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北本自然観察公園 自然観察記録 2003年7月

2003年9月2日更新
                                           埼玉県自然学習センター


【2003年7月31日(木)】
○公園の園路で甲羅の長さが20pぐらいの大きさのミシシッピアカミミガメを見つけました。これで2匹目です。ミシシッピアカミミガメはこの時期が産卵期なので、産卵場所を見つけに池から出てきたところではないかと思います。戦後、ミドリガメの愛称で夜店などで小ガメが売られています。北米原産の体の色は緑色で目のうしろに赤い模様があるカメで、「カワイイ」と子供たちに人気があり、既に数百万匹は輸入されたと思われ、北海道を除く日本全土に生育するように成ってしまいました。高尾の池のような泥が多い池や沼を好む肉食傾向の強いカメで、もともと日本にいるカメを脅かしているといわれています。

【2003年7月30日(水)】
○センターのイベント「変な葉を探そう」が小雨が降る中開催されました。悪天候でしたが32名の方が参加され、3班に分かれて木道、草原、あずまや周辺を散策しながら、木や草についている変わった葉っぱを採集しました。館内にもどってからは、採集品のスケッチをしたり、講師の方から個々の葉の正体を解説してもらいました。マメコガネに葉脈を残して食べられた葉っぱや、虫こぶではエゴノネコアシ、ツトガの仲間の葉の巣など、いろいろな変な葉を見つけることができました。

【2003年7月29日(火)】
○園路脇の雑木林で1mぐらいの花茎を伸ばし、白色のヤブミョウガの花が咲いています。10oぐらいの白い花が円錐状に数段に分かれて咲きますが、花は一日で萎んでしまいます。秋になると5oぐらいの藍色のよく目立つ球形の実が熟します。藪に生えていて葉がミョウガに似ているのでヤブミョウガと名付けられていますが、葉には香りが全く無く、ミョウガとは似ても似つかぬツユクサ科の植物で、照葉樹林の林床に生える代表的野草です。

【2003年7月27日(日)】
○今日は、昨日の梅雨空がウソのように透き通る青空になっています。公園の中でエドヒガンやソメイヨシノに遅れて、けもののしっぽのような白い花を咲かせていたウワミズザクラやイヌザクラに、沢山の小さな実がなっています。ウワミズザクラの実は8oぐらいの先が尖った球形で、黄色の実の中に点々と熟した赤色の実が混ざっています。また、下の草むらには赤い実が沢山落ちています。イヌザクラの実も8oぐらいの大きさの球形で、黄赤色の実の中に熟した赤色や紫黒色の実が混ざっています。いずれの実も公園を住みかとする鳥たちの大事な食糧となります。

【2003年7月26日(土)】
○今年もヘイケボタルの青白い光が公園の中で乱舞しています。ホタルの光は熱を伴わない冷たい光ですが、ホタルを「火垂る」と書き表すとあたたかみのある感じになり、野坂昭如の小説「火垂るの墓」という題名も、過酷な戦時下の生活の中で精一杯生きた幼い兄妹のあたたかい命の灯を、消さないようにという願いが込められているものと思われます。
○ホタルは江戸の昔から特別に人気のあった虫ですが、卵が小さく幼虫と成虫とが似ても似つかないうえ、水中生活をしていたのでその成育過程が判らなく、昔の人は草が腐ってホタルに成ると考えていました。「酒は酢に草は蛍と成りにけり 一茶」

【2003年7月25日(金)】
○カバザクラ方面の公園の入口から少し入った子供公園側の観察公園で、黄色い小さな帆かけ船を釣り下げたような花の、キツリフネが咲き出しています。キツリフネの花の尾っぽ(距)の部分は、巻かないでネズミのしっぽのように伸びています。細長い莢の中に種が出来て、ホウセンカやカタバミと同じようにちょっとさわっただけで種をはじけ飛ばします。あと一月もすると紅紫色の花のツリフネソウも公園で咲き出します。

【2003年7月24日(木)】
○梅雨がまだ明け切れない曇り空ですが、今日は第1回目の「セミのぬけがら調査」を実施し、52人の参加を得て公園を3コースに分かれてセミのぬけがらを探しました。全部で358個のぬけがらを見つけ内訳は、ニイニイゼミが337個、アブラゼミが1個、ヒグラシが20個でした。この「セミのぬけがら調査」の結果からも、まだ梅雨が明け切らないで涼しいため、アブラゼミが例年になく出が遅れていることが判ります。2回目の「セミのぬけがら調査」は8月22日です。「空蝉に雨水たまり透きとほる 篠原梵」

【2003年7月23日(水)】
○センターの入口付近にオレンジ色の大きな目玉、前羽に比べ後羽が大きいウスバキトンボが一匹死んでいました。夏に特に旧盆の頃多く見られるトンボで、別名「精霊トンボ」又は「盆トンボ」とも呼ばれていますが、冬には寒さに弱いため沖縄以外では死んでしまいます。毎年4月頃熱帯地方から九州の南端に飛んで来て、世代を更新しながら8月には北海道の北の端までたどりつきますが、片道切符のトンボの悲しさで、寒さの到来と共に卵も含めて死に絶えてしまいます。ウスバキトンボの特徴は、休眠が無く卵から成虫までの期間が40日余りと短いこと、長時間飛び続けることができることです。また、止まり方も他のアカトンボと違って必ずぶら下がるような姿勢で止まります。

【2003年7月21日(月)】
○公園の中程にエノキの大木があり、エノキの葉を食草としているゴマダラチョウやテングチョウは公園に棲息しているのが確認されています。しかし、国蝶といわれているオオムラサキはこの公園が出来る前から姿を消しています。エノキは江戸時代は街道の一里塚に植えられました。エノキの大木が一里塚跡に今も多く残っているのはそのためで、夏の陽の暑さから旅人に涼をもたらした樹木として知られています。また、エノキは漢字で表せば「榎」でツバキが春の木の代表であるように、エノキは夏の木の代表であるといえましょう。

【2003年7月20日(日)】
○どこにでも生える多年草のカタバミが公園で五弁の黄色い花を咲かせています。カタバミは花よりも葉が注目された植物で、葉は家紋に使われたり、カタバミという名前も四枚有るべき葉が一枚かけているので「片食み」と名付けられたといわれています。葉と茎にはシュウ酸が含まれているので、昔は葉と茎を生のまま搗き砕いて金属や鏡などを磨くのに用いていました。また、いまでいうマニキュアのたぐいですが、いにしえの九州地方の女性がホウセンカの花を用いて爪を赤く染める場合に、カタバミで磨いて美しく発色させていました。ホウセンカはヘビが嫌うといわれていたので、ヘビをさけるため女性は爪を染めていたようです。また、南米原産の帰化植物のムラサキカタバミも公園の中で咲いています。

【2003年7月19日(土)】
○秋の七草の一つのクズが公園の中で早くも赤紫色の香気のある蝶形花を咲かせています。日本の山野にごく普通に自生しているつる性植物で、地面を這ったり、他の木にからみついたりしてよじ登り、公園でもてあましている植物の一つです。しかし、古くは衣食住にかかわる重要な植物として人々に役立てられていました。根からはクズ粉(デンプン)が採れ、また、根を干して葛根といわれる風邪薬にしたり、つるからは繊維を採って葛布を織ったり、葉は家畜の飼料として利用したりして、かってはクズの根、つる、葉とすべてを活用していましたが、利用するのに手間がかかるため、時代の流れと共に利用価値が無くなってしまった植物です。

【2003年7月18日(金)】
○公園の八ッ橋が架かっている池や他の池から「ヴォー、ヴォー」と大きな声が聞こえてきます。アメリカ原産のウシガエルの鳴き声です。日本へは大正7年(1918年)にニューオリンズから食用のため14匹が東京へやって来たのが最初だといわれています。平地性のカエルで水辺近くに住んでおり、日本では食用としては定着しませんでしたが、その後、ウシガエルの餌としてやって来たアメリカザリガニと共に、すっかり日本の風土になじんでしまいました。声が大きいので郊外の住宅地では騒音公害のため嫌われています。カエルといえばカエルの詩人草野心平を思い出しますが、大きいウシガエルの声と姿には、さすがの心平もビックリしたことでしょう。

【2003年7月17日(木)】
○雨続きの肌寒い梅雨空の公園の中でも、ニイニイゼミ、アブラゼミに続いてヒグラシも順調に羽化しています。今日の日暮れ時には公園のあちらこちらからヒグラシの「カナカナ」という鳴き声が聞こえてきました。セミは地上に出てから1〜2週間鳴き続けて、命がつきる「はかない」昆虫といわれていますが、地上に出る前の地中生活は短いので2〜3年、長いのになると17年も地中生活をしていて、「はかない」どころが寿命の長い昆虫です。引き続き公園ではミンミンゼミ、ツクツクボウシも夏の盛りに発生しますが、日本列島を北上し続けているクマゼミは、まだこの公園まで達していないようです。

【2003年7月16日(水)】
○春の到来と共に湿地の地面を這っていた春の七草のセリが、1mぐらいの高さの直立する花序を出し、その先端に白い小さな花を沢山咲かせています。古くはセリは重要な野菜として「万葉集」に詠われているほか、宮中にも大量に納入されている記録が「延喜式」に載っています。また、中国ではセリは価格の安い庶民の野菜として親しい人に贈る習慣があり、セリを贈る「献芹(けんきん)」という言葉は、日本で言う「粗品」と同意語であるといわれています。

【2003年7月15日(火)】
○センターから八ッ橋を渡り切った池の左側の土手に、紫色をした高さ2〜3pぐらいのサンゴのような形をした、ムラサキホウキタケが小さな群落を作っています。1メートル四方の中に株数にして百株を越えるムラサキホウキタケは、サンゴ状の根元の柄の方は比較的太く、先端の柄の切れ込みは浅いのが特徴で、コナラやクヌギなどの里山の林床によく発生する食用になるキノコです。
【2003年7月13日(日)】
○木道沿いの湿地にナガコガネグモがいます。丸い網に隠れ帯といって縦一直線のギザギザの模様があって、その中心にメスがいます。そっと手を近づけると、触っていないのに網が前後に揺れるはずです。これはコガネグモの仲間に共通の習性で、威嚇のために網を前後に揺すっているのです。ニホンザルが威嚇などのために木ゆすりをするのを思い出します。

【2003年7月12日(土)】
○今朝、ホトトギスの声が聞こえました。5月ころ日本に渡ってくる夏鳥で、この公園でも今年は5月18日にはじめて声を聞き、その後も、時々声がしました。もしかすると、この公園でも繁殖している可能性があります。カッコウの仲間なので、托卵といって、他の鳥の巣に卵を産んで育ててもらうのですが、ホトトギスの場合は、ウグイスの巣に卵を産むことが多いようです。

【2003年7月11日(金)】
○5月から館内で展示してたジムグリをそろそろ山に返そうと思っていたら、館内に来て2回目の脱皮をしました。脱皮直後は体も軟らかく、動きも鈍くなるので、山に返すのはもう数日待つことにしました。両生類爬虫類のミニ展示は、これから少しずつ縮小し、来週後半からは、ザリガニの展示を始める予定です。

【2003年7月10日(木)】
○先月の下旬から、たくさんの人の舌を楽しませてくれたヤマモモの実も、とうとう終わりになりました。実を落とした木のそばに行くと、人間や動物たちが食べ残した実がアルコール発酵をして、むせかえるような独特の匂いがします。先月の手作り実験教室では、クワの実といっしょにヤマモモもジャムにしました。どちらかというとクワの方は子供に、ヤマモモの方は大人に人気がありました。ヤマモモジャムは氷水で薄めるとおいしいジュースになりました。

【2003年7月9日(水)】
○高尾の池南側のチップを敷いた歩道部分に、サンコタケというキノコがでています。スッポンタケやキヌガサタケ、ホコリタケなど変わった姿をしたキノコが多い腹菌類という種類です。このサンコタケも黄色やオレンジ色の湾曲した腕のようなものを3本のばして、それが頂上でくっついている不思議な形をしています。ちょうどカニのハサミの部分が3本になったような感じです。
【2003年7月8日(火)】

○夜7時半過ぎ、今年はじめてヘイケボタルを確認しました。霧雨が降り、気温も低くかったせいもあって、まだ3.4匹しか光っていませんでした。今月下旬が最盛期だと思いますが、見ることのできるホタルの数は、日によってずいぶん違います。雨が降っていない日で、風がなく、気温の高い日が比較的多く見られるはずです。時間は夜7時半くらいから8時半くらいがいいと思います。ホタルを見ることのできる間は、センターの玄関前に観察できる場所の地図を掲示しておきますので、参考にしてください。

【2003年7月6日(日)】
○公園では鳥たちの子育てが真っ盛りです。コジュケイ、カワセミ、コゲラ、オオヨシキリ、シジョウカラなど鳥の親子が公園で見られます。子供公園付近の湿った草原でキジの親子を見ました。草原に足を踏み入れたとき、鋭い声を発してキジのメスが走って逃げると、親鳥を追うように二羽のヒナが低空を滑空して追いかけました。それと同時にヒナの鳴き声が三方の草原の中から聞こえました。このキジの親子はヒナを5羽引き連れているようです。また、キジは地震の予知能力が有るといわれ、故入江相政侍従長によると、皇居に棲むキジは地震の前には必ず鳴くといっています。

【2003年7月5日(土)】
○公園の蒲桜へ行く出口付近の日当たりの良いやや湿った草原で、ノカンゾウが小さな群落を作り濃い橙黄色の花を咲かせています。ヤブカンゾウと近似種でヤブカンゾウが八重咲きの三倍体で実を付けないのに対して、ノカンゾウは一重咲きの二倍体で、実を付けますが実際に結実することは余り無いといわれています。早朝、花を咲かせて夕方には萎んでしまう一日花ですが、春の若芽は食用になるので、朝市などで「かんしょう」の名前で売られていることがあります。

【2003年7月4日(金)】
○誰にも見向きもされない雑草の代表格のオオバコも、5月頃から公園の園路などで花を咲かせています。人のいるところには必ずといっていいほど生えていて、漢名の「車前草」の名前も土と共に車輪などに種がくっいて運ばれ、車の通るところには必ず生える草という意味です。藤原定家の日記「明月記」によると、定家35歳の建久7年(1196)5月、足に小さなおできが出来たので医者の指示により「目ハジキ」を付けたが、効かなかったので次に「車前草」を付けたとの記載があり、オオバコは古くは重要な薬草であったことがうかがえます。

【2003年7月3日(木)】
○幻のヘビといわれているシロマダラの成蛇の頭の方、三分の一ぐらいの死体が公園の入口付近で見つけられました。ピンクがかった淡褐色の地に黒色の横帯が付いている目立つヘビで、日本全国の平地から山地にかけてのほとんどの地域に棲息していますが、絶対数が少ないためか、あるいは夜行性のためか人目につくのは希で、幻のヘビといわれています。

【2003年7月2日(水)】
○今日は七十二候の一つの半夏生ですが、桜土手付近の湿地で植物のハンゲショウが、茎の先端の数枚の葉を白くさせて、その白い葉のわきから穂をだして、多数の小さな白い花を咲かせています。穂はつぼみのうちは下に垂れていますが、花が開くにつれて立ち上がり、穂の湾曲した部分にいつも花粉を出す盛りの花が来るようにしています。ハンゲショウの花には蜜が無く、花粉を食べるハナアブ類の媒介により受粉します。ハナアブは下向きの花に止まるのが苦手なので、ハナアブが止まりやすいようにハンゲショウの花は、穂の湾曲した部分、つまり穂の一番高い部分に花粉を出す盛りの花が来るように、長い時間かけて進化したものと思われます。また、葉が白くなる現象は花の蕾が付かないところではおきないので、白い色はハナアブが好きな色、ハナアブを寄せるためにハンゲショウは花の蕾が付いた葉を白くさせるものと想像されます。

【2003年7月1日(火)】
○梅雨の真っ盛りの初夏の高山の湿原では、色とりどりの花が咲き競っていますが、自然観察公園の中はアシが2m以上の高さに伸び、雑木林の木々も緑の葉を存分に拡げて緑一色の公園になっています。初夏の花は白い花が多いといわれている通り、公園の中でも白い花が目立っています。ノジトラノオ、オカトラノオ、ハンゲショウ、ホタルブクロ、ヒメジョオン、サワヒヨドリ、ハエドクソウ、セリ、オヤブジラミ、シロツメクサ、ドクダミなどが白い花を咲かせています。

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