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北本自然観察公園 自然観察記録 2003年4月

2003年6月6日更新
                                           埼玉県自然学習センター



【2003年4月29日(火)】
○ついこの間まで水溜まりだった湿地のアシが伸び始めてきたと思ったら、騒々しいオオヨシキリが戻ってきました。朝から「ギョギョシ、ギョギョシ ケスケスケス」とアシ原のまだ伸びきっていないアシの茎に縦に止まって、歯切れの良い声を張り上げて縄張りを宣言しています。ぼさぼさ頭のウグイスの仲間の一夫多妻の鳥で、アシの中や空中を飛んでいる昆虫やクモを餌にしています。ある地方の言い伝えには「行行子は祇園祭から口が裂けて鳴けなくなる」というのがあり、オオヨシキリは祇園祭の7月中頃になると繁殖が終わり、鳴かなくなります。

【2003年4月27日(日)】
○北里の森の園路が広がった付近で落葉低木のオトコヨウゾメが、細長く伸びた赤い花柄の先に5裂した1pぐらいの白い花をまばらに咲かせています。枝は山仕事での刈柴などを束ねる縄代わりに利用されています。ガマズミ属に属しガマズミのことを「ヨウゾメ」という地方があり、ガマズミの実が食べられるのに比べて、オトコヨウゾメの実はやせていて食用にならないので「オトコ」の字を冠せられて和名になったといわれています。オトコヨウゾメの葉は枯れたり傷ついたりすると真っ黒く変色しますが、これは他のガマズミ属にはない性質です。

【2003年4月26日(土)】
○黒に黄色に白という派手な出で立ちのキビタキが園内で目撃されています。福島県の県鳥で、山への移動の途中で公園に立ち寄ったものと思われます。よく生い茂った落葉広葉樹林の中程の枝に止まっていることが多く、派手な姿も広葉樹林の中では迷彩色となって見つけずらく、鳴き声はするけど姿は見えずということの多い鳥です。黄色のヒタキという事でキビタキですが、ジョウビタキとは別のヒタキ類です。学名は水仙の意を表していますが、学名の命名者はキビタキを、水に写った自分の姿に見とれて水仙になったという、ギリシャ神話のナルシスを思い浮かべていたのかも知れません。

【2003年4月25日(金)】
○北里の森などで若葉の芽生えと同時にヤマツツジが朱色の花を咲かせています。若枝や葉柄には褐色の毛があり、葉の裏の脈上にも毛があります。葉は明るい緑色の春葉と濃い緑色の夏葉があり、春葉は落葉しますが夏葉は冬を越すのでこのような樹木を「半常緑樹」といっています。また、雄しべは5個あり、その先端に褐色の小さなツボが二つ並んでおり、ツボには蓋がなく白い花粉が見えています。この先端の花粉をうまく引っ張り出すと面白いほど沢山の花粉がでてきます。よく見ると花粉の粒がネックレスのように糸でつづられていることがわかります。アゲハチョウなどがヤマツツジの花の蜜を吸いに来て、少しでも雄しべの先端に触ると、ツボの中のすべての花粉がアゲハチョウに付くように工夫されているのです。

【2003年4月24日(木)】
○公園のアズマネザサがとがった皮針形の花を珍しく咲かせています。タケやササは地下茎で繋がっており、周期的に花を咲かせます。アズマネザサの場合は短いもので30年、長いもので120年といわれており、花が咲くと地下茎で繋がっているすべての株が枯れてしまいます。茎は中空で円筒形で表面はなめらかで緑色をしており、原野や土手、道ばたなどにはびこり除去するのに苦労します。和名は地下茎が四方に広がり、主に東国に生えているので付けられたといわれています。

【2003年4月23日(水)】
○ウグイスやコマドリと共に日本三鳴鳥の一つに数えられているオオルリの鳴き声が、園内の駐車場付近で聞かれました。山への移動の途中にこの公園に立ち寄ったものと思われます。オオルリのさえずりは美しく透き通る声で、最後にジジッと濁った声が入るのが特徴です。オオルリのオスは鳴き声もよければ姿も瑠璃色で美しいので、古くから大変人気の高い鳥の一種です。また、琳派後期の代表的な画家の酒井抱一が描いた「十二ヶ月花鳥図」の三月(旧暦)の絵には、サクラの枝に止まっているオオルリが描かれています。

【2003年4月22日(火)】
○学習センターのまわりで咲いている花や目立つ植物を集めた「かんさつ公園 植物図鑑」を作りました。コース別に、今観察できる花などを写真とともにパウチした手作り図鑑です。受付で貸し出しますので、ご希望の方はお申し込みください。今のところ、草原を回るコースだけですが、今後他のコースも用意したいと思います。

【2003年4月20日(日)】
○低木のクサボケが公園で5弁の朱色の明るい花を咲かせています。茎の下部は地下茎になり四方八方にのばし広がっていきます。枝には刺がありますが、クサボケの刺は茎の成長が止まり先端が尖ったもので、表皮が変化して出来る通常の植物の刺とは違います。秋には直径3pぐらいの黄色い果実が熟し、この果実にはサボニンやタンニンが含まれているので、酒に漬けて薬用酒として疲労回復に用いられています。

【2003年4月19日(土)】
○ニワトコも公園で若葉と共に淡緑色の小花を散房花序に付けて咲いています。若葉や花には春を待ちかねたアブラムシが沢山集まってきます。枝にはコルク質が発達し、植物実験の際に、柔軟な組織の切片をカミソリで切るときの支えとしてのピスを作る材料に使われます。「万葉集」では「やまたづ」の名で登場し、古くは骨折や打撲傷に効果がある薬用植物として、別名接骨木(せつこつぼく)の名を持っています。

【2003年4月18日(金)】
○公園の中でケン、ケーンと鋭く鳴くオスのキジの声が聞かれるようになり、草原や園路にもオスのキジの姿をよく見かけるようになりました。キジのメスはチイーユ、チイーユと鳴き、オスとメスは別の種類の鳥のように姿も声も違います。また、キジはよほどの危険がない限り飛ばずに走って逃げます。春はキジを始め野鳥の繁殖期で、オスの鳴き声は他のオスに対する縄張り宣言と、メスに対する呼びかけを兼ねたものといわれています。キジは日本を代表する鳥で、昔話の「桃太郎」に登場したり、昭和25年日本の国鳥に指定されてはいますが、狩猟の対象にもなっています。

【2003年4月17日(木)】
○センターの建物付近でトラフシジミが飛んでいるのが目撃されています。濃茶色に白いストライプが入っていて、前翅の先端がややとがっているシジミチョウで、年2回発生し、春型は夏型に比べて地色と白線のコントラストが鮮やかで和名の由来にもなっています。活発に飛び回りますが長く飛ぶことはなく葉上などにすぐに止まります。日本全国に分布していますがどこも個体密度はあまり高くなく、公園の中に棲息する貴重なチョウの一種です。

【2003年4月16日(水)】
○中国原産で紫色の鮮やかな花を咲かせているショカツサイも、公園のあちらこちらで咲いています。江戸時代に栽培用植物として渡来したが、昭和に入って東京などの都会で種子を配布するなどして増やしたため、都会で急激に目に付くようになった植物です。ショカツサイが都会で増えると同時に、スジグロシロチョウもショカツサイを食草として都会に進出して、モンシロチョウと一緒に飛ぶようになりました。しかし庭草としてショカツサイが飽きられると共に、スジグロシロチョウも都会から姿を消すようになりました。

【2003年4月15日(火)】
○公園で明るい鮮黄色の5弁の花のヤマブキも咲き出しました。山間の谷川沿いの湿ったところを好み、人家の庭にも広く栽培されています。ヤマブキは「万葉集」に18首詠まれておりますが、一重咲ばっかりで八重咲きの表現が無いので、万葉の時代のヤマブキは一重咲の花だったと想像されます。また、「源氏物語」では女性を花にたとえていますが、ヤマブキの花は玉鬘(たまかづら)にたとえられており、一方「徒然草」ではヤマブキの花の清げな風情が捨てがたいともいっています。

【2003年4月13日(日)】
○春先に一度だけ姿を見せるツマキチョウも、春に咲く公園の花の蜜を吸いに飛んで来ています。ギフチョウなどと共にスプリング・エフェメラル(春のはかない命)といわれていますが、都市近郊にもまだ多数棲息しているので、ギフチョウほどの注目は受けていません。ツマキのツマ(褄)とは、端(はし)の部分のことで、オスの褄(翅のはし)が黄色なのでツマキチョウと呼ばれています。他のチョウに比べて、翅を小刻みに動かしながら直線的に飛ぶので、慣れれば遠くからも見分けがつきます。

【2003年4月12日(土)】
○春の七草のハコベ(コハコベ)が小さな白い花を咲かせています。よく見ると二つに裂けた五枚の花びらが確認できます。花は萎むと下へ垂れ下がりますが、実が熟する頃になると再び立ち上がります。冬から春先にかけてその辺にはびこるのでハコベと呼ぶ様になったと言われています。また、方言ではヒヨコグサと呼ぶ地方が沢山あり、昔は小鳥のすり餌に入れる植物として重宝したといわれています。花は日が傾くと閉じてしまいますが、この時自家受粉するので種ができる確率は非常に高い植物です。

【2003年4月11日(金)】
○センター前庭に植えてある常緑樹のヤマモモが、葉のわきに花とは思えない黄褐色で円柱形の穂状の花を咲かせています。ヤマモモは雌雄異株の樹木なので近くに雄株がないと果実はできません。また、ハンノキ属と同じような放線菌と共生して窒素を固定することが出来るので、荒れ地でも比較的よく生育できます。樹皮を用いて天然染料として漁網などを染めると海水に強くなるといわれ、漢方薬としては下痢止めや打撲の薬としても利用されています。

【2003年4月10日(木)】
○町中で人や車の間を素早く飛び交う春の使者のツバメが、公園で飛んでいるところを何回か目撃されています。ツバメは住宅や商店の軒先や駅などの人工の建造物に営巣し、自然の岸壁や洞窟にツバメの巣を見いだした例はほとんど無いとされています。植物学者のリンネは「自然の体系」でツバメとイワツバメは秋には水に潜り、春になると出てくると記しており、ヨーロッパでもツバメは夏鳥で冬は水の中に隠れているとは思われていたのかも知れません。また、オスカ・ワイルドの童話「幸福の王子」の悲しい話も知られています。

【2003年4月9日(水)】
○公園で寒い冬を乗り切ったキチョウやキタテハ、ルリタテハ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミが春の暖かい陽の光を浴びて飛んでいました。キチョウなどは成虫で越冬しますが、チョウ類の越冬の仕方はさまざまで、成虫で越冬するチョウもあれば、ミドリシジミなどは卵で、ゴマダラチョウなどは幼虫まで育った段階で、またアオスジアゲハなどは蛹まで育った段階で冬を越します。

【2003年4月8日(火)】
○「花のいのちはみじかくて」のたとえどおり公園のエドヒガンは2週間余りで散ってしまいました。吉田兼好は「徒然草」の中で「花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは」といい、見ぬ花、散った花こそ良いといっています。サクラの花を見に来て花が散ってしまっていたら来年の花に期待すればよく、花がまだ咲いていなければ満開になったサクラの樹を想像すればよいのではないか、と言うことです。この様な人々のサクラに対する想像力や期待感がサクラへのいつくしみを生み、サクラへの思いをより深くします。「人恋し灯ともし頃を桜ちる 加舎白雄」
○なお、公園の近くの蒲ザクラは満開を迎えています。

【2003年4月6日(日)】
○公園を利用して二ヶ月に一回野鳥の観察会を行っている団体があるので、今日見られた鳥を教えてもらいました。カイツブリ、カワウ、コガモ、オオタカ、バン、キジバト、コゲラ、ツバメ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、ツグミ、ウグイス、エナガ、シジュウカラ、ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、シメ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラスの22種類だそうです。

【2003年4月5日(土)】
○スギナの胞子茎のツクシが萌え始めた若草の中から顔をのぞかせています。昔からあぜ道などでツクシを見つけると、浮き浮きして本当に春が来たなあと感じます。古くは「源氏物語」にも「つくづくし」の名で登場します。食用にするときは葉が変形したハカマの部分を取り除いて料理します。ツクシの時は良いのですが、スギナと呼ばれるようになると人に嫌われるようになります。トクサ科の植物で珪酸を沢山含んでいるため、鎌で刈り取るとすぐに鎌が切れなくなります。

【2003年4月4日(金)】
○何回か公園でモンシロチョウが飛んでいるのが目撃されています。モンシロチョウは蛹で越冬し、マイナス2度からプラス12度の範囲の低温に二ヶ月ぐらいさらされたあと、気温8度を0度と換算して、積算温度が平均150日度以上になると羽化するといわれています。ひらひらと飛ぶモンシロチョウは蜜が出る花ならどんな花にも飛んでいきますが、とくに黄色や白色の花を好みます。モンシロチョウがひらひらとゆっくり飛んでいるように見えるのは、羽の上下運動を1秒間に9回程度と少ないためで、イエバエになると1秒間に190回も羽を上下運動させます。

【2003年4月3日(木)】
○今日、来館者の方から指摘を受け、自然観察公園内でスミレの観察を行ったところ、今までに確認されていないアオイスミレが確認できました。埼玉県内では丘陵部から山地にかけて自生する日本特産種のスミレで、花の中心にある花柱の先端が下向きに曲がってカギ型になるのが特徴です。果期には葉がかなり大きく成長し、別名のヒナブキはこの葉をフキに見立てたようです。もっとも花期が早いスミレの一つで、この時期に咲いているのは不思議だと言ってました。この発見により公園内で観察できるスミレは8種類になりました。

【2003年4月2日(水)】
○公園の中も春に咲く花々で埋まってきました。ウメの花が終わりエドヒガン、ソメイヨシノ、コブシ、フサザクラなどが頭上に咲き、足下はタチツボスミレなどのスミレ類、キランソウ、カキドオシ、ムラサキサギゴケの唇形花、タネツケバナ、ナズナの白い小さな花、オオイヌノフグリの宝石を散りばめたような瑠璃色の花、ヒメオドリコソウ、ショカッサイ、ゲンゲ(レンゲソウ)、カラスノエンドウの紫がかった花、それにコマツナ、セイヨウカラシナ、イヌナズナ、ヘビイチゴ、オニタビラコ、ヤブタビラコ、カントウタンポホやセイヨウタンポポの黄色い花などが見られます。

【2003年4月1日(火)】
○ロゼット状の葉で冬を過ごしたカントウタンポポが、葉の腋から出た花茎の先に直径3pぐらいの黄色い花を、地上スレスレに咲かせています。花はすべて舌状花で先は浅く5裂し、また、花茎は中空で普通葉は付きません。日本のタンポポの花は朝開き午後には閉じてしまいますが、セイヨウタンポポは早朝から夕方暗くなるまで開いています。早春に咲くタンポポの花は地上スレスレに咲きますが、春が深まるにつれて花茎は伸びて咲くようになります。

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