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北本自然観察公園 自然観察記録 2003年6月

2003年8月8日更新
                                           埼玉県自然学習センター



【2003年6月29日(日)】
○園内でネジバナが花茎を20pぐらい伸ばし、螺旋状にねじれるようにして小さな淡紅色の花を多数が咲かせています。花序のねじれる方向は、右巻きのもの左巻きのものがあり一定していませんが、花茎がねじれるのではなく子房が少しずつ斜めにずれて、ねじれたように見えるだけです。弱いラン科の植物の中にあって、芝生があればどこでも見いだせるという生命力の強い植物です。花序のねじれ方が、かつて陸奥の信夫地方で産する乱れ模様の布に似ているので、もぢずりの別名があり、古今和歌集の「みちのくの しのぶもぢずり誰故に 乱れそめにし我ならなくに 河原左大臣」の歌の中の「もぢずり」はネジバナだといわれています。

【2003年6月28日(土)】
○園内でウグイスカグラ、クワ、ヤマモモに続いてコウゾも、丸い赤い実を熟くさせてきました。コウゾの実も食べられますが、実は硬い細い毛に覆われているので、食べると毛が口中で刺さって痛いです。和紙の原料のコウゾはその年に使う分を前年の秋に切り取りますが、その切り株から翌年使うコウゾが新しく育つので、結局生産を拡大しなければ毎年コウゾを取ることが出来ます。また、日本の花火をくるむ紙は、和紙の持つ特別な強さと弱さがあって始めて、空中で花火が破裂した後、美しい色とりどりの星の様な花火が広く散ることが出来るといわれています。

【2003年6月27日(金)】
○子供公園への橋のたもとで雑草に囲まれながら、多数のノジトラノオが小さな群落を作り、白い花穂をけものの尾のように垂れ下げて咲いています。国や県のレッドデータ「絶滅危惧TB類」に該当する貴重な植物で、花は白い5枚の花弁を持つ小さな花の集合体で、根元から順番に穂の先へと咲きあがっていきます。また、ふれあい橋のたもとではオカトラノオも数株ですが咲いています。この公園にはヌマトラノオも生育していましたが、平成14年度の調査では確認できませんでした。

【2003年6月26日(木)】
○去年はほとんど実がならなかったのですが、今年はヤマモモが1.0pぐらいの球形の赤黒い果実を鈴なりに実らせています。ヤマモモの果実は少し酸っぱいが大変美味しく、懐かしい松ヤニの様な味だといわれています。藤原定家の日記「明月記」の中には、天福元年(1233年)5月.25日「今日楊梅を見るに依り貴所に進む」との記載があり、定家が楊梅(やまもも)の実を自分より身分の高い人にすすめていたことがわかります。この日記の内容から鎌倉時代には相当の身分の人でも、ヤマモモの実を食べていたことが伺えます。また、ヤマモモは渋い黄茶色を出す染料としても使われています。

【2003年6月25日(水)】
○公園の林内や園路脇でオオバジャノヒゲが、15p〜20pぐらいの花茎の上部に白色か淡紫色の小さな花を10輪ぐらい付けて咲いており、秋には9oぐらいの青黒い実が熟します。一般に葉で区別する場合は巾が5o前後のものをオオバジャノヒゲ、それ以下のものをジャノヒゲ又はリュウノヒゲといっているようです。ヘビに髭があるかなと思いましたが、もともとの名前はジャノヒゲではなくジョウ(尉)ノヒゲで、尉とは能で翁を指すことから、葉を翁の髭に見立ててジョウノヒゲと名付けられたのが、いつしか(オオバ)ジャノヒゲに変わってしまったと考えられています。

【2003年6月24日(火)】
○梅雨真っ盛りの小雨降るじめじめした公園で、4pぐらいの大きさのカタツムリが、樹木の幹に張り付いていました。正式な呼び名はマイマイで、このカタツムリはミスジマイマイのようです。海に住むハマグリやサザエと同じ貝の仲間で、海に住む海産のハマグリなどは「えら」で呼吸しますが、陸に住む陸産のカタツムリは「はい」で呼吸します。カタツムリは雌雄同体ですが、単独では生殖は出来ません。日本にはカタツムリが700種ぐらいいますが、殻は右巻きがほとんどです。食べ物は落ち葉や朽ち木などの植物質を主に食べますが、ごくまれに肉食のもいます。また、誰が付けたのかカタツムリにはオオベソマイマイ、ブレーキマイマイ、オナジマイマイ、オオマケマイマイなどの面白い名前が多くあります。。

【2003年6月22日(日)】
○あづま屋付近の林床や北里の森でハエドクソウが、枝の先に穂状花序をだし、多数の小さな唇形の白い花を咲かせています。花は下から順次咲いていきます。つぼみの時は上を向いていますが、花が開くにしたがって横向きになり、果実になると下向きになります。下向きの果実はイノコズチに似た堅いカギ状の実を付け、動物などに付着して種をまき散らします。また、かつてはこの草の根をすりつぶして紙にしみ込ませ、ハエ取り紙を作ったので、ハエドクソウの名があります。

【2003年6月21日(土)】
○きのう、今日と夏らしい暑さが続いたせいか、子供公園の近くで、ニイニイゼミの声がしたそうです。多分、今シーズンはじめてのセミの声だと思います。

【2003年6月20日(金)】
○昨年度の「里山ボランティア」で伐採した雑木林のコナラの切り株から、芽が出てだいぶ大きくなってきました。4本切ったうち、3本からは勢いの良い芽が出ていますが、1本からは弱々しい芽しかでていません。また、この4本を伐採したことで、日当たりの良くなった木からは、胴吹きといって、幹の部分から新芽がたくさん出ています。

【2003年6月19日(木)】
○公園の八ッ橋の架かっている橋のたもとで、今年もミクリがクリのような果実を付けています。上の方のふわふわとした塊が雄花で、下の方のクリのようなイガイガが雌花です。葉は根元に近い部分の断面は三角形ですが、上に行くほど三角形は不明瞭で普通の葉のようになり、そして葉の先端は円頭になります。葉をさわると柔らかくスポンジ質であることが判ります。「源氏物語」にも漢方薬名の「三稜(さんりょう)」で登場する古くから人々に知られていた植物です。

【2003年6月18日(水)】
○公園で熟したクワの実を食べにカラスが集まっています。この公園で見るのはハシブトガラスとハシボソガラスの2種類です。カラスは市街地などで生ゴミを散らかったりして嫌われていますが、中国古代の二大詩集の一つの「楚辞」によると、大陽には3本足の黄金に輝く不死身のカラスが棲んでいるといわれており、この伝説は陰陽五行説として古代日本に入ってきています。特に和歌山県の熊野大社(本宮、新宮、那智神宮)のカラスは、神の使いの八咫烏といっており、また、熊野大社が発行するカラス文字で書かれている護符のお守り札は、別名「おカラスさん」と呼ばれ親しまれています。

【2003年6月17日(火)】
○あづま屋手前の北里の森側の園路やその他の場所で、ムラサキシキブが小さな淡紫色の花を沢山咲かせています。ムラサキシキブは秋にみのる実に比べてこの時期の花は見捨てられがちですが、花からは黄色い葯の付いた雄しべが突き出ていて、それが花弁の紅紫色と調和して美しく感じられます。秋に熟する気品に充ちた紫の実を、「源氏物語」の作者「紫式部」にたとえて名付けられた植物ですが、鎖国時代に日本に来て「日本植物誌」を著したスウェーデンの植物学者ツンベリーも、ムラサキシキブをヨーロッパに紹介する際、英名は「日本の美しい実」と名付けています。

【2003年6月15日(日)】
○公園の中の草木の枝や木の幹に、ツバを吐きかけたような白いふわふわとした泡を方々で見かけます。これはアワフキムシの幼虫が排泄物と空気とで作った粘りっ気のあるアワの家で、幼虫はこのアワの中で植物の汁を吸いながら大きくなります。アワフキムシにはいろいろな種類がありますが、シロオビアワフキムシが一般的で、成虫になると小さなセミのような姿になります。

【2003年6月14日(土)】
○高尾の森の日当たりのいい林床で、紅紫色の蝶形の花のナンテンハギが咲いています。1mぐらい伸びた茎の先端に10個ぐらいの花が固まって付いています。カラスノエンドウと同じマメ科の植物ですが、葉はナンテンに、花の形はハギに似ているのでナンテンハギの名が付きましたが、卵形の葉が2枚ひと組に付いているのでフタバハギの別名もあります。山菜になるとアズキ菜と呼ばれ、若葉や茎はくせもなく味もまろやかなので、山間部の朝市などで売られていることもあります。また、草木染の染料としては鮮やかな黄色が得られるといわれています。

【2003年6月13日(金)】
○公園のふれあい橋のクサギの横やその他の園内で、アカメガシワが若枝の先に花弁のない黄緑色の小さな花を沢山付けて咲かせています。春先の新芽は毛が密生した紅色ですが、成長するにしたがって緑色になります。万葉の時代は「ひさき」といわれており、紫がかった鼠色に染める染料として利用されていました。また、昔はアカメガシワの葉に食物を乗せて神前に供えたりしたので、葉はカシワの葉に似ていないが、カシワと同じ役割をした赤い葉の樹木ということで、アカメガシワと名付けられたといわれています。

【2003年6月12日(木)】
○公園の周辺でカッコウの鳴き声を聞いたという話をよく聞きますが、今年は今日のお昼過ぎにやっとこの公園でカッコウの鳴き声を耳にしました。カッコウは閑古鳥といわれているように、もともと人里離れた静かな山の鳥でしたが、数十年前ごろから山から平地に下りてきて、オナガの巣にも托卵していることが報告されるようになりました。カッコウのメスは巣を作ったりヒナを育てる必要がないので、そのエネルギーを産卵のために使えるので、年平均十数個の卵を産むといわれています。また、鳥には餌袋というのが有り、種など堅い餌をそこで柔らかくします。カッコウは毛虫などの柔らかい虫を餌にしているため、それが無い代わりに胃袋の中に別の薄い袋を持っていて、消化できなかった毛虫の毛などをその袋に入れ、一杯になると袋ごと吐き出します。吐き出すと同時に新たな薄い袋が胃の中に出来ます。

【2003年6月11日(水)】
○秋の実の豊作を予言するかのようにクリの木が、細長くて黄色い穂の様な花を何本も付けて咲いています。しかし、この花は雄花で、この雄花の付け根近くに大きな花が一つか二つ、場合によっては三つ付いているのが雌花です。これが秋になるとイガイガの実になる部分です。「万葉集」の山上憶良の「瓜食めば子ども思ほゆ 栗食めばまして偲ばゆ〜」の歌で知られるとおり、クリの実は古代から食用にされており、青森県の三内丸山遺跡からはクリの木を栽培していた遺構が発見されています。

【2003年6月10日(火)】
○広辞苑を編纂した新村出が好んだ多年草のドクダミが、公園のあちらこちらの少し湿った場所で、小さな黄白色の十字の花を咲かせています。白い十字の四枚の花弁のように見えるのは葉に近い性質を持った苞で、ドクダミの花には花弁もガクもありません。ゲンノショウコウ、センブリと共に最も名の知られた薬草で、寛永6年(1629年)出版された貝原益軒の「大和草本」には、「馬医これを馬に用いると十種の薬の効能が有り十薬という」との記載があり、馬に多くの病気を治す効果がある薬草なら、人にも多大な効果があるだろうという訳でもないでしょうが、漢方ではドクダミのことを「十薬(じゅうやく)」といっています。
【2003年6月8日(日)】
○マスコミなどでホタルの発生やホタルの鑑賞会などの記事を目にするようになりました。この時期自然発生するホタルはゲンジボタルで、また、人工飼育されているホタルの大部分も光源が明るいゲンジボタルです。この公園で発生するホタルはゲンジボタルよりも1月ほど遅れて発生するヘイケボタル。去年は7月14日に発生を確認しましたが、最盛期は7月下旬で、今年もホタルの鑑賞によいのは7月下旬と予想しています。去年の発生場所は梅林付近の小さな池の近くでしたが、7月の20日頃にはセンターの入口のガラス戸にホタルの発生場所の地図を張り出します。

【2003年6月7日(土)】
○二年前に八ッ橋の池で突如として出現した多年草の浮葉植物のアサザが、今日、ハート形の葉の間から一輪の黄色い花を咲かせました。去年は全部で三輪咲かせましたので、アサザの棲息範囲も今年は広がっているので、二桁ぐらいの花が咲くものと期待しています。
○以前はリンドウ科に属していましたが、今はミツガシワ科の植物になっていて、湖沼の浅い場所に生え葉や茎が食用になるので浅々菜(アサザ)。また、アサザは日本の代表的湖沼の霞ヶ浦を象徴する水草で、霞ヶ浦の湖面をアサザで覆うアサザプロジェクトの運動が今でも行われています。

【2003年6月6日(金)】
○北方系のトンボのヨツボシトンボが公園で採集されました。アシなどの生い茂った湿原を住みかとする胴体が平べったくて、ずんぐりとした感じのトンボで、翅に四つの小さな斑紋を星に見立ててヨツボシトンボと呼ばれています。このトンボは環境の変化に適応する能力が低いといわれており、昨年まで棲息していた場所でも突然見えなくなることがあります。

【2003年6月5日(木)】
○公園の湿地等でカヤツリグサ科やイネ科の植物も地味な花を咲かせています。カヤツリグサ科ではウキヤガラ、フトイ、マスクサ、ヤブスゲ、ヤワラスゲ、アゼナルコ、ゴウソ、ジュズスゲ、コジュズスゲ、ヤワラスゲ、シラスゲなど、イネ科ではカニツリグサ、カラスムギ、カモジグサ、アオカモジグサ、ネズミムギ、ホソムギ、クサヨシ、カズノコグサ、チガヤなどです。

【2003年6月4日(水)】
○自然学習センターが開設されてからまもなく12年目を迎えようとしていますが、今までに一度も目撃や採集の記録がないタテハチョウ科のヒオドシチョウが公園の草原で採集されました。遠くの生息地から風に乗ってきたとは考えにくいので、センター付近に知られていない生息地があり、細々と生き残っていたものと思われます。また、今までに公園で目撃や採集された珍しいチョウには、ナガサキアゲハ、ムラサキツバメ、クロコノマチョウなどがいます。

【2003年6月3日(火)】
○ミニ展示「カエル・トカゲの仲間たち」を6月1日からはじめました。北本自然観察公園内で棲息が記録されている、カエルやトカゲ、ヘビなどを解説文と実物を使って紹介しています。普段なかなか見られないヘビや、日本最大のカエル、ウシガエル。体がミドリ色で美しいシュレーゲルアオガエルなどもいます。期間は7月中旬までの予定です。嫌われがちな生き物たちですが、この機会に少しだけ仲良くなってみて下さい。もしかすると意外な発見があるかもしれませんよ?

【2003年6月1日(日)】
○別名クローバーと呼ばれているアイルランドの国花シロツメクサが、園路脇で咲いています。ヨーロッパ原産の帰化植物で、鎖国をしていた江戸後期にオランダから輸入されたガラス製品などの緩衝材として、荷物に詰められていた牧草が全国に広まっていきました。葉は通常三枚ですが、たまに四枚、五枚があり、幸福をもたらす四枚のクローバーとしてもてはやされました。また、シロツメクサを編んで首飾りや冠を作った経験のある人も沢山いると思います。

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