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北本自然観察公園 自然観察記録 2002年7月

2002年8月23日更新
                                           埼玉県自然学習センター




【2002年7月31日(水)】
○5月初めにセンター前のヤマモモの木にコガタスズメバチが巣を作りましたが、今年はスズメバチの出現が少ないように思います。ハチの出現が少ないと思っていたら、駐車場の植え込みの中にバレーボールぐらいのコガタスズメバチの巣が見つかりました。危険なので撤去しました。ハチの中でもスズメバチ類の巣は腐った木の屑を原料にボール型の巣を作りますが、アシナガバチ類は植物の外皮の下にある靭皮(じんぴ)繊維を原料にハスの実型の巣を作ります。コウゾなどの靭皮繊維で和紙が作られるので、アシナガバチの巣は和紙で、スズメバチの巣は洋紙で作っているといえます。また、アシナガバチは花の蜜に集まることが多いのに、スズメバチはナラやクヌギの樹液に集まることが多く、棲み分けがうまく行われています。

【2002年7月30日(火)】
○台風が関東地方を通過して何日かすると、思いがけないことを見いだすことがあります。光沢のある橙赤色の地に黒色の紋があり虹光を放つカメムシの仲間のオオキンカメムシがニセアカシヤの木のところにいたので採集しました。また、シジミチョウの仲間のムラサキツバメも、マテバシイの木にいるところが観察されています。そして今日はナガサキアゲハがクサギの花の蜜を吸っているのところを目撃しました。これらの南方系の昆虫は7月の中頃に来た台風の風に乗って、北本まで運ばれてきたものと思われます。

【2002年7月28日(日)】
○昨日の夜はセンターのイベント「夜の虫の観察会」で、ヘイケボタル、ノコギリクワガタ、カブトムシ、カマドウマ、うすい緑色を帯びたアブラゼミの脱皮の状況、それにカラスウリのレースのように美しい純白の花が見られました。とくにこの公園に以前から棲息しているヘイケボタルの暗闇の中の光の魔力を求めて、私たちだけではなく近所の人も多数訪れていました。

【2002年7月27日(土)】
○今年になって初めてふれあい橋脇の池にアカマクミドリムシが発生しました。去年の今頃は八つ橋のかかっている池は、大量に発生したアカマクミドリムシで池の水が茶褐色の幕に覆われていました。そこで夏の2ヶ月間、磁気水を利用した池の水の浄化実験を行い、今年のアカマクミドリムシの発生具合を注目していましたが、その発生が一月ほど抑えられるというよい結果が得られました。しかも八つ橋の池にはまだアカマクミドリムシは発生せず水も透き通っており、モツゴ、ギンブナ、コイ、オタマジャクシが観察できます。

【2002年7月26日(金)】
○北里の森の崖沿いの木の根元に直径2pから3pぐらいの大きさの擂鉢(すりばち)型のアリジゴクの巣穴を見ることができます。この虫は我慢強く巣穴に獲物が落ちるまで決して自分からは攻撃を仕掛けません。虫に見立てた小さな塊を巣穴に落とすと、獲物が落ちたと勘違いして巣穴の底から砂をパッパッと飛ばします。このようにしてアリジゴクは2年間地中で暮らし、蛹の2週間ぐらいの期間を経て成虫になります。それがウスバカゲロウです。

【2002年7月25日(木)】
○園路を歩いていると白っぽい線がグニャグニャと書かれているような広い葉を目にすることが時々あります。これはハモグリバエやハモグリガ、チビタマムシなどの幼虫が薄い葉の中に潜って葉肉を食べた跡です。別名「字書き虫」とか「絵書き虫」といわれて、白い線は片方の端が細くてだんだんと巾が広くなっています。これは幼虫が葉肉を食べて大きくなっている証拠です。

【2002年7月24日(水)】
○今日のセンターのイベント「セミのぬけがら調査」で、ニイニイゼミのぬけがらが379個、アブラゼミが46個、ヒグラシが31個見つかりました。ニイニイゼミのぬけがらは全身泥を被っているので簡単に見分けられます。8月23日にもう一度調査を行いますが、その頃はニイニイゼミの季節は終わり、アブラゼミが多くなってその中にミンミンゼミも混ざります。ツクツクボウシが鳴き出すと夏も終わりに近づきます。ヒグラシは発生期間の長いセミで9月の末、場合によっては10月まで鳴いていることがあります。一般にセミは羽化してもすぐには発音器が作動しないので、鳴き出すまでに4日〜5日かかるといわれています。

【2002年7月23日(火)】
○5月の初めに白い5弁の花を沢山垂れ下げ咲いて、周辺によい香りをただよわせていたエゴノキにも、小さな卵形の実を沢山垂れ下げる季節になりました。八つ橋の北里の森の入り口にあるエゴノキをよく見ると、沢山の実の中に変なものが付いています。枝の先に長さ3pぐらいの長卵形の袋が5個から8個ぐらい固まって垂れ下がっています。まるでネコの足のような形なのでエゴノネコアシと呼ばれていますが、これはエゴノネコアシアブラムシが、エゴの芽に卵を産んだためできたものです。まもなく袋の先端が開いて小さなアブラムシが出てきます。

【2002年7月21日(日)】
○秋の七草のクズの花が赤紫色の蝶形花を密集させて園内で咲き出しています。クズは衣食住に関わる有用な植物として古くから知られております。クズといえば吉野葛といわれるほど奈良県の吉野山地で産出される葛粉は良質とされていますし、静岡県掛川市では今でもクズのつるで葛布が織られています。クズは生活力旺盛な植物で、1930年代アメリカで巨大なテネシーダムを建設した際、むき出しの斜面を崩壊や流出から守るため日本のクズが植えられ期待どおりの働きをしましたが、そのクズが畑や市街地に進出して今やグリーンスネークと呼ばれ、嫌われものになっています。

【2002年7月20日(土)】
○梅雨明けが発表されたうだるような暑さの中、どこかへ移動する途中でしょうか。数百羽あまりのムクドリの大群が、まだ熟し切っていないミズキの実をさかんについばんでいるところが観察されました。このムクドリはクチバシがオレンジ色で、羽の色が薄い今年生まれの若鳥のようです。江戸時代の百科辞典「和漢三才図絵」には「好んで椋(ムク)の実を食う」のでムクドリと名付けられたとの記載があります。また、田舎から都会へ出てきた人を「椋鳥」とさげすんでいう場合もあります。

【2002年7月19日(金)】
○今年も高尾の池の浅い沼地で多年生植物のミクリが、クリのいがのような実(集合果)を団子のように連ねています。ミクリは国のレッドデータブックの準絶滅危惧種で、「源氏物語」や「枕草子」にも登場し、古くから知られている植物です。このミクリの茎を干して編んだ「ミクリ簾」が「蜻蛉日記」に登場したり、漢方では塊茎を乾燥させて血液の浄化に効果がある薬として利用されたりしています。
○また、エドヒガン方面の木道脇では、国のレッドデータブックの絶滅危惧U類で、花が蛸の吸盤のように並んだタコノアシも咲き出しました。

【2002年7月18日(木)】
○今年2回目に発生したジャコウアゲハが、ふれあい橋付近のセンター側園路で目撃されました。付近には食草のウマノスズクサがあり、幼虫が何匹も目撃されているのでこの一匹が羽化したものと思われます。ジャコウアゲハの幼虫は毒草のウマノスズクサしか食べないので、成虫になってもその毒成分が残り、野鳥などに捕食されることがほとんど無いため、他のアゲハに比べるとゆるやかで優美な飛翔をします。また、歌舞伎等で有名な「番町皿屋敷」の「お菊さん」の亡霊が「お菊虫」になって年忌ごとに現れるという伝説があり、この「お菊虫」はジャコウアゲハのことだといわれています。ジャコウアゲハの蛹は小枝などに固定され、その姿が後ろ手にしばられた人間の格好によく似ているので、お菊のような不幸な女性の亡霊に見立てられたものと思われます。なお、一夜堤付近のウマノスズクサは、上部がラッパ形で内側が紫色の花を付けています。

【2002年7月17日(水)】
○最も美しい昆虫の一つであるタマムシが北里の森で見つかりました。このタマムシの2本の赤条は、黒色を帯び、一般のものよりも太いような気もしますが、金緑色の体は太陽光線を反射して美しく輝きます。タマムシについては昔からタンスの中に入れておくと「着物に不自由しない」といわれたり、未婚の女性が雌雄一対のタマムシを持っていると良縁に恵まれる等の迷信がいわれています。また、法隆寺の国宝「玉虫厨子」には最終的な調査の結果、9083枚すなわち最低でも4542匹のタマムシが使われたといわれ、信心の名の下でタマムシの大量殺戮が行われたことになります。北里の森ではアオマダラタマムシも見つかっています。

【2002年7月16日(火)】
○14日(日)の夜、園内でホタルの発生を確認しました。数は少ないですが、発生場所はあずま屋付近、一夜堤の子供公園側、トンボ池付近の梅林などで、夜8時くらいから観察できます。今年はトンボ池付近の梅林に比較的多くホタルが発生しています。この公園に発生するホタルは小形のヘイケボタルで、ホタルのオスは腹部の五節目と六節目が、メスは五節目が光ります。古くから知られていた昆虫で「枕草子」や「源氏物語」にも出てきており、江戸時代の「江戸名所図絵」によると、江戸市中も至る所にホタルの名所があり、特に新宿区落合が「落合蛍」の名所として知られていました。明滅しながら飛ぶホタルの姿は、人々の心を魅了します。「草の葉を落つるより飛ぶ蛍かな 芭蕉 」

【2002年7月14日(日)】
○センターの東側にある車庫の軒下には、キボシアシナガバチが巣を作り始めました。まだ小さいですが、典型的な「ハチの巣」型をしていて、さなぎが入っている部分が鮮やかなレモン色をしています。さなぎの数もまだ4つくらいで、働いているのは女王蜂だけのようです。

【2002年7月13日(土)】
○センター玄関脇にオオフタオビドロバチも巣を作っていました。竹の中に青虫などを運び入れ、卵を産み付けて泥でフタをするタイプの巣作りをするハチです。ここでは、立ててあったシノ竹の切り口から出入りして、青虫を運び入れていました。たいていの場合、頭から入っていって、後ずさりで出てくるのですが、一度後ずさりで入っていきました。もしかすると、この時に産卵したのかもしれません。

【2002年7月12日(金)】
○センター玄関の横の壁に、キゴシジガバチが巣を作っていました。壁に泥の壺を作って、その中に麻酔をしたクモを入れて卵を産み付けます。11時40分頃に見つけたときは、壺が3分の2ほど完成していました。1分おきくらいに泥だんごを運んできて、30分ほどで壺の上部まで作り終わり、その後クモを入れ始めました。30分かけて4匹運び入れて中断。翌日見たら、もう1匹入っていましたが、その後来なくなってしまい、「フタ」があいたままになってしまいました。

【2002年7月11日(木)】
○台風一過できれいに晴れて暑くなり、昼過ぎには37℃くらいになりました。台風の影響で荒川が増水し、公園内でも歩道の一部が冠水してセンターから一夜堤へは通り抜けできなくなってしました。年に1、2回は、大雨のあと歩道の一部が通行できなくなるのですが、1966年の台風4号の時は、現在公園になっている部分の湿地がすべて水没し、湖のようになったそうです。

【2002年7月10日(水)】
○台風6号の影響で、今日は一日断続的に大雨が降りました。去年と違って、今年は雨が多く、高尾の池も水に困ることはありません。去年の今頃は、高尾の池の水面にアカマクミドリムシという赤潮の一種が発生して、赤茶色のペンキを流したようになっていましたが、今年はまだ発生していません。このまま池の魚などがよく見える状態が続くといいのですが。

【2002年7月9日(火)】
○午前中は晴れて蒸し暑く、ニイニイゼミもやっと複数鳴きはじめました。午後は一転して雷と大雨の荒れ模様の天気になりました。センターの2階からはきれいな稲妻がよく見えましたが、館内では停電や雨漏りもあってたいへんでした。

【2002年7月7日(日)】
○昨夜、この公園で例年発生しているヘイケボタルを一夜堤方面へ探しに行きましたが、発生の確認はできませんでした。春のサクラの花が記録的な早さで開花したので、公園のヘイケボタルもそろそろ出ているのではないかと思ったのですがまだのようです。例年七夕の頃ですと昼間はニイニイゼミの大合唱が聞かれる頃ですが、3日に一匹の鳴き声が聞かれただけで以後は抜け殻は確認されたものの鳴き声すら聞こえてきません。6月下旬に一週間ぐらい梅雨寒が続いたせいで、昆虫の発生も遅れ気味になってきたようです。江戸時代の小林一茶の句に「酒は酢に草は蛍と成りにけり」と詠われている通り、当時は草が腐ってホタルになるものと考えられていました。

【2002年7月6日(土)】
○この公園ではスズメよりやや大きくて尾が長めの鳥のホオジロも通年見られます。顔は黒色のほおに太い2本の白線の白色が目立ちます。ホオジロのオスは「ものぐさ」で、巣を作るのも卵を抱くのもすべてメスの仕事です。その間オスはさえずりつづけ縄張りを宣言するだけで、ヘビなどの外敵が巣に近づくとさっさと逃げてしまいます。雛が誕生してはじめてオスは子育てに参加します。ホオジロの鳴き声は三銘鳥に次ぐ美声といわれ、「一筆啓上仕り候」とか「源平つつじ茶つつじ」などと聞きなされています。鳥の名前は体の色から付けられたものが多いのですが、頬白という名前は姿格好からしてシジュウカラの方が似合っているような気がします。

【2002年7月5日(金)】
○一夜堤付近でハンゲショウが茎の先の葉の表面を何枚か白くさせ、その白い葉に向き合うように穂状の総状花序を出し、白い小さな花を多数咲かせています。穂は、蕾のうちは下にたれていますが、花が下から開くにつれて立ち上がり、いつも穂が湾曲している一番高いところの花が開花しています。この花には蜜がないので花粉を食べに来るハナアブ類を呼ばなければ受粉はできません。ハナアブは下に向いている花に止まるのは苦手なので、ハナアブが止まりやすいようにハンゲシヨウの花はいつも、穂が湾曲しているところに盛りの花が来るように進化したものと思われます。

【2002年7月4日(木)】
○昨日の夕方5時過ぎ、センター建物東側で2匹のミドリシジミによる卍巴(まんじともえ)の乱舞が演じられました。卍巴とは、オスが縄張りを主張して侵入した他のオスを追い払うミドリシジミ類の独特な飛翔をいいます。ミドリシジミは埼玉県の蝶に指定されていますが、珍しいチョウでは決してありません。オスの翅の表は金緑色で美しく輝いています。また、メスの翅の表は黒っぽい色で人の血液型と同じような呼び方をするA型、B型、AB型、O型の4つのタイプがあります。幼虫がハンノキを食草としているので成虫もハンノキ林を離れることは滅多にありません。

【2002年7月3日(水)】
○夏本来のニイニイゼミの鳴き声が北里の森で今シーズン初めて聞かれました。鳴いているのは1匹だけでしたが、梅雨寒が一週間ぐらい続いたので発生が若干遅れ気味になっています。ニイニイゼミは前翅がうす茶色で、一面に雲形模様が付いており、その下に隠れている後翅は濃いチョコレート色をしています。このセミは朝から夕方まで鳴き通すことが多く、動きながらでもよく鳴きます。年を取った人が聞きづらくなるのもニイニイゼミの鳴き声です。また、芭蕉が奥の細道で詠んだ句の「閑や岩にしみ入る蝉の声」の蝉について、斎藤茂吉らが蝉論争をしましたが、この句に詠まれた蝉はニイニイゼミであるとの結論に達しています。

【2002年7月2日(火)】
○公園の草花も夏の花の装いに変わってきました。春に多かった黄色系統の花のセイヨウタンポポ、ハハコグサ、カタバミ、ケキツネノボタン、コモチマンネングサ、コウホネなどはまだ咲いていますが、晩春から持ち越されたシロツメクサ、ウシハコベ、ヒメジョオンなどの他、夏の花のドクダミ、ハンゲショウ、オカトラノオ、ノジトラノオ、タケニグサ、ヤブジラミ、ジャノヒゲ、オオバジャノヒゲ、リョウブなどの白色系統の花が目立ってきました、また、紅色系統のヒルガオ、コヒルガオ、ミゾソバ、ネジバナ、ミズヒキ、ムラサキカタバミそれにネムノキやヤマハギなどの花も咲いています。忘れるところでしたが青色のツユクサ、赤褐色のノカンゾウの花も咲きだしています。

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