。今日のテーマは、カナヘビ。カナヘビとトカゲ、似てますがよく見ると違いがあります。カナヘビは、うろこに光沢がなく、皮膚の表面がかたくありません。また、尾が全長の3分の2以上あり、ニホントカゲに比べるとかなり細長い感じです。一方、ニホントカゲは、うろこがなめらかで金属のような光沢があります。観察会では、センターの前の草むらでカナヘビ探しに挑戦。開始早々、「見つけたよ。」「つかまえた!」とあちこちで子供達の歓声が飛び交いました。藪蚊の攻撃にもめげず、最後まで熱心に参加した皆さん、暑い中たいへんお疲れさまでした。

【2005年8月13日(土)】
○センニンソウの白い花が咲きはじめました。センターの車庫のそばのフェンスにからみついています。センニンソウの名前は、種の形から来ています。ラグビーボール型の小さな種に、耳かきの頭に付いているフワフワした羽毛を1本抜いてくっつけたように見えます。この羽毛みたいな部分を仙人のヒゲに見立ててついた名前です。

【2005年8月12日(金)】
○センターの看板そば、駐輪場の反対側にアシナガバチの巣ができました。繭の部分がレモンイエローでとても綺麗なキボシアシナガバチの巣です。まだ、女王バチだけが働きバチを育てている段階のようです。この公園内に限っていえば、去年、おととしに比べて、今年はアシナガバチ、スズメバチの巣がとても少ないようです。

【2005年8月11日(木)】
○公園内の所々にヤブランが淡紫色の花を咲かせています。林の中や森のへりの藪のような場所に生えるユリ科の多年草で、夏から秋にかけて花茎を伸ばし、8〜12cmほどの花序に多数の小さな花を付けます。葉は、細長い線形で東洋蘭の葉に似ていることからこの名が付いたようです。厳しい暑さが続いていますが、暦の上では立秋を過ぎ、林の中にも少しずつ秋が近づいています。

【2005年8月10日(水)】
○このところ高尾の池でカルガモをよく見かけます。10羽位のグループが2つあるようで、それぞれ親子だと思います。カルガモはこの公園で繁殖している唯一のカモです。あとひと月もすると、シベリア方面で子育てをしていたコガモも公園にやってきて、高尾の池もにぎやかになるはずです。

【2005年8月9日(火)】
○エドヒガンの隣にあるウワミズザクラの「サクランボ」が赤くなってきました。小さな白い花がブラシ状にたくさんつきますがサクラの仲間です。同じサクラの仲間なのに花の時期がひと月近く遅いため、あまり注目されないウワミズザクラですが、つぼみを塩漬けにして保存食にしたり、実をお酒に漬けてアンニンゴ酒として利用している地方もあります。きれいな赤い色のお酒になります。

【2005年8月7日(日)】
○鳥のフンの中に直径5mmくらいの丸い種が入っているのがよく見つかります。表面には縦の溝が何本も入っています。何の「たね」でしょう。今年5月、例年以上にたくさんの花をつけたミズキが、実もたくさんつけていて、その「たね」です。緑色から赤、濃い紫色に順に熟していきます。これからしばらくは、果実の好きな鳥たちのごちそうになるはずです。

【2005年8月6日(土)】
○8月4日のコガネグモと近い仲間にナガコガネグモがいます。この公園では、コガネグモよりよく見かけます。コガネグモと違って「かくれ帯」が縦に上下に延びます。コガネグモの仲間は指を出したりしておどかすと、網を前後に揺すって威嚇します。

【2005年8月5日(金)】
○このところ、クワの木でトラフカミキリが見つかっています。黄色と黒、茶色の模様が美しいカミキリで、タイガースファンが喜びそうな色合いです。幼虫はクワの材を食べます。北本では数年前から時々見つかるようになってきています。

【2005年8月4日(木)】
○センターのすぐそばにお腹が丸まると太ったコガネグモがいます。丸い大きな巣には、「かくれ帯」といってX字型の白いジグザグ模様の帯がついています。そして8本の足も2本ずつそろえているので、やはりX字型に見えます。ところが、センター前の個体は左前と右後がそれぞれ1本づつないので、昆虫のように6本足です。公園内では4年前の夏にはよく見かけましたが、久しぶりの登場です。埼玉レッドデータブックにも載っている数の少ないクモです。

【2005年8月3日(水)】
○「変な葉をさがそう」という行事の中で、参加者の小学生が、変な形の物を見つけました。コナラの枝でじっと動かないので、昆虫のぬけがらにも見えますが、シャチホコガの幼虫でした。名古屋城の「金のシャチホコ」のシャチホコに幼虫の形が似ているのでついた名前です。

【2005年8月2日(火)】
○オーシンツクツク、オーシンツクツクというツクツクボウシの声を聞きました。このあたりでは、いちばん遅く鳴きはじめるセミです。ぬけがらは、ヒグラシと似ていますが、「つや」がなく、触覚の4節目が長くありません。ツクツクボウシが出てきたことで、公園にいるセミ5種類がすべてそろいました。

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