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北本自然観察公園 自然観察記録 2004年8月

2004年10月12日更新
                                           埼玉県自然学習センター


【2004年8月31日(火)】
○高尾の森の園路際に、オニドコロが黄緑色の小さな花を咲かせています。日本全土の陽当たりの良い山野に生える、ヤマノイモ科に属する、つる性の多年草です。生垣や植え込みにいつの間にか絡みついて、刈ってもまた伸びる、繁殖力が旺盛な植物です。また、雌雄異株で、雄花序は立ち上がり、雌花序は垂れ下がります。根は山芋に似ていて、食べることができるという説と、毒があるので食べられないという説があります。食べた人によると苦味があって美味しくないとのことです。名前の由来ですが、根が太くて、ひげ根が多数あるところを、海にいる海老(エビ)に準えて、さらに、これを老人の髭に見立てて、野の老人から「野老(ところ)」になり、大きな葉を持つところから、「鬼野老(オニドコロ)」になつたといわれています。

【2004年8月29日(日)】
○台風16号の接近により一日中雨模様でしたが、センター2階の展望室からは、高尾の池に多くの鳥を観測することができました。内訳はゴイサギ32羽、カルガモ11羽、ダイサギ1羽、アオサギ2羽です。ゴイサギは毎年、この時期になると数が多くなり、天気の悪い日には観察しやすい場所に出てくるようですが、これほど多く確認されたのは非常に珍しい事例です。ゴイサギは夜行性の鳥で、昼間は雑木林や池の端などで休み、夕方から夜にかけて川や池でエサを捕る習性があります。また、ゴイサギはダイサギ、チュウサギ、コサギやアオサギなどとともに集団営巣するといわれています。

【2004年8月28日(土)】
○公園内各所に、ヘクソカズラの花が咲いています。畑や草原、林の縁などに生える多年草のつる草で、つるは左向きに他のものにからみつきます。葉を揉むと、独特の悪臭がするところから名付けられたといわれていますが、変な名前を付けられた植物も多いなかで、ワースト1候補かもしれません。花は、短い柄のある鐘型で、花びらが白色、中心が紅紫色で可愛らしいのに、可哀想な気もします。別名のヤイトバナ(灸花)は花の中心の紅紫色をお灸に見立てたもので、これもあまり良い名前ではありません。もう一つの別名サオトメバナ(早乙女花)は、花の形を早乙女が被る笠に見立てたもので、これは逆に褒めすぎでしょうか。

【2004年8月27日(金)】
○エドヒガンへ向かう林道際に、ヒナタイノコズチが淡緑色の細い穂状の小さな花を密集させて咲かせています。高さ100cmほどの多年草で、日本全土に分布し、日当たりの良い山地、丘陵、草原などに自生しています。目立たない雑草ですが、種は刺を持っていて、洋服や小動物の毛皮に付着して、離れたところに種を運んでもらい勢力を拡げます。そのため、トビツキグサという別名もあります。イノコズチの命名の由来ですが、茎の太く膨らんだ節が、猪の子供の膝頭に似ていることから付けられたとのことです。なお、根を乾燥したものを漢方で牛膝といい、利尿、関節炎、脚気、腎臓病、婦人病などに薬効があるといわれています。非常によく似たものに、ヒカゲイノコズチがあり、名前のとおり日当たりのよくない場所に生え、花穂もこちらの方が疎らに付くようです。

【2004年8月26日(木)】
○高尾の森に向かう園路際に、ヨウシュヤマゴボウが紅紫色の実を付けています。高さ1〜2mの大型の野草で、陽当たりのよい荒れ地などに生えます。明治初期に我が国に渡来した北米原産の帰化植物です。根が太く、地中深くまで伸びていて、ゴボウに似ているのが命名の由来だそうです。ゴボウという名前のため食べられると思っている人が多いようですが、残念ながら有毒なため食べることはできません。漬け物などでヤマゴボウとして売られているのは、モリアザミやフジアザミの根です。実を付ける前に、中央が緑の小さな白い花を咲かせます。なお、根を乾燥したものは、漢方薬として利尿に効果があるそうです。

【2004年8月25日(水)】
○木道の先で、ゴマダラカミキリの成虫を見つけました。成虫は、体長が25〜35mmで、長い触角と青黒いツヤが特徴で、足は青灰色の小さな毛で覆われています。日本全国に分布していて、平地から低山地の林などで、ごく普通に見ることができます。クワやヤナギなどのいろいろな木に集まり、生木の樹皮や葉を食べ、樹液もなめます。メスはこれらの木の樹皮を食い破って産卵し、孵化した幼虫は木の中で育ち、穴を開けます。そのため、木を枯らしてしまい、果樹園などでは大きな被害がでているようです。成虫は、昼間よく飛びます。また、胸をすり合わせて、チイチイと鳴きます。木に穴を開けるところから、鉄砲虫とも呼ばれます。

【2004年8月24日(火)】
○昨日23日は、二十四節季の一つである「処暑」でした。意味は、「暑さが収まる」です。そのためか、昨日は暑さも和らいだ一日でしたが、今日は一転し残暑が厳しい一日となりました。ところで、エドヒガンへ向かう林道際にヒキオコシが青紫色の小さな花を咲かせています。高さ50〜150cmの多年草で、日本全土に分布し、日当たりの良い山地、丘陵、草原などで普通に見ることができます。ヒキオコシの葉は、シソの葉に似ていますが、レクトラチンという非常に苦味の強い成分を含み、古くから苦味健胃薬として知られています。ヒキオコシという変わった名前の由来ですが、その昔弘法大師が行き倒れの行者に、この葉の汁を飲ませたところ、たちどころに元気を取り戻した故事に因み、病人をも引き起こす起死回生の効があるとの言い伝えから付けられたといわれています。そのためか、エンメイソウという別名もあります。

【2004年8月22日(日)】
○トンボ池前の園路際に、ヤブランが淡紫色で穂状の小さな花を咲かせています。日本全土に分布している常緑の多年草で、林の下などに自生しています。高さが30〜50cmで、細い花茎が立ち、小さな花を多数付けます。花は日中開花し、夕方には閉じます。秋には黒紫色の果実が熟します。根を乾燥したものを、漢方で「大葉麦門冬(ダイヨウバクモントウ)」といい、オオバジャノヒゲの「麦門冬」と同じ薬効があるそうです。園芸用として、「フイリヤブラン」という葉に班入りの品種などが栽培されています。命名の由来ですが、葉がシュンランの葉に似ているところから、ランの名前が付けられたそうです。別名を「山菅(ヤマスゲ)」といい、万葉集にも何首か載っています。一首紹介「あしひきの 山菅の根の ねもころに 我はそ恋ふる 君が姿に」。

【2004年8月21日(土)】
○エドヒガンへ向かう園路際に、ミズヒキが深紅の小さな花を咲かせています。高さ50〜80cmのタデ科の多年草で、山地、森林、林縁などに自生しています。庭などに植えられることが多いため、園芸種と思われているようですが野生種です。花を上から見ると赤く見え、下から見ると白く見えるところを、紅白の水引に見立てたのが命名の由来だそうです。深紅の花でなく白色の花を咲かせるものは、別種のギンミズヒキと呼ばれています。また、名前が似ているキンミズヒキはバラ科で、花の色も構造もまったく違います。

【2004年8月20日(金)】
○八ッ橋を渡った左側の園路際に、ギボウシが鮮やかな青色の花を咲かせています。東アジア、特に日本に多く分布し、山地や草原の木陰に自生しています。高さ30〜90cmのユリ科の多年草で、葉間から花茎を出し、上部が総状花序となって、漏斗状の花を横向きに咲かせます。花冠は先端が六裂しています。花の色も白から紫と多彩なため、日本では江戸時代から園芸種として栽培もされています。江戸時代末期に、シーボルトがヨーロッパに持ち帰り、その後欧米に広まりました。アメリカでは品種改良も盛んに行われた結果、今では日本に逆輸入されています。名前は、若い蕾が橋の欄干につける擬宝珠に似ているところから付けられたそうです。また、若葉は食用になり、液汁は腫れ物に効くそうです。

【2004年8月19日(木)】
○木道際の水辺でオニヤンマのメスが産卵していました。腹を垂直にして飛翔し、浅い流れの水底の土に産卵管を差し込みチョン、チョンと一定のリズムで打水産卵をしていました。このようにして産み付けられた卵はやがて幼虫になり、水底の砂や泥、落葉などの堆積物の下で過ごし、成虫になるのには通常2年以上かかるそうです。オニヤンマは、日本全土の平地から山地の河川、水路、湿地などに分布しています。体長は90mm内外で、日本のトンボの中では最大の種類のひとつです。名前の由来ですが、いかめしい顔つき、黒色と黄色のだんだら模様が、虎の皮のふんどしを締めた鬼を連想させるところから、鬼のようなヤンマになったといわれています。

【2004年8月18日(水)】
○トンボ池付近の沿道際に、ハエドクソウが淡いピンク色の小さな唇型の花を咲かせています。林の縁や日陰に生育する多年草で、日本全土に分布しています。高さ30〜50cmですが、大きな葉を持ち、長い茎にまばらに花を付けます。花は質素ですが可憐です。名前ですが、根の煎汁でハエ取り紙を作ったことに由来するそうです。花が終わると、実ができます。実はイノコズチに似ていて、刺状のツメを持っています。その刺で人間や動物に付いて、遠くへ運んでもらいます。引っ付き虫といわれる所以です。

【2004年8月17日(火)】
○8月11日に、一夜堤手前の曲がり角で、珍しいトンボを撮影したとの報告がありました。写真を確認したところ、全身が真っ赤、羽の付け根が赤黄色で、胸に太い2本の黒い線がありました。その特徴からネキトンボではないかと思われます。ネキトンボについては、現在まで当公園内で確認された記録はありません。アカトンボとしては暖地に生息するトンボで、関東地方では大変珍しい種でしたが、最近は県内でも観察されることが多くなり、寄居町、小川町東部で見られるようです。ネキトンボの名前は、羽の付け根が黄色っぽいところから名付けられたそうです。アカトンボ属の仲間で、ジョウジョウトンボによく似ていますが、こちらの方が赤味が深いようです。また、アキアカネなどと比べると羽が大きく見えます。

【2004年8月15日(日)】
○一夜堤の先の北里の森園路際に、アキノタムラソウ が淡紫色の素朴な花を咲かせています。高さ0.5〜1mの多年草の草本で、山形県以西に分布しています。山際の道端、畦道、草原などで普通に見ることができます。学名は「サルビア ヤポニカ」といい、名前のとおり園芸種のサルビアと同属です。名前からは秋に咲くイメージですが、実際は梅雨の頃から初秋まで花が続きます。そのため、ナツノタムラソウといったほうがよいとも思われますが、同属にナツノタムラソウもハルノタムラソウも別種として存在しています。さらに複雑なことは、まったく別種類の草本にタムラソウという名前があることです。
【2004年8月14日(土)】
○木道際に、タコノアシが淡黄色の小さな花を密集させて咲いています。高さ30〜85cmで、川やため池などの泥湿地に生育する1年生草本で、本州、四国、九州に分布し ています。近年、その生育環境である湿地が河川改修や土地造成により減少しているため、環境庁の絶滅危惧U類に指定されいる稀少植物です。命名の由来は、花序の形が吸盤の付いたタコの足に似ているところからだそうです。10月頃に、種子、茎、葉など全体が紅色に染まります。種子を付ける時期には、まさにユデタコのように見えます。 稀少植物はその生育環境を保護することが重要です。

【2004年8月12日(木)】
○センターの裏側で、子供の頃よく遊んだ、お馴染みのネコジャラシが緑色の花穂を付けています。ネコジャラシは、日本全国に分布していて、道端や畑などで普通に見ることができる一年生の雑草です。エノコログサ(狗尾草)が正式な名前ですが、毛の生えた花穂が子犬(狗(エノコロ))の尾に似ていることから、あるいはイヌコログサから転じたといわれています。また、ネコジャラシの名前は、この花穂で猫の首のところをじゃらして遊んだところから名付けられたとのことです。よく見ると、花穂がやや長く、垂れ下がっています。葉も上面にまばらな軟毛が付いています。ということは、アキノエノコログサのようです。

【2004年8月11日(水)】
○木道の入口脇に、メヤブマオが薄緑色の細い小さなを咲かせています。イラクサ科の多年草で、日本各地に分布しており、山地の林下や藪に生えています。高さ1m程度、葉の長さは15cm程度で対生し、卵円形をしています。葉の脇から細くて長い穂を出し、花を付けます。仲間のヤブマオに比べ、葉が薄く、花序も細くて全体に弱々しく見えるところから、メヤブマオといわれるようになったとのことです。メヤブマオは、ヤブマオとアカソの交配種といわれています。なお、イラクサ科ということで、当然の如くイラクサに似ています。

【2004年8月10日(火)】
○先日、高尾の池の枯れ枝にツミが止まっているのを見たという情報が寄せられました。ツミは、ヒヨドリより少し大きい位で、ハトと間違われこともあるタカ科に属する小型の猛禽類です。オスは背面が暗青灰色、メスは濃い石板色です。キィーキッキッキッと鳴いたり、ピョーピョピョピョと鳴くこともあります。最近は、関東地方の市街地でもよく見ることができるそうです。ツミのエサであるスズメなどの小鳥が豊富に棲息するからでしょうか。ツミは自分の巣の周囲50m以内に、カラスを近づけない習性があるそうです。その恩恵を受けるのは、オナガで、なぜかツミと仲が良く、ツミの巣の近くに自分の巣を造るといわれています。

【2004年8月7日(土)】
○今日は、二十四節季の一つである「立秋」です。意味は、秋が始まり、この日から残暑になるということです。そのためか、午前中は30度を超す暑さでしたが、午後からは雷雨模様となり、気温も30度を下回り、暑さも若干和らぎました。ところで、木道際でツユクサが青色の小さな可憐な花を咲かせています。路傍や空地に生える1年草で、厄介な雑草ですが、よく見るとなかなか面白い風情です。早朝の5時頃開花し、ほぼ午前中に閉じ、余りにも短命なところから露の草となったとか、朝露に濡れて咲くことから名付けられたとかいわれています。古くは、青の染料として広く使われたようですが、現在は友禅染の下絵にしか使われていないようです。馴染みのある花なので、別名もボウシバナやツキクサなど全部で37もあるそうです。万葉集には、「朝(あした)咲き 夕べは消(け)ぬる 鴨頭草(つきくさ)の 消ぬべき恋も 我はするかも」と詠われています。

【2004年8月6日(金)】
○高尾の森に向かう園路際に、セイバンモロコシが黄褐色と紫褐色の混じったような穂を付けています。地中海沿岸原産のイネ科の多年草で、1940年代に関東で確認され、近年各地に広まっています。現在、関東以西の草原、道端、堤防法面などに繁茂し、高さは最高で2m近くまで達します。葉は長さが20〜60cm、幅1〜2cmで互生しています。また、葉の中央が白く、ススキに似ています。刈り取りには、チガヤよりは弱いですが、ススキよりは強いそうです。将来、温暖な地域ではススキに取って代わる可能性があるといわれています。

【2004年8月5日(木)】
○木道際で、キツネノボタンが黄色の小さな花を咲かせています。高さ15〜80cm、水田周辺の水路、溝、あぜ道などに生える多年草で、日本全土に分布していて、ごく普通に見ることができます。花の後に、コンペイトウのような実をつけますが、これは有毒です。葉がボタンに似ていることと、有毒植物で怪しげであることをキツネにたとえたことが、名前のいわれです。同じキンポウゲ科のウマノアシガタに似ていますが、山野に育つ可憐なウマノアシガタと違い、キツネノボタンは茎の太さや頑丈さが雑草そのものです。そのため、農家の方に嫌われています。

【2004年8月4日(水)】
○30度を超える暑さの中でも、公園内には各種のチョウが元気よく飛んでいます。今日は葦原の園路際でツバメシジミを、八ッ橋近くでキタテハが飛んでいる見ました。ツバメシジミは、体長約25mmで青色のチョウです。低空飛行することが多く、同じところにいる時間が長いのが特徴です。羽の後ろにしっぽのような突起があります。これがツバメの名の由来です。キタテハは、体長約60mmの黄褐色のチョウです。黄色のチョウで、羽を立てて止まるところから名付けられました。なぜ、羽を立てるかですが、大陽を一杯浴びて、体温を上げるためといわれています。まるで、ソーラーパネルのようです。

【2004年8月3日(火)】
○公園内数カ所に、メハジキが淡紅色の花を葉の付け根に数個ずつ咲かせています。茎や葉には白い毛が多く、葉は2重3重の反転プロペラのように見えます。高さ1.5〜2mで、道端や荒れ地に生えるシソ科の2年草雑草です。茎を曲げても弾力があり、折れません。そのため、子供がまぶたに挟んで目を開けて遊んだところから眼弾き(メハジキ)と名付けられたといわれています。別名は、ヤクモソウといいます。漢方では、メハジキの乾燥したものを、産前産後の婦人薬として用います。これを生薬の「益母草」(やくもそう)といったためです。

【2004年8月1日(日)】
○蒲桜へ向かう園路際に、オミナエシが小さな黄色い花を咲かせています。秋の七草の一つで、昔から親しまれている植物です。日本全国の陽当たりの良い草地などに生え、高さ60〜100cmの多年草で、毎年切り花や盆花として楽しめる花ですが、最近見かけることが少なくなっているようです。根を干したものは、漢方薬の「敗醤根」といい、利尿や腫れ、むくみなどに薬効があるそうです。名前のオミナとは、美しい女性の意味で、エシは飯が転じたという説と、粟のご飯を「おみな飯」と呼んでいてそれから転じたという説があります。漢字では女郎花と書きます。似た花にオトコエシ(男郎花)という白い花がありますが、茎葉に細い毛があり、丈夫な印象を与えるところから対照的な名前が付けられたようです。昔から歌の題材によく使われています。万葉集にも、「手にとれば 袖(そで)さえ匂う 女郎花 この白露に 散らまく惜しも」がありました。


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