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北本自然観察公園 自然観察記録 2003年10月

2003年12月 9日更新
                                           埼玉県自然学習センター


【2003年10月31日(金)】
○センター入口の街路樹のユリノキが見事な黄葉に染まっています。ユリノキの葉にはクロロフィルという葉緑素とカロチノイドという黄色い色素が含まれており、秋も深まるとクロロフィルが分解されて緑色が薄くなり葉が黄葉します。また、カエデなどの樹木が紅葉するのは、秋になると葉と枝との間に離層が発達し、光合成で蓄えられた葉の糖分が枝の方へ行かなくなって葉にたまり、更に寒くなると、この葉に蓄えられた糖分を原料にアントシアニンという赤い色素ができて葉が紅葉します。美しい紅葉の条件は、@昼夜の温度差が大きく、A十分な日照があり、B適度な水分によりきれいに色づくそうです。

【2003年10月30日(木)】
○九月の中旬頃から十月上旬にかけて、公園で紅紫色の花を咲かせていたツリフネソウが、つやつやした緑色の莢をぱんぱんに膨らませて、今にも破裂しそうになっています。莢にさわった瞬間、果皮が弾けて中の種が数m四方へ猛烈な勢いで飛び散ります。ツリフネソウはこのようにして自分の子孫を四方に拡大させていきます。また、ツリフネソウの学名はインパテエンス・ノリタンゲレで「こらえきれない さわっちゃいやよ」という意味だそうです。

【2003年10月29日(水)】
○草原や園路、雑木林にコガネグモやジョロウグモが空中にまちぶせの網を張っています。クモの糸はタンパク質で通常3対ある糸いぼから使用目的にもとづいて数種類の糸を出します。粘着性が有るのは粘着球を付けた横糸で、獲物が網にかかると粘らない縦糸を伝って獲物に飛びかかります。ジョロウグモの調査によると連続して出せるクモの糸の長さは700mぐらいで、カイコが連続して出す絹糸の半分ぐらいの長さです。芥川龍之介の短編小説「蜘蛛の糸」で、お釈迦様が蓮池の地獄に垂らしたクモの糸は、700mぐらいの長さのクモの糸を何本繋ぎ足して使ったのでしょうか。

【2003年10月28日(火)】
○公園の入口のふれあい橋から木道の方を見ると、淡白渇色の葉につつまれた高木が目に入ってきます。シンジュと呼ばれる中国原産の樹木で、明治の初め頃日本に入り、成長が早いので庭園などに植えられました。葉と見えたのは翼を持った特徴のある種子(翼果)で、中央に一つの種があります。風に吹かれて翼果がくるくる回りながら落ちてきます。シンジュという和名は西洋名を直訳したもので、この木がウルシに似た葉を持ちしばしば庭園などで見かけるので、ニワウルシの別名もあります。

【2003年10月26日(日)】
○連日早朝は気温が10度以下に下がっているのにもかかわらず、今日も公園の中でアブラゼミの鳴き声が聞かれました。さすがに「ジージー」と鳴く声は弱々しく、夏の暑さを思わせる勢いは有りません。アブラゼミはほとんどの人が知っている茶色のまだら模様をしたセミで、日本全国の人里近くに棲んでいる身近なセミです。羽が油紙のようなのでアブラゼミと名付けられたかと思ったら、鳴き声が油が煮えたぎったような音なので、アブラゼミと名付けられたと解説書に書いてありました。今日のアブラゼミの鳴き声が今年最後のセミの声になるかも知れません。

【2003年10月25日(土)】
○ジネズミ発見。ネズミという名前がついていますが、食虫目といってモグラなどに近い仲間で、大人になっても10gくらいの大きさにしかなりません。センター玄関前の壁際にいるのを、来館者が見つけてくれました。まだ子供で、かなり高い音でチーチーと鳴いていました。ジネズミの仲間は、キャラバン行動と言って、親のお尻に子供が噛みついて、その子供のお尻に次の子供が噛みついて、それが連続して電車ごっこのように移動することが知られています。もしかすると、その「連結」がはずれて、一匹迷子になっていたのかもしれません。ちょっと離れたところで、複数の鳴き声がしたので、その場所に離しました。

【2003年10月24日(金)】
○この朝、風が強いというのに高尾の池のカモたちが池の真ん中に集まっていました。風の強い日のカモたちはヨシの間に隠れているのが通常ですので、何か変だと思っていましたら、その理由がすぐに判りました。上空にオオタカが来ていたのです。飛んでいても腹の白い部分がはっきりと見えました。水鳥を狙っているのか水面近く4〜5mまで下りてきては舞い上がりをしていました。そのたびにカモたちは羽を広げて、ばたついていましたが、その内オオタカはどこかへ飛んでいってしまいました。この日の高尾の池にはマガモが16羽、コガモが238羽、カルガモが15羽来ているのが確認できました。

【2003年10月23日(木)】
○公園の中でヌルデが4oぐらいの小さな球形の黄褐色の実を、葡萄の実の房のように沢山ぶら下げています。一部の実は白い粉を吹いていますが、この実は酸塩味があり食べるとしょっぱい味がします。しかし、ジョウビタキやルリビタキなどの冬鳥は好んでこの実を食べます。ヌルデの葉は11枚前後の奇数の小葉で、この小葉の間には翼が付いているのが特徴で、しかもこのすべての小葉で一枚の葉を形成するという奇数羽状複葉と呼ばれている葉です。ヌルデと同じ葉を持つ仲間にナナカマドがあり、ナナカマドの葉も奇数羽状複葉を持っています。

【2003年10月22日(水)】
○公園で落葉低木のムラサキシキブが直径6oぐらいの典雅な紫色の実を付けています。この樹木の秋に付ける紫色の実の美しさを美化して、平安時代の女流作家「紫式部」の名が付けられましたが、学名もカルリカルパ・ヤポニカで「日本に産する美しい果実」という意味です。花屋さんでムラサキシキブの名で売られているのは、通常、実は少々小振りですが花付きがよいコムラサキで、実が葉柄の付け根から出ているのがムラサキシキブ、2〜3p離れたところから出ているのがコムラサキです。和名も付けられ方によって得をするものや、損をするものがありますが、ムラサキシキブは得をした代表選手のような気がします。

【2003年10月21日(火)】
○公園の中で背の高い茎の頂きに黄色の花を泡だつように咲かせている、セイタカアワダチソウの花が目立ってきました。北アメリカ原産の帰化植物で、土地造成などで土地がむき出しの裸地になると、真っ先に進出するパイオニア植物で、1株で数万個の種子を作り爆発的な繁殖力のある植物です。しかし、晩秋の花の少ないこの時期にはミツバチやキチョウなどにとっては貴重な蜜源植物で、これらの虫たちがセイタカアワダチソウの花の蜜を求めて飛来します。明治時代に観賞用として輸入されましたが、爆発的に増えたのは戦後で、今では嫌われている植物の代表的な一種といえます。

【2003年10月19日(日)】
○公園の中も朝夕めっきり冷えてきましたが、日中のうららかな陽気に誘われてスジグロシロチョウやキチョウ、キタテハ、アカタテハ、イチモンジセセリ、ベニシジミ、ツバメシジミ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミなどが大陽の暖かい陽の光を浴びて盛んに飛び交っています。キタテハやアカタテハは草の上に止まり、羽を開いたり閉じたりして何かを誘っているように見えます。また、キチョウ、キタテハ、アカタテハ、ウラギンシジミなどは成虫で越冬することが知られており、樹のうろや崖の穴、常緑樹の茂みや枯れ草の中などに隠れて冬を越します。

【2003年10月18日(土)】
○草丈が120pぐらいで四角い茎が枝分かれして、その茎の先端に淡紫色の多数の小花を穂状に数p付けた、ナギナタコウジュの花が公園の中で咲いています。花は茎の片面だけに付き、その花穂が弓なりに反り返る様子が薙刀(なぎなた)に似ており、また、植物の香気が中国の香じゅという植物に似ているので、ナギナタコウジュと名付けられた一年草です。ほのかな心地良い香りを持つ香草植物で、以前は万能に効く漢方薬として貴重な存在でしたが、時代の流れと共に忘れられた植物の一つです。

【2003年10月17日(金)】
○焦げ茶色の大型のジャノメチョウ科のクロコノマチョウの秋型の成虫が、数匹高尾の森でゆっくり飛んでいました。羽の端が角張り、突起状になっているのが特徴で、同定は比較的容易に出来ます。クロコノマのコノマとは「木の間」ということで、昼中は林内で行動し、早朝や夕方に林縁などに出てきます。公園には棲息していない南方系のチョウですが、去年の9月8日に、この公園で夏型と秋型の成虫が同時に採集された記録のあることなどから考えると、夏型が南方から飛んできてこの公園で卵を産み秋型が発生している可能性があります。

【2003年10月16日(木)】
○公園の草原を歩いていると「キチキチ」と音を立ててショウリョウバッタが飛んでいきました。頭部が尖った日本に棲む最大のバッタで、飛ぶときに「キチキチ」と音を立てるのはオスだけです。バッタはどの種類もオスよりもメスのほうが大きく、ショウリョウバッタもオスの大きさは4pぐらいでメスの半分強ぐらいの大きさです。色は緑色の他、褐色になる個体もあり、お盆の頃から現れるのでショウリョウバッタと呼ばれており、両足の先を持つと体を上下に動かします。

【2003年10月15日(水)】
○公園の中も秋の実りの季節を迎えています。イネ科の植物は言うに及ばず木の実が沢山実っています。赤い光沢のある実が数十個固まっているガマズミの実、赤い小さな楕円形の実が二つ可愛く並んでいるコマユミとニシキギの実、赤い実が裂けて中の黒い種が覗いているゴンズイの実、きれいな赤色ではないがノイバラの実、赤紫色のガクの上に藍色の実が載っているクサギの実、サワフタギやムラサキシキブの藍色の実、まだ緑色のクスノキやムクノキの実、チャやクサボケの大きい実や、その他ヌルデ、シロダモ、アオキなども実を付けています。これらの実のほとんどが公園を住みかとする小鳥たちの冬に向かっての貴重な食糧になります。

【2003年10月13日(月)】
○8月の中頃、園路端で淡黄色の花を下向きに付けていたハダカホオズキが、朱色の鮮やかな光沢のある8oぐらいの楕円形の実を、多数つり下げて陽の光に輝いています。1属1種の多年草で、実がホオズキに似ているが、ガクにも包まれず、裸のままなのでハダカホオズキと名付けられたといわれています。また、光沢のある赤い実を龍の目にたとえて竜珠(りゅうじゅ)と呼ぶ場合もあります。薬草としては酢に漬けた全草を絞って腫れ物に用いました。

【2003年10月12日(日)】
○大きな卵形の葉の上で、5oほどの小さなルビーのような丸い真っ赤なガマズミの実が、上を向いた線香花火のように房になって輝いています。ガマズミのズミとは酸っぱい実という意味ですが、霜が降って葉も落ちた頃になると甘味が増して人が食べても美味しい実になります。また、ガマズミの実を注意深く観察すると赤く色づいた実の中に2〜3倍の大きさの緑色のままの実が混ざっています。これはガマズミミケフシタマバエが作った虫えいで、中に幼虫が一匹入っています。実が赤く熟すと鳥が食べますが、緑色のままの実だと鳥が食べないので、幼虫の入っている実は幼虫の出すホルモンによって実が赤くなるのを防いでいます。

【2003年10月11日(土)】
○公園で一本のツリガネニンジンが細長い茎を真直ぐに立てて、青紫色の鐘を釣り下げたような小さな花を下向きに数個咲かせています。公園の中でめっきり少なくなった花の一つで、釣り鐘形の花と、根が薬用ニンジンに似ていて、同じような薬効があることからツリガネニンジンと名付けられたといわれています。別名トトキと呼ばれ、味の良い山菜として親しまれており、「山でうまいはオケラとトトキ、嫁に食わすにゃおしうござる」と古くからいわれている通り、ツリガネニンジンは昔はたいそうなご馳走であったものと思われます。

【2003年10月10日(金)】
○公園の中でイヌタデが赤紫色の粟粒のような小さな実を穂状に付けて密生させています。この穂状の実を昔の子供はままごと遊びの赤飯に見立てたことから、アカ(ノ)マンマの別名があります。アカマンマの名前は江戸時代にはすでに使われており、また、この植物が道端、草原、湿地などに生える身近な植物で、しかも子供時代の郷愁を誘うことから、近代の詩歌の中でたびたび取り上げられ詠われています。特に中野重治の詩「歌」で「おまえは歌うな おまえは赤ままの花やとんぼの羽根を歌うな」とアカマンマの花を否定して、プロレタリア文学の台頭を高らかに宣言したことは知られています。

【2003年10月9日(木)】
○今日は二十四節季の一つの「寒露」で、秋の気配がいよいよ濃くなり手足に触れる草露が思わず「冷たい」と感じる季節です。この朝は気温が10度まで下がり冷え込みましたが、抜けるようなさわやかな青空のもと20度を越えたせいか、お昼過ぎには小泉八雲が「鳥のように歌う」と形容したツクツクホウシが「オーシン ツクツクホーシ オーシン ツクツクホーシ」と鳴き出しました。ツクツクホウシは秋、遅くまで鳴くセミとして知られています。

【2003年10月8日(水)】
○秋の日の澄んだ空気を切り裂くような甲高い声のモズの高鳴きを、公園の中ではなかなか聞かれなかったのが今日聞けました。しかし、公園に毎日来ている人は今年は遅かったが何日か前に聞いたそうです。モズが初秋のこの時期に木の高枝などで、鋭く挑戦的で目立つ高鳴きなどをするのは、縄張りを宣言するためで、オスもメスも冬に向かって1羽だけの孤独な縄張りを持ちます。「百舌鳥の高鳴き七十五日」ということわざは、モズが高鳴きをしてから七十五日目に寒さがやってくるということで、モズの高鳴きは農事暦の目安にされていました。

【2003年10月7日(火)】
○公園のふれあい橋のたもとで、真夏に独特の芳香を放つ白い花を枝先に沢山付けていたクサギに、鮮やかな藍色の丸い実が熟しています。しかし、今年は実を受ける星形の紅紫色のガクそのものが少ない上、実が付いていないガクも沢山あり、例年にましてクサギの実の結実数が少ないように感じます。この夏が涼しかったせいでクサギの花の蜜を吸いに来るクロアゲハなどの昆虫が少なかったようです。藍色の実は集めて植物染料にすると美しい青磁色の染料になります。

【2003年10月5日(日)】
○ある野鳥のグループの定例の観察会が公園であり、27種類の野鳥がみられました。カワウ、ゴイサギ、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、オオタカ、ノスリ、チョウゲンボウ、キジ、バン、キジバト、カワセミ、コゲラ、ショウドウツバメ、ツバメ、ヒヨドリ、モズ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラスで、冬鳥の到来が遅れ気味になっているという話です。

【2003年10月4日(土)】
○霊場高野山に由来を持つコウヤボウキの白い花が北里の森で咲いています。山野に生える草花のようですが落葉低木で、1年目の枝には卵形の葉が互生し、その先端にくるくると花びらがカールした花を付けます。2年目の枝には1年目に葉を付けた場所に数枚の細長い葉を束生させます。高野山ではこのコウヤボウキの枝を束ねて箒にしたことから名付けられたといわれており、箒にできる長い茎のコウヤボウキが高野山には自生していたものと思われます。

【2003年10月3日(金)】
○公園でスズメバチに出会う機会が多くなっています。大型のスズメバチの仲間は日本に7種類いますが、この公園ではオオスズメバチなど5種類の棲息が確認されています。オオスズメバチのコロニーでは9月下旬頃にかけて働きバチの数がピークを迎えると、「待機バチ」という何もしないハチがあらわれ、このハチがガードマンの役割をして、何かが巣に近づいたりすると攻撃してきます。また、この時期は新しい女王バチが旅立つ季節で、働きバチは気が荒くなって攻撃的になっています。なお、公園でスズメバチにあったらその場から静かに立ち去るか、その場に立ち止まってスズメバチが飛び去るのを待つのが安全です。しかし、巣が近くにある場合はすぐ逃げなければなりません。

【2003年10月2日(木)】
○公園の中で5月の末頃淡緑色の花を咲かせていたアオハダに、7oぐらいの赤い実が点々と熟す季節になりました。まだ熟し切らない黄色ぽい実の中の熟した赤い実は、澄んだ秋の日の青空に美しい色彩を添えています。灰白色の樹皮を爪などでひっかくと緑色の内皮が表れるので、アオハダと名付けられました。雌雄異株の樹木で材は寄木細工やこけしなどに使われてきましたが、近頃は野球のバットの木として注目されてきています。

【2003年10月1日(水)】
○鮮やかな黄色の翅を持つ複数のキチョウが、センター前の草原をせわしなく飛び交っています。特に秋に発生する秋型のキチョウの黄色の翅は、他の時期のキチョウよりも鮮やかに感じます。センター前の草原にはキチョウの食草のメドハギやヤハズソウが生えているので、卵を産み付ける場所を探して食草の上を飛んでいるのかも知れません。キチョウは蛹で越冬するといわれていたのが、戦後の研究で成虫で越冬することが判るなど、チョウに関しての生態はまだまだ判らないことが沢山あります。

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