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北本自然観察公園 自然観察記録 2004年1月

2004年3月12日更新
                                           埼玉県自然学習センター


【2004年1月31日(土)】
○この冬はベニマシコやジョウビタキは頻繁に見られ、アリスイ、トラツグミもほぼ毎日観察されています。1月21日から31日の間にセンターの職員が観察した野鳥は上記の他カワウ、アオサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、トビ、オオタカ、ノスリ、キジ、バン、ヤマシギ、キジバト、カワセミ、アオゲラ、アカゲラ、コゲラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ビンズイ、ヒヨドリ、モズ、アカハラ、シロハラ、ツグミ、ウグイス、エナガ、シジョウカラ、メジロ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、カワラヒワ、シメ、スズメ、カケス、オナガ、ハシブトガラスの41種類です。この他にも、ハイイロチュウヒ、チョウゲンボウ、クイナ、キセキレイ、ルリビタキ、ヤマガラ、アトリ、ウソ、ハシボソガラスなどが来館者により観察されています。

【2004年1月29日(木)】
○今年はトラツグミも公園の中で頻繁に目撃されています。観察されるのは一夜堤付近が多いのですが、エドヒガンの先でも観察されています。黄色と黒の虎に似た横縞模様をしたツグミの仲間の鳥で、キジバトよりも少し小さめの鳥です。薄暗い雑木林でミミズを探しながら地上を歩くことが多く、落ち葉と区別しにくい保護色をしています。夜になるとヒョー、ヒョーと冥界から響いてくるような幽遠な、か細く透き通る声で鳴きます。この鳴き声故に別名ヌエと呼ばれる化け物にされ、「平家物語」には源三位頼政によるヌエ退治を伝えています。

【2004年1月27日(火)】
○公園の中でミツバチに刺された人が出たので、園路端のエノキの空洞に作られたニホンミツバチの巣を見に行ったところ、寒の内にもかかわらず活動を開始していましたので、注意を喚起する看板を立てました。ミツバチは冬の寒いときは巣の中に閉じこもっていますが、冬眠しているのではなく、女王バチを中心にハタラキバチが体を寄せ合って蜂球を作り寒さを防いでいます。巣の中の温度は摂氏33度ぐらいに保たれているといわれ、外側のハタラキバチは体が冷えると蜂球の中に潜り込みます。ミツバチの冬の間の食糧は前年に集めた蜂蜜で、寒さが長く続くと蜂蜜が無くなり餓死するミツバチも出るといわれています。

【2004年1月24日(土)】
○大寒が過ぎて昨日今日と最低気温がマイナス4度近くになり、高尾の池は全面凍結しましたが、冬の陽がよく当たる草原や湿地のあぜ道などでタネツケバナやナズナ、キュリグサ、スイバ、セイヨウタンポポ、キランソウなどがロゼット葉を形成しています。ロゼットとはバラの花の形を意味する言葉で、植物が冬の寒さや乾燥に耐えるため、根ぎわから葉を放射状に出して、地面の上に広がった状態で冬を越す形をいいます。ロゼット葉を形成するのは主に多年草の植物で、冬は競合する植物が少ないので、エネルギーを消費する茎を作らないで過ごし、競合する植物が芽生える春に茎を立ち上げる省力タイプの植物です。

【2004年1月22日(木)】
○風が冷たい昼過ぎ、一羽のセグロセキレイがセンター前のロータリを、ジュッ、ジュッと濁った声を発しながら、長い尾羽をせわしなく上下に振り、チョコ、チョコと足を交互に出して歩き回っていました。セグロセキレイは日本特産の鳥で、頭部から背中にかけて黒く、白い眉班がある鳥です。セキレイといえば戦国の雄の伊達政宗が、セキレイ型の花押を使っていたことが知られていますが、秀吉追討の政宗の書状が秀吉に発見されたとき、セキレイ型の花押に目が入っていなかったので、自分が出した書状ではなく偽物だと言い逃れたといわれています。

【2004年1月20日(火)】
○明日は季節の中で最も寒さが加わるといわれている「大寒」というのに、久しぶりに気温が10度を越え、うららかな日差しが公園一杯に降りそそいでいます。陽の良く当たる園路端の所々に小さなコバルトブルーの宝石を散りばめたような、オオイヌノフグリの花が咲き出しています。この花は、明治の中頃に日本に入ってきた帰化植物ですが、今ではすっかり、日本の早春の風景にとけ込んで咲いています。オオイヌノフグリという和名は牧野富太郎が命名しましたが、フランスでは「ベルシャの聖人」、イギリスは「小鳥の瞳」、中国は「地錦」というように、まともな名前が付けられています。

【2004年1月18日(日)】
○朝方雪が降ったと見えて凍った池や園路がうっすらと白くなっていました。このところ毎日のようにアリスイが見られますが、この朝も湿地の枯れたヨシ原にとけ込むように、ヨシの茎の上の方に止まって、「クィクィクィ」とモズに似たかん高い声で鳴いていました。体全体が灰色を帯びた茶色と黒色のまだら模様で、頭から背にかけて黒い縦線が入っています。キツツキの仲間ですが、自分では巣穴を掘らず他のキツツキ類の古巣などを利用して産卵します。長い舌を出して主食のアリを吸い取るようにして食べるので、アリスイ(蟻吸)と名付けられたといわれています。

【2004年1月16日(金)】
○今週は公園の梅林で四方八方に伸びたウメの枝の剪定をしています。この公園のウメの木は白梅で実を取るために公園になる以前に近所の人が植えたものと思われます。ウメは「古事記」や「日本書紀」には出てこないので、8世紀頃中国文化と共に日本に入ってきたといわれています。「万葉集」にはウメがハギについで多く詠われていますが、この時代の梅は全て白梅で春先の淡雪とあわせて白梅が詠われています。それが「古今和歌集」になると菅原道真の「東風吹かば匂いおこせよ梅の花」の様に、花よりも花の香りに関心が向けられてきます。そして、「源氏物語」や「枕草子」になると「木の花は濃くも薄きも紅梅(枕草子)」と白梅や花の香りから紅梅に人々の関心は移っていきます。
○昨日はこの冬になって初めて高尾の池が全面凍結しましたが、今日も引き続き全面凍結しています。

【2004年1月14日(水)】
○今日と明日の15日は小正月です。成人の日の祝日が小正月の15日からはずれてしまったので、子供が中心として行われた鳥追いや左義長などの行事が、廃れつつあるのは寂しい気がします。小正月は豊作や魔除け祈願の行事ですが、小正月の行事の一つに木を削って花のようにした「削り花」の行事が秩父地方などに残されています。この「削り花」に用いる霊力のある樹木として、ヌルデの木が使われています。ヌルデは観察公園のあちらこちらで見られる雑木ですが、このヌルデの木に霊力を見いだしたのは、昔、聖徳太子が味方の蘇我氏が物部氏に負けそうになった時、ヌルデで四天王像を彫りそれを祀って勝利をおさめた故事などによっているのではないかといわれています。

【2004年1月12日(月)】
○照葉樹林を代表するヤブツバキが、エドヒガンの先の園路端で12月中頃から直径5pぐらいの燃え立つような五弁の紅い花を咲かせています。「つらつら椿つらつらに」と「万葉集」で詠われているように、ツバキは葉がつやつやしているという意味で「津葉木」と名付けられたといわれており、花の中心には沢山の花粉を付けた雄しべがあるので、メジロやヒヨドリなどの鳥が花の基底部の蜜を吸いに来たときに、花粉が鳥の羽について受粉します。今年のツバキは例年になく早く花を咲かせていると報道されていますが、東大寺二月堂のお水取りの行事「修二会(しゅにえ)」では、赤いツバキの造り花が春を告げる花として本尊の十一面観音に捧げられます。

【2004年1月10日(土)】
○高尾の池を囲むようにして人の高さ以上に生い茂っていたヨシ原もすっかり枯れて見通しが良くなり、アシの先端の穂が風に揺れています。この朝の高尾の池はほんの一部を残して凍結したので、いつもいるマガモやコガモは池水の落ち口のほんの僅かな凍らない部分にかたまっていました。したがって、朝の観察では池にマガモが5羽、コガモが28羽居るところが観察されたにすぎませんが、日が昇り池の氷が溶け出すと共にマガモなどが戻ってきました。「鴨のゐるみぎはのあしは霜枯れて己が羽音ぞ独り寒けき 塙保己一」

【2004年1月8日(木)】
○公園の中でスズメと同じぐらいの大きさのジョウビタキの姿が目立っています。オスは頭が白っぽく、のどが黒く、胸と腹が鮮やかな橙色で、黒い翼の左右に白い紋が付いている美しい小鳥です。今年はセンターで門松を造ってセンリョウの赤い実を飾りに付けたら、そのセンリョウの赤い実を狙ってジョウビタキがセンターの前庭にやって来ました。しかも、センターのガラス戸に自分の姿が映ると見えて、さかんにガラス戸に突っかかっているのが見られました。ジョウビタキのジョウ(尉)とは武官のことなので、縄張り意識の強いジョウビタキを兵士に見立てて名付けられたのかも知れません。

【2004年1月6日(火)】
○12月29日から1月3日までセンターが休館している間の公園のフィールド日誌を、この休暇を利用して公園の野鳥などを見に来る人達に頼んだところ、コミミズク、アリスイ、ビンズイなど45種類の野鳥が年末年始の6日間に観察されています。特に1月1日には公園の上空で、コミミズクが数羽のカラスに追われているのが観察されています。また、これとは別にヤマシギやアトリも観察されています。

【2004年1月4日(日)】
○明けましておめでとうございます。
○昨年中は多くの皆様の御来館を頂き有り難うございました。年末はこの公園に暮らすタヌキが挨拶に何度も現れ来館者を和ませてくれました。また、年末から新年にかけては門松にさしたセンリョウの赤い実をジョウビタキが啄む姿がたびたび見られ楽しませくれました。今年もこの公園で見られるいろいろの野生動植物等の観察記録をこまめに提供してまいります。公園を訪れる方の自然観察の参考になれば幸いに思います。今年も変わらぬ御来館をいただきますようお願い申し上げます。

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