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北本自然観察公園 自然観察記録 2002年6月

2002年7月22日更新
                                           埼玉県自然学習センター




【2002年6月30日(日)】
○園内の高尾の池の方から「ブオーッ」「ブオーッ」と大きな鳴き声が聞こえてきます。センター2階の観察ロビーから高尾の池をのぞくと、大きなカエルが望遠鏡のレンズに飛び込んできます。ウシガエルです。ウシガエルは大正7年に食用としてアメリカから日本に移入されましたが、水草の生えている沼地にはどこでもいるカエルになり、住宅地では騒音公害の元として嫌われています。アメリカザリガニもウシガエルの餌として移入されましたが、今では沼地などではどこにでもいます。このカエルはどう猛でアメリカザリガニのほか小さなヘビや鳥の雛まで食べてしまう豪傑です。

【2002年6月29日(土)】
○園内の林床や園路脇にジャノヒゲが10pぐらいの花茎を出し、白色の小さな花を多数咲かせています。ヘビに髭があったかなと思いましたが、別名リュウノヒゲといわれて納得しました。秋にはルリ色の1p弱の美しい実を結びますが、これは果実ではなくむき出しの種子です。また、漢方名は麦門冬(ばくもんとう)といい、根の球状のこぶを乾燥させて服用し、咳を鎮め、痰をとり、熱をさますのに効果がある薬草として珍重されました。

【2002年6月28日(金)】
○何日か前に何十万匹あるいは百万匹を越えているかもしれないアリの大群が、北里の森と高尾の池にはさまれた園路を、巾5pぐらいで長さ10mぐらいの列を作って横断移動していました。出発点も目的地も園路からはずれてわかりませんが、大変なアリの数で一方方向の移動と思ったら北里の森の方へ戻っていくアリも結構います。種類はトビイロケアリでしょうか。
○また、梅雨の中休みの今日、園路を歩いていると何か光ったのでよく見ると、小さなアリがチョウの羽をまるでヨットの帆のようにして運んでいました。羽は右にふらついたり左にふらついたりして陽の光を受けて進んでいきます。ふと、寺山修司の「夏蝶の屍をひきてゆく蟻一匹 どこまでゆけどわが影を出でず」の歌を思い出しました。

【2002年6月27日(木)】
○子供公園へ行く橋の付近でノジトラノオが、また、ふれあい橋の橋下にオカトラノオが、獣の尾のような花穂に小さい白い花を沢山付けて咲いています。この公園にはヌマトラノオも生えていますが、今日は見あたりません。一般にノジトラノオはややしめった原野や道ばたに、オカトラノオは日当たりのよい丘や原野に、ヌマトラノオは湿地や流れのほとりなどに生える多年草です。「雑草のなかのとらのを梅雨明けぬ 岸田稚魚」の句があるように、トラノオは雑草と一緒に生えていることが多いようです。また、「虎の尾」とは花穂の形を虎の尾に見立てての呼び名です。

【2002年6月26日(水)】
○園内の雑木林の腐葉の多い林床にかろうじて生き残ったイチヤクソウが、葉の間から15pぐらいの直立する花茎を数本だし、梅に似た白い花を4個から10個ぐらい付けて下向きに咲いていました。名前の由来は一番薬効のある薬草(一薬草)という意味です。多年生の菌根植物で菌類と共生して養分を吸収しているので、野生のイチヤクソウを観賞用に採ってきて栽培しても、ほとんど根付くことはありません。

【2002年6月25日(火)】
○センター前広場のクスノキを囲っているビニールテープを、ヒヨドリが取ろうとして挑戦していましたが、最後はあきらめて雑木林の方へ飛んでいきました。ヒヨドリは全身青灰色をした中形の鳥で、以前は10月頃平地に姿をあらわし、翌年の5月頃山地へ帰る漂鳥でした。しかし、昭和40年代前半頃から一部のヒヨドリが平地から山地への移動をやめ、現在では北海道、東北地方に棲むものが暖地へ移動するほか、ほとんどのヒヨドリが山地への移動をやめて平地で繁殖するようになりました。山地で樹上生活をしていたヒヨドリが、畑におりて野菜まで食べるようになっています。何が原因でヒヨドリは数千年来続けてきた習性を、短期間の間に改めてしまったのでしょうか。

2002年6月23日(日)】
○クワの実はほとんど落ちてしまいましたが、クワ科のコウゾが丸い集合果の赤色の甘い実を沢山付けています。コウゾで古くは布を織っており「万葉集」では「たへ」、「たく」、「ゆふ」の名で138首詠まれております。特によく知られている「春過ぎて夏来るらし白たへの衣ほしたり天の香具山」の歌の「白たへ」はコウゾの繊維で織った白い布をさします。また、コウゾはガンピ、ミツマタと共に和紙の原料として知られておりますが、古代ではクワ、アサ、タケなどでも紙を漉(す)いていたといわれています。

【2002年6月22日(土)】
○羽化したばかりのアキアカネでしょうか。園内のトンボ池周辺の草地を歩くと多数のアキアカネが飛び立ちます。また、園内の草原に入ってもアキアカネを多数見ることができます。この時期これだけのアキアカネが見られるということは、この周辺がアキアカネの発生場所の一つということも考えられます。生まれたばかりのアキアカネはオス、メス共に薄い黄褐色で体も翅も柔らかく別のトンボのように見え、数日中に標高800m以上の高地を目指し飛び去ってしまいます。秋になるとアキアカネ独特のオスは唐辛子のような赤色、メスはやや地味な黄褐色になって山から帰ってきます。

【2002年6月21日(金)】
○この公園でしばしば子連れのシジュウカラを見かけましたが、そろそろ巣立ちの季節のようです。土方秋湖の句に「四十雀入りし木の根に雛のこゑ」が知られているように、シジュウカラは樹の洞や、古木の幹が腐って穴があいた場所などにコケ類を運びこんで巣を作ります。この秋湖の句の季節は夏と思われますが、俳句の世界では理由はわかりませんが、シジュウカラは長い間秋の部の鳥として扱われてきました。しかし、最近の俳句歳時記では編集者によって春の部に入れたり、夏の部、あるいは従前通り秋の部に入れたりまちまちになり混乱が生じています。

【2002年6月20日(木)】
○桜堤方面の浅い沼地に茎の太さは人の指ほどで、高さは1m50pから2mぐらいに成長したフトイが黄褐色の花を咲かせています。フトイは静岡県の浜名湖地方などでは筵(むしろ)を編むのに使われたといわれ、また、水質浄化能力にすぐれていることから工場の排水処理場に植えられたりしています。フトイやヨシ、ガマなどの植物を使っての水質浄化は、環境に優しい水の浄化の方法としてその活用の研究が望まれます。

【2002年6月19日(水)】
○昨年高尾の池のコウホネの土手側に突如として現れた水生の多年生植物のアサザが、待望の花を一輪咲かせました。花柄を10pぐらい出し、その先に3pぐらいの5深裂した黄色い花が一つだけ咲いていました。まだ咲いたのは一輪だけですが、さらに咲くことが期待されます。なお、アサザは環境省のレッドデータブックで絶滅危惧U類に指定されている植物です。

【2002年6月18日(火)】
○近頃園内でカブトムシの残骸がしばしば見られるようになりました。おもにカラスが食べ残した後ですが、たまにはイタチも食べます。イタチの食べ残しはどこかに犬歯の跡らしき穴があいています。カブトムシが飛ぶときは堅い前翅を高く上げて固定し、三つに畳まれていた後翅を広げてせわしく動かして飛びます。飛行機にたとえると前翅が翼、後翅がプロベラの役目をします。しかし、前翅を固定するのに時間がかかり、飛ぶ前に地面に落ちたり、飛んでから周りの木にぶつかったりして、飛ぶのはあまりうまくありません。

【2002年6月16日(日)】
○ホタルの発生の問い合わせが来るようになりました。日本ではホタル科の昆虫は30種ほどいますが、一般の人のホタルの概念に一致するのは3種類です。川の清流に棲み、大形で淡紅色の前胸部に黒い十字紋が付いているのがゲンジボタル。沼や水田のほとりに棲み、小形で太い縦筋があるヘイケボタル。山地の湖や川のほとりに棲み、ヘイケボタルよりも若干小さいのがヒメボタルです。この公園にいるのはヘイケボタルで、去年は7月10日に発生を確認していますが、渇水等で発生数は例年に比べて少ない状況でした。今年のホタルの発生の状況は去年よりさらに早まることが予想されます。

【2002年6月15日(土)】
○園内の草原ではテントウムシがよく見られます。先月のセンターのイベントの「テントウムシ調査」では、ナナホシテントウが圧倒的に多く採集できましたが、ナミテントウも代表的な四つの型が見られました。テントウムシを漢字で表すと「天道虫」で、太陽の虫といわれていますが、真夏の太陽は苦手なようで、夏は成虫のまま夏眠してしまいます。また、テントウムシは春から秋にかけて数世代の世代を交代する上、ナミテントウは色や紋の型がいろいろあり、子、孫、曾孫へと色や紋の遺伝の結果が短期間で得られるということで、遺伝学の研究にとっては貴重な研究材料になっています。

【2002年6月14日(金)】
○最近、公園内の「あずまや」周辺のゴミの散乱が目に余ります。いくら片づけても、翌日にはまた、捨てられてしまいます。缶詰の汁にハチが集まっていたこともあります。どうも、夜間の利用者が捨てているようなので、今日から当分の間、「あずまや」の夜間利用をご遠慮いただくことになりました。皆様のご協力をお願いします。

【2002年6月13日(木)】
○紅紫色のノアザミの花も園路端で咲き出しています。アザミは種類を同定するのが難しいといわれていますが、春から夏にかけて花開くのはノアザミだけですので、この時期のアザミの花の同定は簡単です。ノアザミの花は小さな花が150個ぐらい束ねられた集合体で、雄しべの先端を細い枯れ枝などで軽く触れると、花は虫が来たかと思って花粉を吐き出します。このことは花の蜜を吸いに来たアゲハチョウ類などが、ノアザミの花の雄しべに触れるだけで、花粉がチョウの体に確実に付く仕組みといえます。

【2002年6月12日(水)】
○北里の森で、秋に美しい実を付けるムラサキシキブが、葉の付け根から集散花序(しゅうさんかじょ)を出し、多数の淡紅紫色の小さな花を群がらせ咲かせています。秋の実に比べて初夏に咲くムラサキシキブの花は見逃されがちですが、花弁の淡紅紫色と雄しべの鮮黄色、そして葉の緑色の重なり具合は美しく感じられます。葉に魚毒作用のあるフラボンという成分を含むので、一部の地方では葉の汁を小川に流し魚を採っていたといわれています。

【2002年6月11日(火)】
○今年は季節が狂ってしまったのか、今日梅雨入りの発表がありましたが、秋の野草として親しまれているミゾソバが、金平糖のような形のピンクの花を咲かせています。水辺や溝を好む一年草で、低湿地で良く見られます。ミゾソバの名前は溝に良く生えるソバに似た植物という意味で、別名「ウシノヒタイ」は葉の形が牛の額の形に似ていることから付いた名前だと言われています。

【2002年6月9日(日)】
○淡黄色の穂の下に葉が変形した苞(ほう)が白い花びらのように見える花のドクダミが、園内の方々に咲いています。草全体に独特の悪臭があり嫌う人もいますが、十字架の形をした花として西洋では教会の花園に植えられたりしています。地下茎が縦横に伸びる非常に丈夫な草で、はびこらすと退治するのに苦労します。ドクダミとは毒草のような名前ですが、「毒矯め」が転訛したものといわれ、別名「十薬(じゅうやく)」は、十種類の薬に相当するほど薬効果があるための命名とされ、昔から万病の良薬として漢方では知られていました。

【2002年6月8日(土)】
○ハエドクソウがあずま屋の少し先の林縁の日陰地で、長さ50p以上の穂状(すいじょう)花序を出し、5oぐらいの小さな花を多数付け、下から順番に咲いています。花は上唇が短く、下唇が長い白色の中にもわずかに紅色を帯びており、はじめのうちは上を向いていますが、開くにしたがって横向きになり、果実になると下向きになってイノコズチに似た実を付け、人々の衣服などによく付きます。この草の根をすり下ろし、その絞り汁を紙にしみこませ蠅取り紙にしたことからハエドクソウの名が生まれました。

【2002年6月7日(金)】
○クリの木が葉腋(ようえき)に15pぐらいの雄花の穂を垂れ下げ、一部の付け根には雌花を一つか二つ付けて、甘い香りをただよわせて咲いています。クリの樹木は生きているときは虫などによく食べられますが、材になると虫にも水にも強く大変丈夫な建築材になります。また、縄文時代の遺跡からはいろいろな木の実が出土しますが、クリの実が断然多いといわれ、クリの木と日本人のつき合いは縄文時代からの長いつき合いといえます。

【2002年6月6日(木)】
○モグラを昼間、それも2頭見ることができました。昼過ぎ、高尾の森の近くの草原と竹林の境で、2頭のアズマモグラが取っ組み合いの争いをしていました。半地下のトンネル内なので、天井が抜けて丸見え、1頭がもう1頭の脇腹に噛みついていました。多分、縄張り争いだと思います。地中のトンネルの中で活動するので滅多に見かけることのない生き物なのですが、たまにはこんなこともあるようです。

【2002年6月5日(水)】
○公園を一回りすると汗が吹き出る季節になりました。高尾の池では、コシアキトンボ、シオカラトンボ、ハラビロトンボ、ギンヤンマ、ウチワヤンマがテリトリーを張っています。一夜堤にはオニヤンマとサラサヤンマが飛んでいました。チョウはアカシジミ、ルリシジミなどがクリの花に集まっています。皆さんも日焼け対策をして、夏の昆虫観察に出かけませんか?

【2002年6月4日(火)】
○園内の道端や草原をしばらく歩くと、長さ7oぐらいの卵状楕円形の緑色の実がズボンにくっついてきます。この実はオヤブジラミの果実で、外側に沢山のトゲ状の毛が付いており、しかもその先端が少し曲がっているので他の物によく付きます。名前については、ヤブジラミに似ていて大きいのでオ(雄)ヤブジラミと名付けられ、またヤブジラミについては、藪に入るとシラミのように良くくっつくので、ヤブジラミと名付けられたといわれています。

【2002年6月2日(日)】
○今日はある団体の探鳥会がありました。野鳥チェックリストから見られた鳥を拾いますと、子連れのカイツブリ、バン、シジュウカラをはじめ、カワウ、ダイサギ、カルガモ、オオタカ、ツミ、コジュケイ、キジ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ツバメ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、メジロ、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラスなど26種の鳥が見られました。

【2002年6月1日(土)】
○園路の所々に黒紫色に熟したクワの実が多数落ちるようになりました。このクワはかつて日本が養蚕王国であった名残で、この公園のある北本市もカイコを飼うためのクワが多数植えられていた証拠です。クワの実はジャムを作っても美味しくできますし、根の皮は利尿剤や肺からくる咳を抑える薬として漢方では知られています。また、江戸指物の木工芸の用材として黄色味がかったクワの木は、多少重厚に加工され、粋でいなせな江戸っ子好みの茶箪笥や文机、火鉢、たばこ盆などに利用されていました。

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