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北本自然観察公園 自然観察記録 2002年5月

2002年6月18日更新
                                           埼玉県自然学習センター



【2002年5月31日(金)】
○園路端や草原にヒルガオとコヒルガオが淡紅色の花を咲かせています。この花の識別はコヒルガオの葉が三角形に近いホコ形で、苞(ほう)の先が尖っていて花が小さいことで区別しています。ヒルガオの名は花が朝開いて昼間の間咲いているのに由来しており、夕方には萎れてしまう一日花ですが、地下茎や茎に澱粉を含んでおり古代エジプトでは精力剤として利用されていました。日本では飢饉の際の救荒植物として知られています。

【2002年5月30日(木)】
○気温が25度を超えたことを喜ぶようにウラギンシジミが翅の裏側の銀色を輝かせながら飛び交っていました。本県では2回発生するといわれ、今見られる1回目の羽化は個体数が少く、2回目の秋の羽化は個体数も多く普通に見られます。南方系のチョウで県内でよく見られるようになったのは戦後で、温暖化と共に日本列島での棲息範囲を北上させている代表的なチョウです。また、コミスジ、ゴマダラチョウ、キタテハ、ルリタテハ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、テングチョウ、イチモンジセセリ、ルリシジミ、ベニシジミも今日見られたチョウです。

【2002年5月29日(水)】
○秋に咲くアザミに似たキツネアザミも園路端で咲き出しています。草丈は70p前後で上部で分枝して多数の紅紫色の頭花を付けています。キツネアザミはアザミのようにトゲがありません。このトゲが無いことについては、猟師に追われたキツネがアザミに化けたものの、慌てていたのでトゲを付けるのを忘れてしまったという伝説が残されており、それでキツネアザミと呼ぶようになったといわれています。

【2002年5月28日(火)】
○キショウブの黄色い花がエドヒガン、子供公園、桜堤付近の湿地で多数咲いています。この花は一日で萎れてしまう一日花ですが、次から次へと花が連続して咲きます。明治30年頃日本に入ってきたヨーロッパ原産の多年生草本の帰化植物ですが、日本に黄色いハナショウブが無かったので園芸品種として歓迎されましたが、いつの間にか全国的に野生化してしまった植物です。

【2002年5月26日(日)】
○八つ橋の橋の上からバンの親子やカイツブリの親子が時々観察できます。今日はバンの親子が二組、大きめなヒナが5羽の組と小さなヒナが2羽の組が、カイツブリの親子はヒナが2羽見えました。この池にはアオダイショウや大きなライギョが棲息していますので、全部のヒナが安全に育つとは限りませんが、公園の利用者と共に鳥のヒナが元気に成鳥になれるよう見守っていこうと思います。

【2002年5月25日(土)】
○センター入口の街路樹として植えられている高さ10m以上の落葉高木のユリノキが、黄緑色の花を咲かせています。花が高いところに咲いているので形などははっきり見えませんが、学名の種小名はチューリップの形の花を意味していて、別名チューリップ・ツリーといわれたり、葉が職人が着ていた半纏に似ていることから、ハンテンノキともいわれています。北米原産で明治の始めに日本に入ってきて、街路樹や公園の樹木として利用されていますが、成長が早く高さ30m以上にもなります。
○すでに北国へ旅立ってしまったと思ったコガモが2羽、定例自然観察会で確認されました。今まで居たコガモか北国へ行く途中に立ち寄ったコガモかはわかりませんが、翌日は見あたりませんでした。

【2002年5月24日(金)】
○コアジサイが北里の森で枝先に平たい散房花序(さんぼうかじょ)を出し、小さな白い花が多数集まって咲いています。この朝のように雨に洗われて輝くような緑一色の森には、コアジサイの白い花の塊がよく似合います。この花は通常のアジサイのように大きな装飾花はなく、全部の花が直径4oぐらいの両性花です。アジサイは日本固有の花で「万葉集」で「安治佐為」として詠われており、漢字で表す「紫陽花」の表記は、中国の詩人「白楽天」が紫色をした香りある美しい花を「紫陽花」と漢詩で詠ったことに由来しているといわれています。

【2002年5月23日(木)】
○園路を歩いているとくるくると丸まった葉が落ちていたり、枝に付いたまま巻かれている葉を目にします。これはオトシブミ類やチョッキリ類のしわざです。オトシブミ類は日本に約30種この公園に3種、チョッキリ類は日本に約60種この公園に3種が確認されています。今回ミニ展示では、このオトシブミなどの生態を紹介しています。皆様方の御来館をお待ちしております。
○午後の1時すぎにふれあい橋の上空で移動中のアサギマダラを観察しました。蝶の中でもアサギマダラは長距離移動することが知られており、九州の種子島でマーキングされたアサギマダラが福島県の白河市で捕獲された例もあり、このアサギマダラも九州地方で生まれた蝶かも知れません。

【2002年5月22日(水)】
○北里の森のテイカカズラが、芳香のある白い花を咲かせています。テイカカズラは古い墓地の墓石によく巻き付いていますが、この花の和名については、藤原定家が式子内親王に恋い焦がれて死に、死後テイカカズラになって彼女の墓にまとわりついたという伝説に基づいています。しかし、定家は80歳まで長生きし、老衰としか思えない死に方をしていますが、日本の詩歌人の理想的な死に方は、柿本人麻呂や菅原道真の例のように、異郷にあって悶死することだといわれ、定家も悶死してもらわなければ困るということで、上記の伝説が生まれたものと思われます。

【2002年5月21日(火)】
○カッコウに遅れること2日、ホトトギスの鳴き声が19日に聞かれました。ホトトギスは「万葉集」をはじめ古今和歌集からの八代集の中で最も多く詠まれた鳥であり、藤原実定の「時鳥鳴きつる方を眺むれば ただ有り明の月ぞ残れる(千載集)」の歌は百人一首にも採用され特に有名な歌です。また、この鳥はウグイスなどに托卵することが知られていますが、「万葉集」の中に「鶯の生卵(かひこ)の中に ほととぎす 独り生れて〜(高橋虫麿)」の歌があり、すでに日本では万葉の時代からホトトギスがウグイスを相手に托卵することが知られていました。
○19日はコガモが3羽確認できましたが、今日は見あたりません。やっと北国へ飛んでいったのでしょうか。

【2002年5月19日(日)】
○公園の草花も春の盛りを謳歌しています。黄色い花ではコウゾリナ、センヨウタンポポ、オオジシバリ、ニガナ、ハハコグサ、イヌガラシ、ケキツネノボタン、タガラシ、ノゲシ、オニタビラコ、キショウブ、コウホネなど。白い花はウシハコベ、ノミノフスマ、ハルジオン、シロツメクサ、フタリシズカ、エゴノキ、ノイバラ、ガマズミなど。紅紫色の花はキツネアザミ、ムラサキケマン、ムラサキサギゴケ、カラスノエンドウ、アメリカフウロ、ニワゼキショウなどの花です。その他ウキヤガラ、ヤブスゲ、スズメノテッポウも花を咲かせています。

【2002年5月18日(土)】
○真冬の雑木林の中でピンクの花を下向きに咲かせていたウグイスカグラが、1pぐらいの楕円形の赤い実を熟させています。この実は公園をすみかとする鳥たちの大好物ですが、私たちが食べてもたいへん美味しい実です。また、公園の名物のエドヒガンにも小さなサクランボの実が赤黒く熟していますし、その下の草原や園路端ではヘビイチゴも赤い実を多数付けています。

【2002年5月17日(金)】
○一声だけですがこの朝カッコウの鳴き声が聞かれました。この鳥の「カッコウ」という鳴き声は公園の中によく響きます。中国の詩人蘇東坡に「鳥 名を知らざれど 声おのずから呼ぶ」という句があり、カッコウの鳥の名前もこの句の通り鳴き声から名付けられました。主に毛虫などのガの幼虫を主食とするほか、自分では巣を作らずホオジロやオオヨシキリなどの巣に託卵することが知られています。

【2002年5月16日(木)】
○センター入口の広場に植えてあるクスノキが、2o〜3oぐらいの小さなクリーム色の花を多数付けて咲いています。今年はたくさんの花を付けたので、秋にはたくさんの実ができるものと思われます。クスノキは樟脳を含み、長寿を保つ木として有名です。法隆寺の百済観音はクスノキの一木造ですし、玉虫厨子や中宮寺の弥勒菩薩など飛鳥時代の木造仏のほとんどはクスノキで造られています。また、クスノキの葉はアオスジアゲハの食草としても知られているほか、東京の明治神宮は人工林ですがクスノキを主体とした森として知られています。

【2002年5月15日(水)】
○園内の陽当たりのよい場所で咲いているノイバラの白い花が、甘い香りを周りにただよわせています。花には蜜がたくさん詰まっているのでしょうか、いろんな虫たちがノイバラの花を訪れています。セイヨウミツバチ、ヒラタアブ、ハナアブの類、エグリトラカミキリ、モモブトカミキリモドキ、ヤツボシツツハムシ、ヤツボシハナカミキリ、クロハナムグリ、アシナガコガネ、ハナバチの類などです。また、ゴマダラチョウも園内で飛んでいるのを確認できました。

【2002年5月14日(火)】
○12日の日曜日の夕方、八つ橋がかかっている高尾の池で、バンがけたたましく鳴いて羽で何かを威嚇している場面に会いました。ヨシが生い茂っている中をよく見ると、長さ1mぐらいのアオダイショウがそばにいて何かを狙っていました。橋の上から見ていると黒いバンのヒナが二羽見えました。バンの親は相変わらず羽でアオダイショウを威嚇していますが、アオダイショウはじっとして動きません。通常バンは5個以上の卵を産みますのでまだ孵っていない卵が巣に残っているのかも知れません。

【2002年5月12日(日)】
○昨日、公園内ではないのですが、すぐ近くで外国産のクワガタムシの死体が見つかりました。多分だれかが飼育していたものだと思いますが、もし野外で繁殖をするようになると、もともと日本にいたクワガタムシが影響を受けたり、もしかするとブラックバスのように、生態系に重大な影響を与えてしまう可能性だってあります。人間がきちんと管理しながら飼育・栽培している間はまだいいのですが、逃げ出したり、放したりしてしまうと、取り返しのつかない状況になってしまうかもしれません。外国産の生き物を持ち込むことは、慎重にしたいものです。

【2002年5月11日(土)】
○つる性低木のスイカズラがセンター車庫横の垣根や園内の他の木に巻き付いて、甘い香りの花を咲かせています。花は葉腋(ようえき)に二つ並んで咲き、咲き始めは白い色をしているがやがて淡黄色に変わりしおれます。花には蜜があり子供がよくこの花の密を吸って遊んだことから「吸いかずら」と名付けられたといわれています。また、葉は冬のさなかでも枯れないので「忍冬」(にんどう)の別名もあります。

【2002年5月10日(金)】
○北アメリカ原産の帰化植物のヒメジョオンとハルジオンが園路端などで咲いています。ヒメジョオンは明治の始め、ハルジオンは大正時代に日本に渡来して都市周辺で栽培されていましたが、今では雑草化しつつある植物です。ヒメジョオンとハルジオンの区別の仕方は、ハルジオンは茎が中空であること、葉の基部が茎を抱くこと、花の蕾の柄が垂れ下がっていることなどで区別できます。

【2002年5月9日(木)】
○エゴノキが新枝の先に2p〜3pの細長い花柄を出し、白い花を多数垂れ下げて咲いています。古くから人々によく知られた樹木で、種子から油をとったり、石鹸の代用にしたり、また果皮に麻酔の効果のあるエゴサポニンを含むので、果皮をすりつぶして川に流し魚を捕るのに使ったりしました。果皮がえごい(えぐい)ので「エゴ」と名付けられたといわれています。種子はヤマガラが大好物にしています。

【2002年5月8日(水)】
○コガタスズメバチが、センター入口のヤマモモの木に営巣しているのが発見されました。まだ、とっくり形の初期巣で、越冬した一頭の女王バチが作った巣ですが、働きバチが生まれると出入り口の筒は壊されて巣はどんどん大きくなります。巣は高さが4mぐらいの場所にあり、しばらくはいたずらをしない限り危険はないので、来館者とともに巣の様子を観察をしようと思っています。ハチの巣が高い場所に造られる年は台風の上陸が少ないと一般にいわれていますが、今年の台風の状況はどうなるでしょうか。

【2002年5月2日(木)】
○ノイバラの白い花も園路脇の陽当たりのよい場所で咲き出しました。花そのものは小さいのですが、香ばしいかおりをただよわせています。可憐でひなびたノイバラの花は、シューベルトの曲で愛唱されているゲーテの「野ばら」の詩のように淡い感傷を誘います。与謝蕪村の句に「愁いつつ岡にのぼれば花いばら」という句があり、「花いばら」はノイバラの花のことです。また、野生のバラの故郷は中央アジアで、ヨーロッパに入ったバラは、ドーバー海峡を渡ってイギリスにバラ文化の大輪を咲かせますが、中国を経て日本に入った野生のバラは、ノイバラのまま日本で近代を迎えます。

【2002年5月1日(水)】
○黄色い花が咲き終わって綿毛の坊主になったタンポポも多数見られるようになりました。八世紀に編纂された「万葉集」には日本の野草のほとんどが歌い込まれていますが、タンポポはただの一首も詠まれていません。それが十世紀編纂の「和名抄」には、「蒲公英(たんぽぽ)」の名があり別名「不知奈(ふじな)」又は「太奈(たな)」ともいったとあります。また古くは「鼓草(つつみぐさ)」といわれ、タンポポの花を上下に持って茎を絡み合わせると鼓のような形に成り、鼓を打つまねが「タンタンポンポン」ということから、タンポポと名付けられたといわれています。

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