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北本自然観察公園 自然観察記録 2003年9月

2003年11月 7日更新
                                           埼玉県自然学習センター


【2003年9月30日(火)】
○公園の湿地や池のヨシ(アシ)の穂が風に揺れてます。公園の湿地は以前は田圃だったので、公園のヨシはこの十年の間にはびこったものと思われます。ヨシは湿地によく自生する植物で、茎は硬く中が空洞で節があり、生活雑排水の窒素やリンなどを吸収して水質を浄化する働きがあります。枯れたヨシは刈り取られてよしずやすだれに加工されるだけではなく、葦矢が邪気を払うという言い伝えがあり、新年の破魔矢にも使われています。また、雅楽の篳篥(ひちりき)は廬舌(ろぜつ)という歌口をつけ音を調節していますが、これはアシで作られています。

【2003年9月28日(日)】
○「夕焼け小焼けのアカトンボ」の童謡でお馴染みのアキアカネが、山での避暑を終え真っ赤になって公園に帰ってきました。アキアカネは北方系のトンボで摂氏30度を超える夏の暑さに弱いので、初夏に羽化すると直ぐに涼しい高山へ移動するものと考えられています。また、通常トンボは羽化して1〜2週間で繁殖活動をしますが、アキアカネは再び平地に帰るまで繁殖活動は行いません。卵で越冬し、田圃に水が張られる初夏にかけて幼虫(ヤゴ)で過ごし、6月下旬頃羽化して暑い夏は山で過ごし、気温が下がる秋になると真っ赤になって帰ってくるアキアカネの生態は、稲作を中心とした日本の気候風土に適応した日本の原風景を演出するトンボといえるでしょう。

【2003年9月27日(土)】
○柔らかい小イヌの尻尾の毛を思わせるエノコログサの穂が園路端や草原で立ち上がっています。平安時代に編まれた「和名抄」には「イヌノコグサ」となっており、子イヌの尻尾に穂が似ているということでそのように名付けられたものと思われます。また、この尻尾のような穂を小ネコの顔の前に持っていくと、小ネコがじゃれるので別名ネコジャラシの名があります。英語ではこの種の植物をキツネの尻尾草と呼んでおり、洋の東西を問わず人の発想は同じもののようです。

【2003年9月26日(金)】
○センター二階の荒川ビオトープモニターテレビを操作していたら、一匹のまるまると太ったタヌキが画面に飛び込んできました。タヌキは草原の中に顔を突っ込んでときどき口を動かしながら、バッタか何かを食べているような仕草で、警戒している様子もなく移動していました。このタヌキはホンドタヌキでホンドキツネもこの付近には棲息しています。タヌキは愛嬌があり時々飲み屋の入口などに信楽焼のタヌキが前掛けをかけて鎮座しているのを見かけることがあります。通常、前掛けをしている場合は飲み代は後払いでいいよということですが、前掛けをしていない場合は飲み代は前払いということになります。

【2003年9月25日(木)】
○まばらに紫色の小穂を多数付けたカゼクサが園路端で咲いています。イネ科の植物で、よく見ないと他の草の色に紛れて判らないような地味な花ですが、わずかな風にも揺らいで、風の存在を静かに知らせる趣のある「風知草」としてカゼクサと呼ばれています。カゼクサの弱々しいイメージとは裏腹に強靱な植物で、根本の部分がちょうつがいのようになっていて、人に踏みつけられてもほとんどダメージもなく元通りに立ち上がります。

【2003年9月23日(火)】
○マガモが二羽高尾の池で観察できました。マガモは通常シベリア方面で繁殖し、冬鳥として高尾の池にやって来ます。この時期のマガモはオスでも青い首をしていないエクリプスと呼ばれる個体で、冬が来るにしたがってオスは青い首になり、尻尾をカールさせるなど伊達気取りのマガモになります。代表的な狩猟鳥なので相当の数のマガモが日本人の胃袋に入っていると思われます。狩猟と言えば、県内には宮内庁の埼玉鴨場が越谷市にあり、毎年11月15日から翌年2月15日までの狩猟期間に、天皇陛下が国内外の要人を招いて、又手(さで)網を使い無傷のまま捕獲する伝統的な技法での狩猟が行われています。

【2003年9月21日(日)】
○今日は雨降りの中、2回目の「楽しい草花遊び」のイベントに35名の参加を得ました。
○まず、ツノハシバミのドングリ(?)は生で食べられることを説明し、マテバシイのドングリに楊枝を刺しての独楽遊び、ムカゴの付けホクロ、ヒガンバナの花の首飾り、タラヨウの葉っぱに字を書いての葉書遊び、クズの葉鉄砲、イタドリの笛や篠の笛、ツバキの葉の巻き笛、柴笛などを作り、最後に作った笛を使って「しあわせならなら手をたたこう」を合奏して終わりました。

【2003年9月20日(土)】
○公園の中の園路端のエノキの空洞に今年もニホンミツバチが巣を作っています。ミツバチは一般的に樹の空洞の中に巣を作る習性があります。ミツバチは蜜を集めるハチ、巣を作るハチ、子供を育てるハチなどと各々が分業化されており、この分業化はハチの生まれてからの日数(日齢)によって決まっているといわれています。また、蜜のある花への距離を近くの場合は円形の、遠くになると8の字形の尻振りダンスで、他のミツバチに知らせることも知られています。

【2003年9月19日(金)】
○クズとともに公園の中を所狭しと生い茂り、他の植物に猛威をふるっているつる性一年草のカナムグラが花を咲かせています。雌雄異株で雄花は枝先に大きな円錐状の花序を作り多数の雄花を付け、また、雌花は花穂を短穂状に垂れ下げます。カナムグラのカナは鉄のこと、ムグラは藪のように生い茂る事を意味し、他の植物を圧倒し鉄のように生い茂る植物を意味します。また、黄色地に黒い紋のあるキタテハの幼虫はカナムグラを食草としているため、しばしばカナムグラの葉の上に止まって羽を広げているところを目撃されます。

【2003年9月18日(木)】
○園路脇や草原で茎は四角で高さ20pぐらいの一年草のキツネノマゴが、枝の先に2pぐらいの穂状の花序に淡紅紫色の小さな唇形花をまばらに付けています。通常は他の秋の草花のかげにかくれて、見過ごされてしまう植物ではないかと思われます。和名はキツネの尻尾に花穂が見立てて付けられたといわれていますが、今ひとつマゴの意味が判りません。ある人の説によるとゴマがマゴに間違えられたのだろうといっています。というのは、この植物は花穂からこぼれ出た果実の外皮が二つに裂け、4つの黒いゴマのような種子をはじき出すので、元はキツネノゴマといわれていただろうと想像されるといいます。

【2003年9月17日(水)】
○ミゾソバ、ママコノシリヌグイの花に続いてアキノウナギツカミの花も公園で咲き出しました。花だけを見ると3種類とも淡いピンク色の金平糖のような愛らしい花を咲かせますが、葉を見るとミゾソバの葉は牛の額のような形、ママコノシリヌグイの葉は三角形で茎を抱いており、アキノウナギツカミの葉はヤジリ形をしているので区別できます。3種類とも茎には下向きの刺がありますが、ママコノシリヌグイの刺が一番立派でしっかりしています。

【2003年9月15日(月)】
○園路脇でヒガンバナが炎のように真赤な花の群落を作って咲いています。秋の彼岸の頃咲くのでヒガンバナと名付けられていますが、鮮明で美しい赤色のヒガンバナの花が咲き出すと、いやが上にも秋を感じさせられずにはいられません。花は反り返った6枚の花びらからなり、花の中心から6本の雄しべと1本の雌しべが花と同じように反り返って長く伸びています。古くは梵語で赤を表す「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」の名で登場し、三好達治は詩集「花筺(はながたみ)」の中ではヒガンバナの花を「火の花」と表現しています。「曼珠沙華散るや赤きに耐えかねて 野見山朱鳥」

【2003年9月14日(日)】
○大型の台風が日本海を北上していったおかげで雲一つ無い青空になりました。風が少々吹いていますが、いろいろな蝶々が公園の中で飛んでいます。クロアゲハ、キアゲハ、キチョウ、スジグロシロチョウ、ヒメウラナミジャノメ、ヒメジャノメ、ヒカゲチョウ、イチモンジセセリ、コミスジ、キタテハ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミ、イチモンジチョウ、ゴマダラチョウ、ミドリヒョウモンなどが目撃されました。「一日物云わず蝶の影さす 尾崎放栽」

【2003年9月13日(土)】
○公園の湿地で紅紫色のツリフネソウの花が、帆をかけた小さな釣船を吊したような形で咲き出しました。花はガク片の一つが大きな筒となり、筒の奥は急に細くなって渦を巻いた距で、そこに蜜を貯めています。ところが最近、距のないツリフネソウの花が目立ってきたと報告されています。ツリフネソウの花はトラマルハナバチ以外の昆虫が蜜にありつくことが無いように、花の構造を変化させたといわれています。しかしトラマルハナバチが居ない地域では、ミツバチなどが花粉を目当てに来て受粉するため、距を作って蜜を貯める必要が無くなり、自然と距のないツリフネソウの花が出来たものと考えられています。

【2003年9月12日(金)】
○春、草原を這っていたヨモギが1mぐらいの直立した茎を伸ばし、穂状に目立たない頭花を付けて、黄褐色の小さな花を咲かせています。ヨモギの春の若葉は餅と混ぜて草餅を作り、茎や葉の裏の白い絹毛は集めて灸の「もぐさ」を作り、植物染料としては青みかかったネズミ色の染料として、その他腹痛や貧血などの漢方薬としても用いられます。また、ヨモギはセイタカアワダチソウと同じようにアレロパシーを発生させる能力があり、他の植物の発芽を抑制するため、一箇所に密生して生育することが多いようです。

【2003年9月11日(木)】
○公園のススキもようやく穂が出てきましたが今日は十五夜、中秋の名月です。帰る頃になると東の空に大きなまん丸いお月様を見ることが出来ました。名月にはススキが付き物ですが、ススキは奇数本、月の見える窓辺などでお供えして後、家の軒につるしておくと一年間病気をしないという言い伝えがあります。「徒然草」の中で吉田兼好は「花はさかりに、月はくまなきをのみみるものかは」といっており、兼好にとっては、まん丸い月よりも少し欠けた月の方が情趣があったようです。

【2003年9月10日(水)】
○センターからトンボ池へ行く日当たりの良い園路端に、ワレモコウが1mぐらいの高さの枝先に、暗紅色で円頭状の直立した花穂を付けています。紅い花は花びらが無く目立たないため「我も紅よ」と主張していることから名付けられたともいわれています。昔から人々に親しまれた秋の山野草ですが、親しまれたのは花そのものではなく「吾亦紅」という名前の表記故のような気がします。漢方では根茎を止血に用いていました。

【2003年9月9日(火)】
○今日は五節句の一つの重陽の節句、菊の節句です。この節句という制度の起源は古代中国にさかのぼりますが、季節が春夏秋冬と美しく移りゆく日本では、季節の折り目折り目にその時に芽吹いたり花咲く植物を代表させ、節句として祝ってきましたが、暦が旧暦から新暦に変わり、菊の花の盛んな時季がズレてしまった事などで、重陽の節句は現在の生活に引き継がれなくなってしまいました。
○公園の冬の使者コガモが5羽、季節を違わず例年通り高尾の池に渡ってきました。日本に渡ってくる最も小さなカモで、この公園に翌年の5月ぐらいまでいます。

【2003年9月7日(日)】
○この公園で6月頃から咲いている花期の長い花に、青色の花を付けるツユクサがあります。早朝、朝露が降りるころに花開いて、午後には萎れてしまう露のようにはかない植物ですが、反面、花を閉じる時に雄しべと雌しべの先端が接触し、同花受粉して子孫を残す生命力の強い植物でもあります。花弁は3枚で、上方の2枚は大きく青色ですが、下方の1枚は小さく無色です。万葉の時代にはこの花のしぼり汁で衣を染めたので「つきくさ」の名前で出てきます。下絵用の染料として重宝がられた「青花紙」は、早朝にツユクサの花弁をつみ取り、そのしぼり汁を紙にしみ込ませたものですが、今では滋賀県の草津市で細々と伝えられているにすぎません。「露草も露のちからの花ひらく 飯田龍太」
  
【2003年9月6日(土)】
○今年も寄生植物のナンバンギセルが咲き出しました。古くは「思ひ草」と呼ばれていた植物がナンバンギセルだといわれています。その根拠として、和泉式部の「野べ見れば尾花がもとの思ひ草かれゆくほどになりぞしにける」の新古今和歌集の歌や、万葉集、その他の歌から導き出せる「思ひ草」のイメージは、「尾花や萱の根元に咲くかなり目に付く花であること」、「花は一本の花茎に一つだけ咲くこと」などから、ナンバンギセルが古くは「思ひ草」と呼ばれていたと結論づけています。また、ナンバンギセルの種は日本に産する植物の中で最も軽い種だといわれています。

【2003年9月5日(金)】
○白い花弁と紅紫色の斑点の取り合わせが美しく、すがすがしい感じのヤマジノホトトギスの花が、北里の森などで咲いています。花は葉腋に付くのが普通ですが、まれには茎の先端にも付くことがあります。花被は下から3分の1で折れて平開し、折れた部分のすぐ下に大きな紫色の斑点があります。花柱は3裂し、その先でさらに2裂していて、花被片はあまり反り返りません。花は2日間咲いています。暗い山の中よりも明るい山路に、山地よりも里山に多い山野草です。

【2003年9月4日(木)】
○牧野富太郎が命名したノハラアザミが園路脇の乾いた草地などで咲いています。高さは1mぐらいですっくと伸び、その先端に紫紅色の頭花を付け、葉が余りないのですっきりした感じのアザミです。茎葉は上に行くにしたがって少なくなり、基部の葉は茎を抱いています。100種類を越えるアザミが日本にはありますが、タカアザミなど5種類はアジア大陸と共通の種類といわれていますが、ノハラアザミを含むその他のアザミは日本の特産種で、日本のアザミは両性花という特徴があります。

【2003年9月3日(水)】
○センター前の草原でメドハギの花が満開を迎えています。葉の付け根に白色に紫色の斑点がある7oぐらいの小さな蝶形の花を1個ずつ付けていますが、花が地味すぎて気が付かないで通り過ぎてしまうかも知れません。葉は長さ2p、巾3oぐらいの小葉3枚からなる複葉を、直立して1m近く伸びてよく枝分かれした茎にびっしりと付けています。もともと「メドギハギ」と呼ばれてたのが縮まって「メドハギ」になったといわれており、「メドギ」とは占いに使う筮竹(ゼイチク)の事で、筮竹を作るハギということでメドギハギと名付けられました。また、木化した茎を高級なスダレとして以前は利用していました。

【2003年9月2日(火)】
○今年の夏が例年になく涼しかったせいか公園の中では早くも秋の花が咲き出しています。赤・紫色系統の花はヒガンバナ、ノハラアザミ、ナンブヒロハアザミ、ツリガネニンジン、キツネノマゴ、ヤハズソウ、ヌスビトハギ、フジカンゾウ、ナンテンハギ、ツルマメ、ワレモコウ、ミゾソバ、ママコノシリヌグイ、イヌタデ、ボントクタデ、ヤマジノホトトギス、ナンバンギセル、メハジキ、ツルボなど。黄色系統の花はヤブタバコ、ブタクサ、ヨモギ、テンニンソウ、メドハギ、ノアズキ、ヤブツルアズキなど。その他シラヤマギク、ヒヨドリバナ、イヌホオズキ、ノダケなどの花が咲いています。

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